生成AIと連携したチャットボットとAIチャットボットの違いとは?特徴と活用方法を解説
近年、チャットボットは多くの企業で導入が進んでおり、業務効率化のツールとして欠かせない存在になっています。
また、ChatGPTやAlexaなどをはじめとした生成AIと連携したチャットボットサービスも普及が進んでおり、その仕組みや従来のAIチャットボットの違いについて興味を持たれている方も多いのではないでしょうか。
今回は、従来のAIチャットボットと生成AIと連携したチャットボットの特徴をはじめ、それぞれのメリット・デメリット、効果的な活用方法について解説します。
業務への導入を検討されている方にも、参考にしていただけたら幸いです。
従来のAIチャットボットの特徴
従来のAIチャットボットは、ユーザーの質問に対し、学習したデータなどを元に適切な回答を「検索」して表示するというものです。
従来のAIチャットボットも、フリーワードでの質問に対して柔軟に対応することが可能ですが、これはあくまでも「あらかじめ学習させたデータから適切な回答を検索」しています。
このような特徴から、学習したもの以外の回答を提示するということがほとんどありません。
生成AIと連携したチャットボットの特徴
生成AIと連携したチャットボットは、あらかじめ学習したデータに加え、データベース上のあらゆるデータを参照しながら回答を自動で「生成」することができます。
これにより、あらかじめ学習させた内容以外の質問にも、より柔軟に対応できる点が従来のAIチャットボットとの大きな違いです。
ユーザーからどのような質問があったとしても回答文を提示することができ、従来のAIでは対応が難しかった「表現の揺れ」などにも対応することができます。また、人が対応しているように回答を提示することができる点も、大きな特徴です。
生成AIの仕組み【ディープラーニングと機械学習技術】
生成AIは、まず与えられた指示(プロンプト)を解析し、入力された内容を分析・学習したのちに回答を生成するという仕組みです。
この入力された内容を分析する手法を「ディープラーニング(深層学習)」と呼びます。
ディープラーニングを活用することで、AIは自ら学習し、AI自身が新たな回答を提示できるようになります。
また、生成AIと連携したチャットボットには、以下のような機械学習技術が活用されています。
- 教師あり学習
- 教師なし学習
- 強化学習
教師あり学習
教師あり学習とは、教師となる適切な回答データを与えて、AIに学習させる手法です。
例えば、あらかじめアルファベット表の「これはA」「これはB」などの知識をAIに学習させることで、字体の異なるアルファベット表の中からも適切なアルファベットを判別できるようになる、という学習手法です。
教師なし学習
教師なし学習とは、明確な質問や回答を用意せずに、いくつかのデータをAIに学習させる手法です。
教師なし学習の中には「主成分分析」や「クラスター分析」などがあり、主成分分析で「問い合わせ」「要望」などの大まかな分析を行い、クラスター分析で「商品に関する質問」「店舗に関する質問」などの細かなグルーピングを行っていきます。
このような分析とグルーピングを繰り返し行うことで、あらかじめ明確な回答を用意しなくても、AIが自ら共通する特徴をピックアップし、質問内容に沿った適切な回答を提示できるようになる学習手法です。
強化学習
強化学習とは、AIが与えられたデータを元に試行錯誤を行い、データの価値を最大化する学習手法です。
強化学習ではAIが回答を提示した際に、その結果に点数をつけることで、AIは点数が高くなるよう試行錯誤することで、最適な回答の傾向を学習していきます。
生成AIと連携したチャットボットとAIチャットボットの違い
生成AIと連携したチャットボットと従来のAIチャットボットでは、回答を提示するにあたって以下のような違いがあります。
生成AIチャットボット | 従来のAIチャットボット | |
学習元 | 学習データ+入力された情報 | 学習データ |
回答過程 | 適切な回答を「生成」 | 適切な回答を「検索」 |
内容 | 新たなコンテンツ | 学習されたコンテンツ |
生成AIチャットボットと従来のAIチャットボットでは、回答を「生成」するか「検索」するか、といった大きな違いがあります。
次の章からは、生成AIと連携したチャットボットと従来のAIチャットボットのそれぞれのメリットやデメリット、効果的な活用方法について詳しく解説していきます。
従来のAIチャットボットのメリット・デメリット
従来のAIチャットボットには、以下のようなメリット・デメリットがあります。
【メリット】
- 簡単なタスクに特化
- 正答率の高い対応
【デメリット】
- 複雑な質問には不向き
従来のAIチャットボットは、定型的な問い合わせなどの自動化が可能な場面に非常に適しています。ある程度ルールベースで自動で回答ができるため、人が対応するよりも迅速に対応でき、かつ、ユーザーは時間や場所を選ばずに回答を得ることが可能です。
また、「あらかじめチェックされた学習データから回答を提示する」という特徴から、誤った回答を提示するリスクは比較的少ないと言えます。自動化されたコミュニケーションであっても、正答率が高いことで顧客の信頼度向上や企業イメージにも良い影響が期待できます。
ただし、あくまでもあらかじめ学習したデータに基づいて回答するという特徴から、複雑な問い合わせや想定外の質問には対応できない点はデメリットと言えます。
生成AIと連携したチャットボットのメリット・デメリット
生成AIと連携したチャットボットのメリット・デメリットには、以下のようなものがあります。
【メリット】
- 高い柔軟性
- 会話の自然さ
【デメリット】
- 十分な量と質のデータ量が必要
- 誤った回答をする可能性
- セキュリティリスク
生成AIのディープラーニング技術により、AIチャットボットよりも更に柔軟性の高い対応ができる点が大きなメリットと言えます。
また、学習データ以外にも入力されたプロンプトの特徴も解析しながら回答するため、ユーザーの質問内容に合わせながら、自然な回答を生成することができます。人が対応するような自然な会話も生成AIを活用したチャットボットの大きな特徴です。
ただし、偏った知識やオープンデータの利用による適切ではない、誤った回答を生成することもあるため、学習・参照させるデータの質と量が十分に担保されているかといった点には注意が必要です。
また、個人情報を取り扱うような対応を行う場合にはセキュリティリスクもあります。個人情報を取り扱う場合は、取得した個人情報が生成AIに共有されないような制御が必要となります。
従来のAIチャットボットの効果的な活用方法
従来のAIチャットボットの特徴を活かした方法には、以下のようなものがあります。
- 簡単なFAQ対応
- 定型タスクの自動化
- 業務プロセスの自動化
簡単なFAQ対応
従来のAIチャットボットは、あらかじめ学習させたデータを元に回答を提示することから、簡単なFAQ対応に適しています。
例えば、営業時間に関する質問や返品方法、店舗情報に関することなどの簡単なFAQ対応を従来のAIチャットボットで自動化することで、顧客サポートの効率化やオペレーター・スタッフの負担軽減に効果を発揮できます。
定型タスクの自動化
定型的なタスクの自動化も、従来のAIチャットボットに適した活用方法です。
例えば、飲食店や宿泊施設での予約手続きやユーザー情報の変更、請求情報の確認といった定型的なタスクを従来のAIチャットボットで自動化することによって、処理スピードのアップやスタッフの負担軽減、業務効率化に繋がります。
業務プロセスの自動化
従来のAIチャットボットは、定型的な業務プロセスを自動化することにも適しています。
例えば、企業が行う返品の処理や、スクリプト化された書類の作成などの業務の一部を従来のAIチャットボットで自動化することで、業務効率のアップや作業時間の短縮に効果的です。
生成AIと連携したチャットボットの効果的な活用方法
生成AIチャットボットの特徴を活かした方法には、以下のようなものがあげられます。
- パーソナライズされたFAQ対応
- カスタマイズされたマーケティング施策
- 効率的な社内サポート
パーソナライズされたFAQ対応
生成AIと連携したチャットボットは、ユーザーの情報や行動履歴に基づいて、ユーザーごとにパーソナライズしたFAQ対応をすることができます。
例えば、「先日購入した商品」という曖昧な表現でも該当商品を特定したり、返品に関する質問には「該当商品の返品期限」などの関連情報を一緒に提示したりといったことも可能です。
このようなパーソナライズしたFAQ対応によって、顧客満足度の向上や、オペレーター・スタッフの負担軽減、人手不足のカバーなどに繋がります。
カスタマイズされたマーケティング施策
生成AIと連携したチャットボットは、ユーザーの閲覧履歴や購入履歴に基づいて、パーソナライズしたオススメ情報などを提示することができます。
例えば、顧客のニーズに適したオススメ商品をピックアップしたり、オススメ商品のリストを自動生成したりすることが可能です。これにより、クロスセルやアップセルといった売上向上が期待できます。
また、ユーザーとの対話や行動データを分析することで、効率的なアプローチや市場ニーズの把握に役立てることも可能です。
例えば、特定のターゲットに対して適切なキャンペーン情報を表示したり、特定の商品に関する問い合わせが増加した場合には、その商品に関するキャンペーンを実施したりなど、効率的なマーケティング施策に繋げることができます。
効率的な社内サポート
生成AIと連携したチャットボットは、企業が持つあらゆるデータを参照し回答を提示できるため、効率的な社内サポートに貢献します。
例えば、システムの利用方法や経費の精算に関することなど、都度それぞれのマニュアルや規定の確認、担当者へ質問をせずとも、生成AIと連携したチャットボットに質問するだけで即座に回答を得ることができるようになります。
また、カスタマーサポートの場面でも、オペレーターが対応する際の社内ナレッジやマニュアルの検索に生成AIと連携したチャットボットを活用することにより、迅速な対応を行うことができるでしょう。
これにより、会社全体の業務効率化や、情報システム部・経理といった担当者の負担軽減に繋がります。
それぞれの特徴を理解し、自社に合うチャットボットを導入しよう
生成AIチャットボットと従来のAIチャットボットでは、それぞれ特徴が大きく異なります。
生成AIチャットボットは、より人間らしい対応や想定外の問い合わせにも対応できるという特徴があり、特にパーソナライズした情報の提供や高度な顧客対応が必要な業務に向いていると言えます。
一方従来のAIチャットボットは、定型的な業務の自動化に効果を発揮しやすく、ルールベースで対応できる業務に適しています。
それぞれの特徴を理解し、業務に合ったチャットボットを検討することをおすすめします。
トゥモロー・ネットが提供するCAT.AI GEN-Botは、生成AIと連携し企業が持つあらゆる情報からテキストだけではなく、画像やフォームも使いながら適切な回答を作成・提示しパーソナライズした対応で問題解決に導くことができるシステムです。
高度なデータベースとBot機能でオープンデータ使用を制御し、生成AIの課題でもあるハルシネーションの発生を最低限に留め適切な回答を提供することに加え、独自開発のNLP(自然言語処理)エンジンを搭載し、データ検索の精度を向上します。
企業の公式サイトやアプリ、チャットでの問い合わせ・FAQなどのフロントチャネルとしての活用に加え、社内規定やガイドライン、専門職のナレッジ統合ツールなどの従業員サポート・社内ヘルプデスクとして利用することができますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事の筆者
株式会社トゥモロー・ネット
AIプラットフォーム本部
「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、生成AIと連携したサービス「CAT.AI GEN-Bot」を筆頭に6つのサービスが含まれ、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。