自動音声であふれ呼を削減|電話予約システムについて解説

顧客からの電話での予約受付に追われている店舗や企業は少なくありません。受電件数が多いにもかかわらず、すべて人が対応していれば、その他のコア業務への影響や、あふれ呼などの顧客トラブルへ繋がる懸念もあります。
しかし、この問題は自動音声で顧客対応ができる「電話予約システム」を活用することで、解決に導ける可能性があります。
本記事では、電話予約システムの概要やメリット・デメリット、導入にあたっての注意点を解説します。また、AIを活用した電話自動応答サービスについても説明しますので、電話予約を効率化したいというお悩みがあれば、ぜひ参考にしてください。
Index
企業が抱える電話予約の問題点
電話予約対応は、店舗や企業の従業員、もしくは受付担当者やオペレーターなどが受電し、担当者に繋いだり、予約手続きをしたりするのが一般的です。しかし、受電件数が多い場合、それらをすべて人が対応するとなると、多くの時間や労力が必要となり、担当者の負担が大きくなるほか、業務効率にも影響が出てしまいます。
さらに、「あふれ呼」や「放棄呼」などの問題が生じ、顧客の不満につながるリスクもあります。
あふれ呼とは
コールセンターに電話が集中し、電話がつながらないことを「あふれ呼」といいます。電話の回線数を上回る数の入電が原因で生じる問題であり、一時的な電話の集中や対応効率が悪い場合に起こるケースが多いです。
あふれ呼が発生すると、「回線が混み合っております」「しばらくお待ちください」などといったガイダンスが流れ、オペレーターにつながるまで時間がかかるため、顧客にとって大きなストレスとなります。
放棄呼とは
あふれ呼と似た言葉に「放棄呼」がありますが、これはあふれ呼に伴って発生しやすく、顧客側がオペレーターにつながる前に電話を切ることです。
また、電話の集中によりシステムが自動的に切断する場合も放棄呼と呼びます。このような状況に陥ると顧客の企業に対する印象が悪化し、機会損失となるだけでなく、顧客満足度低下にも繋がります。
自動音声でストレス軽減!電話予約システムとは

電話予約システムとは、顧客からの電話予約の受付や管理などの予約対応業務を自動でおこなってくれるシステムです。受電件数が多いコールセンターなどで主に利用されてきましたが、近年では美容院や飲食店、宿泊施設、クリニックなど、さまざまな店舗や施設、企業で使用されています。
電話予約システムの種類
電話予約システムのほかに、電話の問い合わせを自動で対応できるシステムは以下のようなものがあります。
- IVR
- AI自動応答サービス
IVR(Interactive Voice Response)とは、着信時に事前に登録した音声を使って自動で応対・案内するシステムです。「ご予約の方は1を…」などの音声案内が特徴であり、利用した経験がある方も多いのではないでしょうか。
IVRは番号ごとに担当部署や専任の担当者へつながるように割り振っていることが多いです。あらかじめ用意したアナウンス内容に応じて顧客が番号を選択し、それによって適切な着信先へ振り分けを行っています。
また、AIを活用し、人を介さずに予約を受け付けるAI自動応答サービスというものもあります。こちらについては、次の章で詳しく解説します。
AI自動応答サービスとは?仕組みを解説
AI自動応答サービス とは、AIを活用し自動で問い合わせ対応を行うサービスです。AI自動応答サービスには自然言語処理技術という機能が搭載されており、人が発する言葉をテキストデータ化し、それを分析・理解したうえで適切な対応を行います。あたかも人が会話をしているように自然に対応できるのが特徴です。AI電話予約を活用することで、人が電話に出る必要がなく、自動で予約対応できるようになります。
IVRとの違い
前章でご紹介しましたが、似たようなものとしてIVRがあります。IVRは問い合わせを振り分けをしたり、簡単なガイダンスを流すものであることに対し、AI自動応答サービスは受付対応もAIが自動で行えることが大きな違いです。
AI自動応答サービスとIVRは具体的には以下のような違いがあります。
項目 | IVR | AI自動応答サービス |
操作方法 | プッシュボタン | 音声入力 |
対応の範囲 | 事前に登録したシナリオに沿って対応 | 自由な質問にも対応 |
役割 | 振り分けや一次アナウンス | 一次対応、簡易受付 |
学習機能 | なし | あり |
IVRは選択肢の項目が多くガイダンス(案内)が長くなると通話に時間がかかったり、間違った際には最初から聞き直しが必要だったりと、顧客にとってストレスとなるケースがあります。AI自動応答サービスを活用すれば、自動で顧客とのスムーズな対話が可能です。サービスによっては、IVRとAI自動応答サービスが併用できるものもあります。
AI自動応答サービスの利用の流れ
AI自動応答サービスの利用の流れは以下の通りです。
- 顧客からの問い合わせを受ける
- 顧客の発言内容を理解する
- 必要な情報をヒアリングする
- 受付処理を行う(予約・確認作業・変更・キャンセルなど)
顧客から問い合わせが入るとAIが自動で応答し、対応を開始します。
顧客の発話をAIが瞬時に理解し、裏側で学習したデータの中から最適な回答をテキスト化します。テキスト化された回答は音声合成技術によって音声に変換され、AIがそれを読み上げることで顧客に回答を提示するという流れです。
AIは会話を重ねることで、学習データが溜まることで回答精度が高まり、より適切に受け答えができるようになります。
電話予約システムを利用するメリット

電話予約システムの導入には以下のようにさまざまなメリットがあります。
- あふれ呼や放棄呼対策になる
- 問い合わせの機会損失を防げる
- 顧客満足度が向上する
- 従業員の負担が軽減できる
それぞれ詳しく説明します。
あふれ呼や放棄呼対策になる
電話予約システムを導入することで、コールセンターへの入電をコントロールできるようになるため、あふれ呼や放棄呼対策になります。「何度コールしてもつながらない」といったトラブルもなくなり、顧客のストレスを軽減します。
機会損失を防げる
電話予約システムを活用することで、24時間365日電話対応が可能になります。夜間や深夜帯、早朝、休日などでも予約受付に自動対応できるため、これまで電話が繋がらずに予約を諦めていた顧客を逃さず、営業時間外に入電があった場合の機会損失を防ぐことが可能です。結果、予約受付件数増加に繋がり、売上向上にも繋がるでしょう。
顧客満足度が向上する
予約システムの導入であふれ呼や放棄呼の原因を取り除けるほか、電話予約が24時間365日対応となれば、顧客の好きなタイミングやスケジュールに合わせて予約ができるため、顧客の利便性が高まり、顧客満足度向上が期待できます。
従業員の負担を軽減できる
電話予約システムの導入により、これまで電話対応していた従業員の負担を大幅に軽減できます。電話対応に時間や労力をかけずに済むため、電話対応のストレスを減らせることができるほか、電話対応以外の業務に注力することができるなどメリットも多いです。従業員の負担が軽減できれば、働きやすさや生産性の向上にも繋がります。
電話予約システム導入で注意すべきポイント
電話予約システムの効果を最大限に発揮するために、注意したいポイントをご紹介します。
- 予約対応の自動化範囲
- 自社のニーズに合った機能の有無
- AIの精度の高さ
- 導入費用やランニングコスト
- セキュリティの信頼性
- サポートの有無と内容
それぞれ詳しく説明します。
予約対応の自動化範囲
電話予約システムを効果的に活用するには、どの範囲まで自動化するかを明確に定義することが重要です。自動化のレベルは、主に以下の3つのパターンがあります。
- 一次受付:
お客様からの予約に関する最初の問い合わせ内容(用件、希望日時など)を自動音声やAIがヒアリングし、その後の具体的な予約処理や確認作業はオペレーターなどの人が行います。 - 簡易受付:
予約受付フローの一部(例:空き状況の確認、基本的な情報の入力)をAIが自動で行い、複雑な問い合わせや最終確認、後処理などを人が担当します。SMSで予約ページのURLを送信し、Webでの入力を促す方法もこの一部と捉えられます。 - すべて自動化:
予約の受付から完了までの全工程をAI音声対話システムなどが自動で行います。例えば「CAT.AI CX-Bot」のようなサービスは、このような完全自動化を実現できます。
すべて自動化を目指す場合、完全な自動化を実現するためには、既存の予約システムや顧客データベースとの連携が必要になることが多く、自動化する範囲が広がるほど、システム連携の複雑さや導入効果(費用対効果)は大きく変動します。
どのレベルの自動化を目指すかは、業種や店舗の特性、顧客層などを考慮して慎重に検討する必要があります。自動化の範囲によって、必要なシステム連携の複雑さや、導入によって得られる効果(人件費削減、機会損失防止などの費用対効果)が大きく変わります。
特に予約プロセス全体をカバーする「すべて自動化」のような広範囲な自動化を目指す場合、単なる音声応答だけでなく、より複雑な対話や多様な情報提示に対応できる柔軟性と高度な対話能力を持つAIソリューションが求められます。自社にとって最適な自動化レベルと、それを実現できるシステムを見極めることが、効果を最大化する鍵となります。
自社のニーズに合った機能の有無
電話予約システムは、サービスによって搭載されている機能が異なる場合があります。機能の例は以下の通りです。
- 予約管理機能(予約状況などの管理)
- 顧客情報管理機能(顧客のデータや履歴を管理)
- レポート機能(利用状況などをログで記録)
機能の有無によって、できることが変わってきますので自社で使いたい機能が備わっているか必ず確認しましょう。あらかじめ自社の課題を明確にしておくと必要な機能が判断しやすくなります。
AIの精度の高さ
AIを活用した自動応答サービスを活用する場合、AIの精度も確認しておくことがおすすめです。AIの音声認識の精度が低ければスムーズな対話が行えなかったり、予約完了まで時間がかかったりなど顧客とのトラブルに発展するリスクも考えられます。そのため、デモ体験を活用するなど、導入前にAIの精度をチェックしておきましょう。
導入費用やランニングコスト
サービスの利用にあたっては定額制や従量課金制があり、ツールによって料金体系や費用が異なります。また、初期費用のほか、メンテナンス費用や必要な機能を搭載する場合にはオプション費用がかかるのが一般的です。
費用が安価なツールの場合は、利用できる機能が制限されていたり、受付できる予約件数に上限が設けられていたりするケースもあるので注意しましょう。自社の問い合わせ内容や実現したいこと、求める機能が搭載されているかなど、費用面以外にも着目してシステムを選定することをおすすめします。
電話予約システムはある程度長期的に運用してからでなければ費用対効果が図りにくいものであることも理解しておくと良いでしょう。
セキュリティの信頼性
システムを導入するにあたって、不正アクセスによる情報漏洩に注意しなければなりません。予約管理システムは顧客情報を取り扱うため、情報流出を防ぐためにも、セキュリティレベルの高いシステムを導入することが望ましいです。費用が安価であるからといって安易にツールを選定せず、システムの安定性はもちろん、セキュリティに関する信頼性を必ず確認しましょう。
サポートの有無と内容
サポートの有無やサポート内容も重要なポイントです。例えば、システムに不具合が発生した場合のサポート内容やメンテナンスの体制を確認しておくとよいでしょう。
システムに不具合が生じると、予約ができずに機会損失に直結するほか、大切な顧客の信頼を失うことにもなりかねないため、迅速に対応できるかが重要です。
また、電話予約システムを効果的に運用するためには、継続的なメンテナンスも必要不可欠です。この作業を社内で行うリソースがない場合には、メンテナンス作業のサポートが備わっているベンダーを選定することをおすすめします。
ニーズに合った電話予約システムの導入を検討しよう
顧客からの問い合わせ対応や電話受付対応は、時間や労力がかかりやすく、店舗や企業にとって負担が大きい業務のひとつです。電話予約システムの導入は、これらの負担を軽減する有効な手段となります。特に、本記事で解説したように、AIを活用した自動応答サービスは、目指す自動化の範囲に応じて、一次受付から予約完了までのすべて自動化まで、柔軟な対応を可能にします。
電話対応を自動化し、AIだけで顧客対応を完結させることで、従業員はコア業務に集中でき、生産性向上に繋がります。また、24時間365日の対応はあふれ呼や放棄呼を防ぎ、機会損失をなくし、顧客満足度の向上にも大きく貢献します。
しかし、自動化の範囲が広がるほど、単純な音声応答だけでは対応しきれない場面も出てきます。特に「すべて自動化」のような広範囲な自動化を目指す場合、より高度なAIソリューションが求められます。
トゥモロー・ネットが提供する「CAT.AI CX-Bot」は、まさにそのようなニーズに応えるために開発されました。
CAT.AI CX-Botは、ボイスボット(音声対話AI)とチャットボット(テキスト対話AI)を融合させた最新型の「ナビゲーション型」対話AIです。
従来のボイスボットだけでは難しかった、複雑な情報提示や選択肢の多い手続き(複数プランの比較、規約同意、カレンダー選択など)も、チャットボットの視覚情報を組み合わせることでスムーズに自動化できます。これにより、企業が目指す「自動化の範囲」を大幅に広げることが可能です。
「聴覚」(ボイスボット)と「視覚」(チャットボット)で分かりやすく「ナビゲーション」することで、初めてシステムを利用するお客様でも迷うことなく、予約完了などの目的まで簡単にたどり着けます。これは、単なる自動化に留まらず、顧客体験(CX)の向上にも繋がります。
自社の電話予約業務の自動化範囲を広げ、より高度な顧客対応を実現したいとお考えであれば、ぜひCAT.AI CX-Botをご検討ください。
AIボイスボット×AIチャットボットで新しい顧客体験を提供するCAT.AI CX-Bot
簡単にデモ体験も実施いただけますので、是非お問い合わせください。
この記事の筆者

株式会社トゥモロー・ネット
AIプラットフォーム本部
「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、生成AIと連携したサービス「CAT.AI GEN-Bot」を筆頭に6つのサービスが含まれ、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。