IVRとは?コールセンターに導入するメリットとデメリットを解説します

2024.12.05
IVRとは?

IVRとは、多くのコールセンターで導入されている電話応答を自動で行うシステムです。

自社コールセンターの業務効率化を目指し、導入を検討されている企業の方も多いのではないでしょうか。

今回は、IVRの基本的な知識や仕組み、機能をはじめ、メリット・デメリット、IVR導入を成功させるためのポイントについて解説します。

IVR以外のおすすめのシステムについても解説しますので、コールセンターの業務効率化を考えていらっしゃる方の参考になれば幸いです。

コールセンターでも活用される「IVR」とは?

まずはIVRの基本的な知識や仕組み、コールセンターでよく使われている機能について解説します。

IVRとは

IVRとは「Interactive Voice Response」の略であり、電話自動応答システムを指します。

顧客からの電話に自動音声でガイダンスを流したり、必要に応じてオペレーターに転送したりすることができるシステムで、代表電話だけではなく、コールセンター(コンタクトセンター)などにも多く導入されています。

IVRの仕組み

IVRは、着信時にあらかじめ設定しておいた音声ガイダンスを流し、顧客に該当する番号を選んでもらい、適切な部署に振り分ける仕組みです。

例えば「○○のご用件の方は1を、✕✕のご用件の方は2を」のようなガイダンスを流し、番号ごとに適切な窓口へ着信を振り分けます。また、営業時間についてなどの簡単な問い合わせに対しては、音声ガイダンスで回答を提示することも可能です。

コールセンターで採用されているIVRの機能

コールセンターで使われている、IVRの代表的な機能を4つご紹介します。

  • 音声ガイダンス機能
  • 番号分岐機能
  • 電話転送機能
  • SMS送信機能

音声ガイダンス機能

着信した際に自動で音声案内を流す機能です。

例えば、営業時間外にかかってきた電話に対し、受付時間や緊急対応についての案内を流すことができます。

また、問い合わせ内容が簡単だったり定型的な場合に、あらかじめ用意した回答を流し自動応答することや、混雑時や営業時間外には、かけ直しの依頼や、連絡先や希望時間帯を登録してもらい折り返し予約をしてもらうといった使い方も可能です。

番号分岐機能

「シナリオ分岐・着信フロー」などとも呼ばれ、電話をかけてきた顧客に要望に合った番号を選んでもらうことで、自動で該当する部署に振り分けることができる機能です。

これにより、顧客をたらい回しすることなく、目的の問い合わせ先にスムーズに誘導することができます。

電話転送機能

会社などの固定電話にかかってきた電話を、個人の携帯電話やIP電話に転送できる機能です。

営業時間外でどうしても緊急対応が必要な場合や、在宅で業務をしているオペレーター・スタッフにて対応を行う場合に活用できます。

SMS送信機能

入電してきた携帯番号に、SMS(ショートメッセージ)を送信する機能です。

予約日時などのリマインドや、回線混雑時に画面上で対応が可能なWEBサイトのURLを自動送信するといった使い方ができます。

IVRをコールセンターに導入するメリット

IVRをコールセンターに導入することで、以下のようなメリットがあります。

  • オペレーターの負担軽減
  • 顧客の待ち時間の短縮
  • 機会損失の防止
  • 顧客満足度の向上

以下で詳しく解説します。

オペレーターの負担軽減

IVRの導入で、適切な担当部署への自動振り分けや自動応答ができるため、窓口間違いへの応対や電話の取り次ぎ、定型的な問い合わせへの応対にかかる労力や時間を削減できるため、オペレーターの負担が軽減します。
また、WEBチャネルなど電話以外のチャネルへ顧客を誘導することができるため、呼量全体のコントロールを行うことができます。

オペレーターはIVRで対応が困難な複雑な問い合わせに集中できるようになり、業務効率化に加え、「あふれ呼」や「放棄呼」の防止にも効果を発揮できるでしょう。また、オペレーターの負荷軽減により、離職率の低下も期待でき、人手不足の対策にも繋がります。

顧客の待ち時間の短縮

簡単な問い合わせは、オペレーターに繋がずともIVRが自動で回答を提示したり、番号を選択するだけで適切な対応先へ迅速に繋いでもらえるため、顧客の待ち時間の短縮の効果が期待できます。

内容によってはIVRの対応で完結できる場合もありますので、解決できた場合は、入電の削減にも繋がるでしょう。

機会損失の防止

IVRは24時間365日対応できるため、夜間や早朝などのコールセンターが稼働していない時間帯に問い合わせをしたい顧客にも対応することができます。

また、コールバック受付を行うことで、営業時間外に複雑な問い合わせがあった場合、希望時間にオペレーターから折り返しをするようアポイントを取ることもでき、機会損失の防止に繋がります。

顧客満足度の向上

前述のように、オペレーターに繋がるのを待たずとも回答を得られたり、24時間365日顧客の好きなタイミングで問い合わせることができたりといったことから、顧客のストレス要因が減り、顧客満足度の向上が期待できます。

顧客満足度が向上することで、企業のイメージアップにも繋がるでしょう。

コールセンターにIVRを導入するデメリット

コールセンターにIVRを導入する場合には、以下のようなデメリットも存在します。

  • 音声ガイダンスが長尺になる場合がある
  • 選択肢を間違った場合は初めからやり直す必要がある
  • 「その他の要件」に問い合わせが偏ることがある

音声ガイダンスが長尺になる場合がある

顧客が選択すべき番号の判断を行うために、音声ガイダンスをある程度聞く必要がありますが、分岐が多くなったり、音声ガイダンスが長くなってしまうとかえってストレスを与えてしまうリスクがあります。

特に、取り扱い商品やサービスが多く、振り分け先を細かく設定する必要があるコールセンターの場合、音声ガイダンスも長くなってしまう傾向にあるため、途中離脱に繋がる懸念があります。

選択肢を間違った場合は初めからやり直す必要がある

顧客が選択肢の判断を間違ってしまったり、混雑による掛け直しを促された場合、初めからやり直す必要があるため、顧客によっては煩わしさを感じることもあるでしょう。

中には問い合わせること自体を諦めてしまう顧客もいるため、機会損失や企業のイメージ低下を招いてしまう恐れがありますので、注意が必要です。

「その他の要件」に問い合わせが偏ることがある

選択肢に問い合わせたい内容がなかった場合や、判断が難しい場合は、「その他の要件」に問い合わせが偏ってしまう傾向があります。

また、顧客の中には音声ガイダンスを聞かずに「その他の要件」を選択するケースもあるため、IVRによる「呼量を適切に振り分ける」という導入効果を発揮できない場合もあるでしょう。

コールセンターのIVR導入を成功させるためのポイント

コールセンターのIVR導入を成功させるためのポイントについて解説します。

成功のポイントは、以下のようなものがあります。

  • 問い合わせの分類・分析を行う
  • 音声ガイダンスはシンプルにする
  • 定期的に見直しと改善を行う

問い合わせの分類・分析を行う

適切にIVRで問い合わせを振り分けるためには、いままで受付を行った問い合わせの分類と分析を行う必要があります。

似たような項目でグルーピングをしたり、過不足なく選択肢を用意することで、「その他のお問い合わせ」に問い合わせが集まらないような設計を行うことができます。

音声ガイダンスはシンプルにする

選択肢・分岐が多い場合や、ガイダンスが長尺になってしまう場合、顧客から利便性が良くないと判断されてしまうこともあるため、必要最低限かつ簡潔でわかりやすい案内ができるよう設定することが大切です。

顧客の要望を初めから細かく振り分けるのではなく、少ない選択肢の中から選んでもらうことや、専門用語を使わないといった点を意識して設計していくと良いでしょう。

定期的に見直しと改善を行う

IVRは導入時だけではなく、導入後も継続的に設計の見直しと、より良くするための改善を行うことが重要です。

定期的に運用状況の分析などを行い、適切に機能しているか、改善できる点はないかチェックするようにしましょう。
IVRのツールによっては、分析機能がついている製品もありますので、そういった機能を活用することも効果的です。

コールセンターの業務効率化なら「ボイスボット」もおすすめ

コールセンターの業務効率化に役立つシステムとしては、ボイスボットもオススメです。

ボイスボットは、音声認識と自然言語処理などの技術を活用し、まるで人と対話をするように音声で自動応答するシステムです。近年、コールセンターでの業務効率化や顧客満足度を向上させるシステムとして、多くの企業で導入されています。

以下にて、ボイスボットの利点を簡単にご紹介します。

ボイスボットの利点

IVRと比較し、ボイスボットには主に以下のような利点があります。

  • 自動で対応できる内容の幅が広がる
  • 自由な発話にも対応ができる

自動で対応できる内容の幅が広がる

IVRは呼量を振り分けることが主な役割ですが、ボイスボットでは顧客が発話した内容に合わせて、自動で回答を提示したり、内容のヒアリングを行うといったことができます。

これにより、簡単な問い合わせの自己解決を促進したり、一次対応や簡易対応ができるようになるため、オペレーターの負荷軽減や対応時間の短縮に繋がります。

自由な発話にも対応ができる

IVRは、プッシュで選択していくのに対し、ボイスボットは音声を認識しながら進めていくことができるので、顧客はある程度、自由に発話しながら問い合わせを行うことができます。

AIが連携されているボイスボットでは、さらに発話内容を分析し、学習されたデータを元に回答を検索し回答することができるため、人と会話しているかのような自然なコミュニケーションが可能です。

音声で会話しながら質問ができるため、手がふさがっている場合などプッシュ操作ができない場合も問い合わせを行うことができるため、利便性があり、顧客の満足度向上にも繋がります。

コールセンターによって、適したシステムは異なる

ボイスボットの注意点としては、周辺環境や、話者の滑舌・方言によって正しく発話内容を認識できないこともあるため、IVRでプッシュ入力で番号を選択をしていく方が、スムーズな対応解決につながる可能性もあります。

各ツールはそれぞれメリットデメリットがあるため、どういったシーンで何を活用するか、を選択することが重要です。

ボイスボットかIVRのどちらかが優れているということはなく、シーンに合わせて適切に使いこなせるかがポイントです。

自社に適したシステムを導入して、業務を効率化しよう

コールセンターでよく導入されているIVRとは、主に適切な問い合わせ先に問い合わせを振り分けたり、別のチャネルに誘導するなど、コールセンターの業務を効率化するために導入されているシステムです。

IVRを導入することで企業だけではなく、顧客にとってもメリットとなりえますが、使い方によってはかえって顧客にストレスを与えてしまう懸念もありますので、その使い方には注意が必要です。

また、コールセンターの業務を効率化するシステムとして、「ボイスボット」もおすすめです。

ボイスボットでは選択式ではなく自然な発話を通して問い合わせ対応を行ったり、一次受付や簡易受付の対応が可能ですが、音声認識ならではの注意点もありますので、それぞれの性質を理解し、自社に適したシステムを選定するようにしましょう。

トゥモロー・ネットが提供するCAT.AIは、ボイスボット(音声対話AI)とチャットボット(テキスト対話AI)を同時に利用できる最新の「ナビゲーション型」対話AIです。

双方の利点を最大限に活かし、わかりやすくナビゲーションし、AI対応の完了率を向上していきます。

簡単にデモ体験も実施いただけますので、チャットボットの導入をご検討の際は是非お問い合わせください。

ボイスボット×チャットボットの簡単デモ体験

この記事の筆者

TOMORROWNET

株式会社トゥモロー・ネット

AIプラットフォーム本部

「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、生成AIと連携したサービス「CAT.AI GEN-Bot」を筆頭に6つのサービスが含まれ、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。

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