チャットボットの導入ステップと事前に確認したいポイント
チャットボットの導入ステップにはどのようなものがあるでしょうか。
この記事ではチャットボットを導入するときの流れから、チャットボット導入前に確認したいポイント、チャットボット導入を成功させるポイントについても解説していきます。
チャットボットの導入を検討されている方は、是非ご参考ください。
チャットボットとは?
チャットボットとは、チャットとロボットの二つの言葉を合わせたもので、自然言語処理と人工知能技術(AI)を活用して、これまで人為的にしか出来なかった作業処理をおこない、企業の業務効率を高めることができるプログラムです。
チャットボットが業務効率化に貢献した事例として、店舗への問い合わせ対応の自動化があります。チャットボットを導入したことで、顧客の自己解決へつながり、問い合わせ数が50%以上も削減し、スタッフの負荷削減・業務効率化に貢献しました。
また、インターネットだけではなく、LINEやFacebook MessengerといったSNSをインターフェースにするなど、連携できるプラットフォームも豊富なチャットボットもあり、活用の幅がより一層広がっています。
チャットボットの導入ステップ
チャットボットの導入ステップについては、以下があります。
- ステップ1:導入目的を明確にする
- ステップ2:運用担当者を決める
- ステップ3:チャットボットを選定する
- ステップ4:シナリオを構築する
- ステップ5:チャットボットの運用を開始する
それぞれのステップについて解説していきます。
ステップ1:導入目的を明確にする
まずはじめに、なぜチャットボットが必要なのかという導入目的を明確にしましょう。
チャットボットは導入して終わりではなく、効果検証を行い、必要に応じてシナリオや設定を変更しながらPDCAを回す必要があります。
チャットボットの導入目的が定まっていないままツールの導入を進めると、正しく効果検証を行うために必要な機能やデータ分析ができない状態になるリスクがあります。
導入目的の例としては以下のようなものがあります。
- 問い合わせの自動化
- 問い合わせのハードルを下げる
- サイト回遊率を上げる
これらの目的を達成するために必要な機能は何か、欲しいデータが収集ができるツールであるかを確認しながらツールを比較検討していきます。
ステップ2:運用担当者を決める
前述のように、チャットボットは導入後のPDCAを適切に回せるかどうかで、目的を達成できるかどうかが決まります。そのため、チャットボットを管理運用し、改善をすすめる「運用担当者」が不可欠になります。
運用担当者に求められる具体的な作業内容は以下のようなものが挙げられます。
- 利用状況の分析・仮説の検証
- シナリオの改善
- FAQの追加、更新、削除
その他にも、定期的なメンテナンスが必要となるため、社内だけで内製対応が行えるのか、運用改善も手掛けてくれるツールベンダーか、などの視点でも情報収集を行う必要があります。
ステップ3:チャットボットを選定する
チャットボットにはいくつか種類があり、対応できる内容や機能が異なるため、導入目的や活用シーンにあったチャットボットを選びます。
もし、誤った選択をしてしまうと、自動化できる範囲が限定的になってしまう可能性があるので注意が必要です。
選定する際のポイントの例
- よくある問合せの数
- 問い合わせ対応の複雑さ
- 目的の効果検証に必要なデータ取得・提供が可能か
- 運用改善や分析を自社でやるのか、サポートしてくれるのか
また、機能やサポートによって導入スケジュールや費用感も変わってくるので、予算感と照らし合わせることも重要です。目的や活用シーン、予算などに合わせて、選定のポイントを整理していきます。
ステップ4:シナリオを構築する
導入するチャットボットが決定したら、FAQデータの学習作業や、シナリオの構築をしていきます。
FAQとはよくある質問とその回答のことで、チャットボットが質問に回答するためにはFAQのデータをAIチャットボットに学習させる必要があります。
シナリオとは、質問から回答までの道筋のことで、フローチャートのように階層に分けて選択肢を作成し、回答に向けて選択肢を絞っていきます。
実際の問い合わせシーンを想定しながら、設計やデータの学習を行い、顧客にとってストレスなく問い合わせが行えるようにする必要があります。
チャットボットツールの中では、シナリオ構築やFAQ学習作業などがサポートとして提供されているケースもあります。このような作業を自社で行うリソースがない場合は、構築のサポートがあるかどうかも踏まえてチャットボットを選定するようにしましょう。
ステップ5:チャットボットの運用を開始する
最後に、チャットボットの運用を開始するフローに入っていきます。
シナリオやFAQの準備が整ったら、実際の運用を開始します。顧客向けのWEBサイトや、LINEなど、必要なシステムとの連携も進めていきます。
場合によっては、顧客へ提供する前に、社内でテストを実施するケースもあります。
チャットボット導入前に確認したいポイント
チャットボット導入前に確認したいポイントについては、以下があります。
- 課題を明確にする
- 最適なチャットボットの種類を比較検討する
- 使用するプラットフォームを決める
それぞれのポイントについて解説していきます。
改善ポイントを明確にする
チャットボット導入前に確認したいポイントは、チャットボットを使って現状の課題にどのようにアプローチしたいのかを明らかにすることです。
例えば、コールセンターでの応答率が低く、顧客からの苦情が多いケースでは、シナリオの構築を実施して「よくある質問」をチャットボットに対応させ、問い合わせ流入を減らすことが一つの手段となります。
よくある質問では対応できない、個別性の高い問い合わせや、難易度の高い問い合わせのみオペレーターが直接対応するという流れにできれば、オペレーターの負荷削減にもつながります。
また、一度に複数の対応をチャットボットで行うことができるため、繁忙期に合わせて人員調整しなければならないなどといった課題も解決できるかもしれません。
このように、チャットボットを導入する際に、自社の課題を整理することで、チャットボットに期待する効果も明確になります。
最適なチャットボットの種類を比較検討する
チャットボットの導入を検討する際は、導入の目的や活用シーンを基に最適なチャットボットを選択し、比較検討しましょう。チャットボットは種類によって、できることや得意分野が異なるので、チャットボット導入の目的としっかり照らし合わせ、最適なチャットボットを比較検討することは非常に重要といえます。
具体的に、チャットボットには以下の2種類があります。
チャットボットの種類 | 特徴 |
シナリオ型 | 人為的に設定したルール、シナリオ通りに応答するチャットボット。想定される質疑応答をあらかじめプログラムしておくことで、ユーザーの入力に対してパターン通りに応答することによって、ユーザーとの対話が可能です。 |
AI型 | 統計的に正解する確率の高い回答をアルゴリズムにより算出して応答することが可能です。機械学習を繰り返すことにより、正答率の向上が可能です。自然言語処理によって、文脈から最適な回答を導き出すことができるのもメリットです。 |
上記のように、チャットボットの種類によって、それぞれ特徴が違いますので、製品比較をする前にそれぞれのチャットボットができることやできないことをしっかりと把握することがポイントとなります。
使用するプラットフォームを決める
チャットボットの導入前には、使用するプラットフォームを決めるようにしましょう。
具体的に、チャットボットを導入できるプラットフォームには、以下があります。
メリット | デメリット | |
WEB | ・ユーザーが登録不要で利用可能な場合が多い・CVの高いユーザーにアプローチできる | ・ユーザーがサイトにアクセスしないと利用できない |
SNS | ・ユーザーが使い慣れているSNS経由でアプローチ可能 | ・ユーザーがSNSアカウントをフォローする必要がある |
アプリ | ・アプリの開発次第で、独自のカスタマイズができる | ・ユーザーがアプリのダウンロードをする必要がある |
上記のように、使用するプラットフォームによって、メリット・デメリットがあるので、事前に把握してから導入を検討します。
チャットボット導入を成功させるコツ
チャットボット導入を成功させるコツについては、以下があります。
- 導入後も分析と改善を繰り返し行う
- ユーザーの使いやすさを重視した運用設計にする
- 文字以外のコンテンツも用意しておく
それぞれのコツについて解説していきます。
導入後も分析と改善を繰り返し行う
チャットボットは導入するだけで対応が完了するわけではありません。導入後も分析と改善を繰り返し行うことで、チャットボット効果が最大化することにつながります。
実際に、導入後に運用改善ができないままになっていると、期待した効果が得られずにコストが無駄になってしまうリスクがあります。
分析項目として以下のような項目を確認できる製品を選び、分析と改善がスムーズに行えるものを選択するようにします。
- 回答率
- 問い合わせ履歴
- 解決率
できるだけ詳細なデータを取得して分析することができる製品を選ぶと、導入目的に沿って正しく効果検証を行うことができ、チャットボットの効果を最大限に発揮することにつながります。
ユーザーの使いやすさを重視した運用設計にする
チャットボットの導入を成功させるには、ユーザーにとっての使いやすさを重視することが不可欠です。チャットボットの利用率・解決率向上の面では、大前提として「ユーザーにとって使いやすいツールであるかどうか」が非常に重要なポイントとなります。
具体的には、以下のようなポイントを踏まえて、利便性や操作性を重視した選定を行います。
- 設置場所や導線を工夫する
- ユーザーが迷いなく問い合わせを完了できるフローを構築する
- FAQを分かりやすい文章で記載する
- 利用方法や有用性を周知する
ユーザーにとって使いやすく分かりやすいツールであれば、より利用してもらいやすくなるでしょう。
文字以外のコンテンツも用意しておく
チャットボット導入を成功させるには、文字以外のコンテンツも用意しておくようにしましょう。
チャットボットはテキスト以外にも以下のような視覚的な情報を活用することができ、双方向の情報が伝わりやすいことがメリットの一つとなります。
- 画像
- 図
- チャート
- 地図
上記のような、文字以外のコンテンツも用意しておくことによって、視覚的な情報で回答することで理解度を高めることにつながります。
ただし、チャットボットによっては、画像付きの回答ができないものがあるので、事前確認が必要です。
チャットボットの導入にかかる費用
チャットボットの導入にかかる費用については、以下があります。
費用の種類 | 内容 |
導入費用 | チャットボットの種類や機能性に応じて、費用は大きく異なります。簡単なチャットボットであれば、数万円程度が相場とされています。逆に、カスタマイズ性の高いチャットボットやAI搭載型のチャットボットは、高度な設定を必要とするため、初期費用の中にカスタマイズ費用が含まれるケースもあります。 |
月額費用 | 基本的に、チャットボットはクラウドサービスで提供されることが多いので、月額の利用料金が発生します。導入費用と同様に、チャットボットの種類に応じて利用料金が大きく異なるので、導入前にしっかりと確認するようにしましょう。 |
FAQ作成・初期学習サポート費用 | 導入するチャットボットの種類によっては、FAQ作成・初期学習サポート費用がかかります。サポート費用はボリュームや内容によって変化します。 |
運用コンサルティング費用 | 成果を出すためには、チャットボット導入後でも学習データやFAQを継続的に追加・編集することが重要になります。知識・経験が豊富な専門家から、運用改善に向けたアドバイスなどが受けられます。提供会社やコンサル内容によって費用は大きく異なります。 |
カスタマイズ費用 | チャットボットへの機能追加や、システム連携を行う場合には費用が追加されます。費用相場は企業によってさまざまなので、事前に費用を確認しておきましょう。 |
上記以外にも、チャットボット導入時に追加で費用がかかる場合もあるので、あくまでも目安として参考にしましょう。
チャットボットを導入するメリット
チャットボットを導入するメリットについては、以下があります。
- 業務効率化
- 応対品質のバラつきがなくなる
- 24時間365日対応可能
それぞれのメリットについて解説していきます。
業務効率化
チャットボットを導入することによって、問い合わせ対応への業務時間は軽減されるので、業務効率化のメリットがあります。
中小企業では電話対応専任の社員が設けられておらず、他の業務と兼任していることが多いので、本来やるべき業務に手が回らないケースも少なくありません。
また、顧客からの電話対応をしている間に本来の業務が止まってしまい、結局残業時間が増えてしまい、会社や従業員にとって負担が大きくなっていることがあります。
そのため、チャットボットを活用し、定型的な対応を自動化することで業務効率化に繋げる企業が増えてきています。
応対品質のバラつきがなくなる
チャットボットを導入することによって、応対品質のバラつきを無くすことができます。
電話対応に慣れているオペレーターであっても、人によって対応や、サービスに個人差が出てしまうこともあります。
チャットボットでは、知識や経験の差に影響されずに、均一化された対応をすることが可能です。
対応のクオリティに差が出ないので、常に安定した回答を顧客に提供することができます。
24時間365日対応可能
オペレーターによる電話やメール対応では、対応できる時間帯や曜日が限られてしまいますが、チャットボットを導入すれば24時間、365日対応が可能です。
例えば、企業サイトにチャットボットを設置しておけば、深夜や休日であっても顧客は自分の好きなタイミングで商品・サービスについての疑問を解消することができます。
受付時間を気にする必要はなく、メールのように返信がくるのを待つ必要もありません。
このようにチャットボットを導入することによって、社員に負担をかけることなく顧客満足度の向上を目指すことができます。
チャットボットを導入する際の注意点
チャットボットを導入する際に注意すべき点は、問い合わせ内容によっては有人対応が必要になるということです。
チャットボットはあらかじめ用意した質問と、回答を表示する仕組みになっていますので、回答が用意されていない質問や個別性の高いイレギュラーな質問などは直接オペレーターが対応することになります。
AI搭載型チャットボットであれば、AIのチューニングや学習作業によって回答精度を改善していくことも可能ですが、学習時間が必要なため、初期段階においては有人対応が発生することも想定しておく必要があります。
チャットボットを導入して業務効率化を目指そう!
今回は、チャットボットの導入ステップと事前に確認したいポイントを紹介しました。
チャットボットの導入ステップについては、以下があります。
- ステップ1:導入目的を明確にする
- ステップ2:運用担当者を決める
- ステップ3:チャットボットを選定する
- ステップ4:シナリオを構築する
- ステップ5:チャットボットの運用を開始する
また、チャットボット導入前に確認したいポイントを把握しておくことで、チャットボットのメリットを最大限に活用することにもつながります。
今回の記事がチャットボット導入のご検討の参考になれば幸いです。
トゥモロー・ネットのCAT.AIはボイスボット(音声対話AI)とチャットボット(テキスト対話AI)を同時に利用できる最新の「ナビゲーション型」対話AIです。双方の利点を最大限に活かし、わかりやすくナビゲーションすることで、AI対応の完了率を向上していきます。
簡単にデモ体験も実施いただけますので、チャットボットの導入をご検討の際は是非お試しください。
この記事の筆者
株式会社トゥモロー・ネット
AIプラットフォーム本部
「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、生成AIと連携したサービス「CAT.AI GEN-Bot」を筆頭に6つのサービスが含まれ、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。