「ログ型」のチャットボットとは?特徴や導入・運用のポイントを解説

2024.09.20

ログ型チャットボットは、会話データを蓄積しながら、AIがユーザーの質問に対してデータの中から最も適切だとされた回答を提示する仕組みです。

ユーザーの質問に対して、まるで人と話しているような自然な会話をすることができ、カスタマーサポートやコールセンターなどで多く導入されています。

今回はログ型チャットボットについて詳しく解説するとともに、そのメリットやデメリット、回答の精度を上げるための導入・運用のポイントについて解説します。

これからチャットボットの導入を考えている方や、ログ型チャットボットの回答精度の向上に悩んでいる方の参考になれば幸いです。

チャットボットは主に2種類

ログ型チャットボットについて理解するために、まずはチャットボットの種類について知っておく必要があります。

チャットボットは大きく分けて以下の2つに分類することができます。

  • AI非搭載型
  • AI搭載型

AI非搭載型チャットボット

選択肢型やシナリオ型とも呼ばれるチャットボットで、あらかじめよくある質問と、それに対する回答を設定しておき、その設定に基づいて回答を提示します。

ユーザーはチャットボットが提示した選択肢の中から質問したいことを選ぶ仕組みで、一問一答や選択式FAQをイメージしていただくと分かりやすいかと思います。

質問と選択肢がマッチしている場合には非常に有効ですが、選択肢外のことには対応できないため、対応範囲は比較的限定的と言えます。

AI搭載型チャットボット

AI(人工知能)技術が活用され、ユーザーはチャット機能を通して質問することができます。

機械学習という技術が使われていることが多く、大量のデータからパターンやルールを見つけ回答に活かすことができます。

ユーザーは選択肢ではなくフリーワードで質問できることから、AI非搭載型と比較すると、より広範囲な質問への対応が可能です。

AI搭載型の仕組みは3種類

AI搭載型は、仕組みによって更に3つに分類することができます。

  • ログ型
  • 辞書型
  • 選択肢&辞書型

ログ型

ユーザーとやり取りしたデータを蓄積し、そのデータからユーザーの質問に対して最適な回答を導き出します。

蓄積されたデータが多いほど広範囲な質問や言い回しに対応できるようになるため、利用を繰り返すほど回答精度が高まっていきます。

辞書型

事前にキーワードと、それに対する返答を辞書のように登録しておき、会話内にそのキーワードが含まれていれば回答を導き出せる仕組みです。

FAQなどのよくある質問が決まっているようなケースで、キーワードによって質問が限定されやすい場合には効率的に回答を提示できます。

選択肢&辞書型

選択肢型は主にAI非搭載型に用いられる仕組みですが、辞書型と組み合わせてAI搭載型で採用されることもあります。

最初に選択肢を提示しますが、求める選択肢がない場合はフリーワードで質問を受け、辞書に登録されたキーワードを拾うことができれば回答を提示できる仕組みです。

ログ型チャットボットのメリット

ログ型チャットボットのメリットは以下の3つようなものがあります。

  • 自然な会話ができる
  • 広範囲な質問に対応できる
  • ユーザーニーズを把握できる

自然な会話ができる

フリーワードで質問することができるため、人とコミュニケーションをとっているかのような自然な会話ができます。

学習したデータが多いほど、さまざまな言い回しや質問内容に対応できるようになるため、ユーザーは回答が得やすくなるような質問文を考える手間もなくなります。

ユーザーは比較的ストレスが少なくコミュニケーションを取ることができます。

広範囲な質問に対応できる

選択肢型や辞書型のチャットボットと比較すると、ログ型は広範囲に質問に対応することができます。

ユーザーは選択肢に該当の質問を見つけられなかったり、辞書型のチャットボットで求める回答が得られなかったりした場合、再度電話などでオペレーターに問い合わせるか、質問すること自体を諦めてしまうこともあります。

ログ型チャットボットの機能を活用し、ユーザーから来るさまざまな質問に対応できれば顧客満足度の向上や、オペレーターが対応する件数も減り業務効率化にも期待ができます。

ユーザーニーズを把握できる

ユーザーがフリーワードで質問するログ型チャットボットの特徴から、ユーザーのニーズを把握しやすいこともメリットとしてあげられます。

WEBのFAQで回答に辿り着かなかった際、わざわざチャネルを変えて電話やメールへ問い合わせせずに、離脱してしまうこともあり、その場合はユーザーのニーズを得ることが出来なくなります。

ログ型の場合はユーザーのフリーワードの質問もデータとして残るため、自社の商品やサービス、サイトの改善ポイントの発見にも繋がることが期待できます。

ログ型チャットボットのデメリット

ログ型チャットボットには多くのメリットがありますが、「回答精度が過去データに依存する」というデメリットもあります。

前述のように、ログ型チャットボットは問い合わせ内容のデータに基づいて回答を提示するため、データ自体が誤っていれば適切な回答を提示できません。

AIはあくまでも、過去のデータから最適と思われる回答を提示しているにすぎず、独自で正誤判断を行っているわけではないため、学習データに誤りがあれば誤った回答を提示する可能性があります。

ログ型チャットボットを効果的に活用していくためには、信用性の高いデータが必要ですので、あらかじめ注意しておきましょう。

ログ型チャットボットの導入・運用のポイント

ここからは具体的にログ型チャットボットを導入・運用していく際に重要なポイントをご紹介していきます。

回答の精度を高めるためにも必須のポイントですので、ぜひご参考になさってください。

  • 運用担当者を決める
  • サポート体制が充実したベンダーを選ぶ
  • 多くのデータを用意する
  • 利用してもらう工夫をする
  • 定期的に改善を行う

以下で詳しく解説します。

運用担当者を決める

チャットボットを運用する担当者を決めておきましょう。

チャットボットは定期的な改善作業を必要としますので、この作業を円滑に行うためにもあらかじめ担当者を決めておくことが望ましいです。

また、自社に知見が無くチャットボットの運用に自信がない場合や、定期的な調整に時間を割けない場合は、運用まで任せることができるベンダーもありますので、自社での運用担当者の有無についても話し合っておくとよいでしょう。

サポート体制が充実したベンダーを選ぶ

前述したように、自社の状況によってサポート体制がどこまで必要かが異なります。

具体的には、チャットボットの構築支援が可能か、導入後の運用改善まで支援してくれることが可能か、などサポート体制はベンダーによってさまざまです。

チャットボットを効果的に活用するために、自社のリソースと相談しながらどこまでサポートが必要か決めておくと、ベンダーの比較検討がしやすいでしょう。

多くのデータを用意する

チャットボットの回答精度を高めるために最も重要なのは、多くのデータを学習させることです。

FAQデータの登録はもちろんのこと、日本語は表現方法も多岐に渡るため「表現のゆらぎ」に対応できるよう多くの単語を学習させることも重要です。

ひらがな・カタカナ表記といった入力の違いや、送り仮名の有無、略語にも可能な限り対応できるようにしておくと、より多くの質問に対応できるようになります。

チャットボットを導入するにあたっては、自社のよくある質問と必要なキーワード表記を事前にまとめておくとよいでしょう。

利用してもらう工夫をする

チャットボットをユーザーに積極的に利用してもらう工夫も大切です。

具体的にはユーザーの目に止まりやすい場所への設置や、ユーザーが質問しやすいような初期メッセージの設定、イメージキャラクターを採用し親しみやすさを出すことなど、ユーザーが利用してみようと思うような工夫をするとよいでしょう。

ユーザーがたくさんチャットボットを利用してくれると、より多くのデータが集まるため、回答精度が向上しチャットボットの効果を高めることができますので、こういった利用してもらいやすい工夫はとても大切です。

定期的に改善を行う

導入後の定期的な改善もチャットボットの効果を高めるために非常に重要です。

導入時には想定していなかった質問内容やキーワードに対応するため、チャットボットのログを確認しながら定期的に反映させていくことで、回答精度が向上していきます。

【具体的な改善の手順】

定期的に行う改善手順について、少し詳しくご紹介します。

運用後のイメージをつかんでいただく参考になれば幸いです。

  1. ログを分析する
  2. 検討する
  3. 設定する
1.ログを分析する

ログを分析し、問い合わせ内容や回答内容を精査していきます。

利用率や質問内容、適切な回答を提示できているかなどを確認し、改善点を見つけます。

2.検討する

改善箇所に対して、どのようにデータを追加・修正するべきかを検討します。

3.設定する

必要なデータをチャットボットに学習させます。

このPDCAを定期的に繰り返すことで、ログ型チャットボットの回答精度は向上していきます。

このPDCAをAIが自動に行うものや、ツール提供ベンダーがサポートしてくれる場合もありますので、自社でPDCAをまわすことが難しいという場合には、そういった機能・サポートがあるツールを検討することをおすすめいたします。

ログ型チャットボットの運用ポイントを理解し、回答精度を向上させよう

ログ型チャットボットは、AI搭載型チャットボットのひとつであり、ユーザーとやり取りしたデータを蓄積し、そのデータを元にAIが最適な回答を提示します。

AI搭載型チャットボットの特徴である機械学習機能により、他のチャットボットと比較し自由なワードで広範囲の質問に対応できることが魅力と言えます。

より回答精度を高めるためには、定期的にPDCAを回し改善を行っていくことが非常に重要です。

今回、ログ型チャットボットの導入・運用のポイントをご紹介しましたので、ぜひ効果的なチャットボット運用のご参考になれば幸いです。

AI型チャットボットを試すならCAT.AIがおすすめ

トゥモロー・ネットが提供するCAT.AIは、ボイスボット(音声対話AI)とチャットボット(テキスト対話AI)を同時に使用できる最新型の「ナビゲーション型」対話AIです。

ボイスボットの利点とチャットボットの利点を最大限に活かし、初めて使うユーザーにもわかりやすく「ナビゲーション」することで、AI対応の完了率を向上してくれます。

簡単にデモ体験も実施いただけますので、AI型チャットボットの導入を検討の際は是非お問い合わせください。

ボイスボット×チャットボットの簡単デモ体験

この記事の筆者

TOMORROWNET

株式会社トゥモロー・ネット

AIプラットフォーム本部

「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、生成AIと連携したサービス「CAT.AI GEN-Bot」を筆頭に6つのサービスが含まれ、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。

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