MS&ADインシュアランス グループ

AIでロードサービスの受付自動化を実現、画像認識や位置情報との連携で認識率向上

オペレーター約10人相当の業務効率化により、応答率向上を実現

導入サービス

CAT.AI CX-Bot

業種

ロードサービス業

活用対象

ロードサービスのバッテリー上がりの受付対応の自動化

MS&ADインシュアランス グループの三井住友海上火災保険株式会社(以下、三井住友海上)、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社(以下、あいおいニッセイ同和損保)、MS&ADグランアシスタンス株式会社(以下、MS&ADグランアシスタンス)は、ロードサービス受付の業務効率化と顧客サービス品質向上を目的に、AIを活用した自動化システム「CAT.AI CX-Bot(以下、CX-Bot)」を2024年7月より導入しました。三井住友海上ならびに、あいおいニッセイ同和損保のロードサービス受付において、比重の大きいバッテリー上がりの受付対応(全体の約17%)の自動化で活用されています。

導入背景や抱えていた課題、運用シーンや導入後の効果、今後の展望などについて、MS&ADホールディングスのグループの一員としてロードサービス、ハウスサポートサービスなどでお客さまを救援するアシスタンス事業を運営する、MS&ADグランアシスタンス オペレーション統括部 企画グループ 田中 直樹氏にお話を伺いました。

※記事中の内容はインタビュー当時(2024年11月22日)のものです。

課題

  • 繁閑差やロードサービスの需要の高まりによる受電数の急激な変動に対応する十分なオペレーターの確保が難しく、AIを活用した自動化を検討していた
  • 緊急性が高く迅速な対応が求められるロードサービスでは、一度の受付で氏名やナンバープレートなど多くの情報を正確に聞き出す必要があり、従来のボイスボットでは自動化が困難だった

施策

  • ボイスボット(音声)とチャットボット(テキスト)を一つのプラットフォームで同時に利用でき、カメラや位置情報機能を活用してユーザーが直感的に操作できる「CAT.AT CX-Bot」を導入
  • ロードサービス受付において比重の大きいバッテリー上がりの受付対応(全体の約17%)を自動化

効果

  • バッテリー上がり手配のうち、約13%をCAT.AIで自動受付
  • オペレーター約10人相当の業務効率化により、応答率向上を実現

緊急性が高く迅速な対応が必要なロードサービス受付の自動化を、分かりやすく操作しやすいCX-Botで実現

はじめに、担当されている業務内容を教えてください。

MS&ADグランアシスタンスは、「三井住友海上」「あいおいニッセイ同和損保」の自動車保険に付帯するロードサービスをはじめ、ハウスサービス 、BPO事業、グローバルアシスタンス事業など24時間365日体制にて総合アシスタンス事業を運営している会社です。

私が所属するオペレーション統括部 企画グループの主な業務は、日々のコールデータの集計と分析、KPIや応対の品質管理、日々の入電予測と最適な要員予測、コンタクトセンターの新規構築から次年度の要員、採用計画策定など多岐にわたります。

中でも私は、日々の入電予測と必要要員数の算出や新規構築のほか、DX関連ではBIツールやRPAによる事務処理の自動化、ボイスボットやIVR、WEBフォームやLINEでのロードサービス受付、そして今回の「CX-Bot」導入によるロードサービス受付の自動化を担当しています。

弊社サービスを導入する前に、直面していた主要な課題は何でしたか?それらの課題に対して検討した、または実施した解決策を教えてください。また、弊社の製品を選定いただいた理由もお聞かせいただけますか。

例年、ロードサービスの受付業務は、お盆時期や年末年始など長期休暇のシーズンに入電が増加する傾向にあり、気温の変動によるバッテリーのトラブル増加で夏と冬は最繁忙時期となります。さらに近年は、猛暑やゲリラ豪雨、線状降水帯をはじめとする異常気象の影響により車のトラブルが増加し、ロードサービスの需要が高まっています。

こうした需要の高まりに対応するため、オペレーターの要員計画を立て採用を進めていますが、コールセンター業界全体の課題である人手不足や離職率の高さにおいて当社も例外ではなく、十分なオペレーター数を確保することが難しい状況です。増加する入電に対する対応をどのようにして実現するかが、喫緊の課題となっていました。

また、音声のみでロードサービス受付対応を自動化する場合、顧客視点で考えるとオペレーターと同レベルの応対ができることが望ましいと感じています。しかしAIの音声認識技術が急速に進歩しているとはいえ、コンタクトセンターのオペレーターと同レベルの応対に達するには、まだ数年はかかるのではないかと考えていました。

さらに、ロードサービスは、緊急性が高く迅速な対応が求められます。お名前やナンバープレート以外にも、一度の受付で多くの情報を正確に把握することが必要です。そのためには、お客さまに分かりやすく、操作がしやすいことも不可欠でした。

そこで、AIの音声認識を補完的に活用しつつ、チャットボットで対応する革新的な「CX-Bot」を活用することで、現状の人手不足を少しでも緩和できるのではと考え、導入にいたりました。

「CX-Bot」は、ボイスボットとチャットボットを一つのプラットフォームで同時に利用することで、カメラや位置情報機能から必要な情報を正確に取得できます。直感的な操作のしやすさを兼ね備えているため、口頭でのご説明よりもお客さまのご負担が少ないというのが、導入の大きな後押しとなりました。

また、昨年の夏の最繁忙期も必要要員の充足は厳しい状況でしたが、7月に「CX-Bot」を導入し、ロードサービスの受付業務の一部を自動化したことで、お客さまにご満足いただける高い応答率を実現することができました。

カメラやGPSモード機能で車のナンバーや位置情報を取得し、入力の負担を軽減

現在の弊社サービスのご利用シーンについてお教えください。

ロードサービスの受付対応は、お車の事故や故障が発生したときにお客さまから救援の依頼が入り、ご依頼の状況によってレッカーや積載車での搬送や現場での応急復旧作業の手配をする流れです。今回は、故障のバッテリー上がりトラブルに対して、現場での応急復旧を希望されるお客さまからのお電話の受付対応に「CX-Bot」を活用しています。

「CX-Bot」は、チャットボットとボイスボットの併用ができるだけでなく、カメラモードやGPSモード機能が搭載されたCAT.AI独自の「CXマルチモードAI®」を活用できるため、ナンバープレートを撮影するだけで車のナンバーの認識が可能です。

ロードサービスにおいて必須である位置情報は、マップ上で現在地を特定できるため、入力の手間を省けるほか、住所の分からない外出先でのトラブルにも柔軟に対応できています。

▲三井住友海上火災保険(上)、あいおいニッセイ同和損害保険(下)
の「CAT.AI」を活用したロードサービス受付の流れ

運用開始までに大変だったことはありますか?

お客さまからは、「CX-Bot」で対応しているバッテリー上がりトラブル以外にも様々な問い合わせがあります。そのため、対象となるバッテリー上がりのトラブルのみを正しく切り分けて「CX-Bot」に導くにはどうしたらよいかと頭を悩ませました。

また、お客さまの特定のためには、お名前やナンバープレート、車種に加えて、ロードサービスの手配に必要な情報として車両現在地やトラブルの状況も確認が必要です。その際、幹線道路や交差点付近など危険な場所からのご連絡もあるため、安全への配慮や入力がご負担にならないよう、質問の内容や項目、順番の検討には、多くの時間を費やしました

オペレーター約10人相当の業務効率化により、応答率向上を実現

導入後の効果について教えてください。

バッテリー上がり手配のうち、約13%を「CX-Bot」で受付することに成功しており、完了率を向上させるため、シナリオ変更等の改善を随時行っています。これにより、平時ではオペレーター約10人相当の業務を効率化し、人員配置の最適化を実現できました。

また、途中離脱となった受付についても、お客さまに途中までご入力いただいた履歴を見ながら会話をすることで、スムーズな応対をすることができます。

ただ、ノンボイス受付のお客さまから「自動音声で操作説明をされてもわからない」「自動音声での対応自体が冷たく感じられる」「人と話していないので本当に受付がなされているのか不安」といった声も一部ありました。やはり有人オペレーターとの通話を希望されるお客さまもいらっしゃるのも事実です。有人オペレーターとの通話を希望されるお客さまには、有人オペレーターを選択できるフローを作り、顧客満足度を担保しつつも、スピード感をもって対応できるスキームと整えております。

今後の展望について教えてください。

今回の「CX-Bot」導入により、オペレーターを介さないロードサービスの受付・手配を実現でき、お客さま対応の新たなモデルとなりました。今後は、バッテリー上がり以外のお問合せにも「CX-Bot」の対象範囲の拡大を検討し、将来的には電話基盤や基幹システムとのデータ連携することでノンボイスオペレーションを増やし、より多くのお客さまにご満足いただけるサービスをご提供していきたいと考えております。

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