コールセンターの顧客満足度(CS)とは?指標や向上させる方法について解説

投稿日 :2025.05.20  更新日 :2025.05.20

コールセンターの顧客満足度(CS)は、企業の印象を左右する重要な要素です。顧客にとって不十分だと感じる対応や長い待ち時間、課題の未解決といった要因は、顧客の離反やブランド価値の低下を招く可能性があります。

一方、応対品質の向上によって顧客満足度が高まれば、サービスの継続利用や企業ロイヤリティの向上にもつながります。

本記事では、コールセンターにおける顧客満足度を測定する主な指標や、実際に満足度を高めるための具体策について解説します。

コールセンターにおける顧客満足度を測るために必要な指標とは

顧客満足度(CS)は、「Customer Satisfaction」の略で、商品やサービスに対して、顧客がどのくらい満足しているかを表す指標です。コールセンターは顧客と企業を直接つなぐ重要な接点であるため、応対品質がそのまま企業イメージに影響を与えることも少なくありません。

コールセンターを利用して顧客がネガティブな感情を抱いてしまうと、商品やサービスはもちろん、企業に対する印象が悪くなり、顧客離れのリスクもあるため、コールセンターの対応品質を上げ、顧客満足度を向上させる必要があるのです。

ここからは、顧客満足度を測るために大切な指標である「顧客推奨(NPS)」について解説します。

顧客満足度(CS)と顧客体験(CX)の違い

顧客満足度に類似する概念として、「顧客体験(CX)」というものがあります。これは「Cosutomer Experience」の略で、コールセンターでは問い合わせ時の操作性や待ち時間、オペレーターの態度や対応力など、サービスを利用する「過程」で顧客が感じる価値のことを指します。

満足度(CS)がサービスの「結果」に対する評価なのに対し、CXは体験全体の質に関わるもので、両者は密接に関係しています。

顧客推奨(NPS)

顧客推奨(NPS)は「Net Promoter Score」の略で、商品やサービス、そして企業自体に対する顧客の信頼度や愛着度を示す顧客満足度を測る指標です。

NPSの調査方法としては、「この商品・サービスを友人や同僚に勧める可能性はどれくらいですか」などというアンケートに、0~10点の11段階で評価してもらい、その結果を点数に応じて以下の3つに分類します。

  • 9〜10点(推奨者):満足度が高く、積極的に他者に推奨する
  • 7〜8点(中立者):満足しているが、積極的ではない
  • 0〜8点(批判者):不満があり、悪い評判を広める可能性がある

NPSは、「推奨者」の割合から「批判者」の割合を引いて計算され、+100%に近いほど顧客満足度が高いです。ただし、NPSだけでは具体的な改善点を特定しづらいため、他の指標と組み合わせて考える必要があります。

コールセンターの顧客満足度向上に重要なKPIの管理

コールセンター業務は客観的な達成度を判別するのが難しいため、KPI(Key Performance Indicator)の管理が求められます。KPI は「重要業績評価指標」を指し、業務の成果や進捗を測定するものです。適切なKPIを設定し、管理を行っていけば、自社の課題が明確にしやすくなります。

ここでは、応答率や通話時間など、特に注視すべき代表的なKPIをご紹介します。

応答率

コールセンターにおける応答率は、顧客からの入電に対応できた件数の割合を指します。応答率の計算方法は以下の通りです。

【応答率=応対した件数÷入電件数×100】

一般的に、応答率は90%以上が目標とされ、これよりも低いと顧客満足度の低下に繋がる可能性が高いです。

平均応答速度(ASA)

平均応答速度(ASA)は、「Average Speed of Answer」の略で、コールセンターにおいて、顧客から入電があったときからオペレーターが応答するまでの平均時間を指す指標です。

ASAが短ければ、顧客を待たせずに電話対応できたということになるため、短ければ短いほど顧客満足度が高くなる可能性があります。ASAの計算式は以下の通りです。

【平均応答速度(ASA)=応答までにかかった時間の総計 ÷ 総着信件数】

一般的にはKPIを20秒程度に設定するケースが多いですが、状況に合わせた目標設定にしましょう。

平均通話時間(ATT)

平均通話時間(ATT)は、「Average Talk Time」の略で、オペレーターが顧客との通話にかけた時間の平均値を示す指標です。オペレーター側の説明やヒアリングの仕方だけではなく、顧客側の会話の長さもATTに影響する場合があります。そのため、知識を深めると同時にオペレーターの会話スキルを高めるトレーニングが必要になります。

ただし、ATTはただ短ければ良いというわけでなく、通話時間を短縮しようと意識するあまり、早口になってしまったり、不十分な対応になってしまう恐れもあるため、対応品質を下げずに改善していくのが望ましいです。ATTは以下の計算式で求めることができます。

【平均通話時間(ATT)=総通話時間÷総処理件数】

一次解決率(FCR)

一次解決率(FCR)は「First Call Resolution Rate」の略で、顧客が最初に電話をかけた際に、一度の通話で問題が解決できた割合を示す指標です。

問題が解決できなかった場合、顧客は再び電話をかけるなどのアクションを起こす必要があり、コールセンターの負担が増すだけでなく、顧客が離れてしまうリスクもあります。顧客満足度を向上させるためにオペレーターの育成等を行い、FCRを高めることが重要です。FCR の計算方法は以下の通りです。

【一次解決率(FCR)=1回の応対で解決できた件数÷顧客からの問い合わせ件数×100】

なお、コールセンターにおいては、おおむね70%~80%以上を目標値としているケースが多いです。

コールセンターの顧客満足度を向上させる方法

さまざまな指標をご紹介しましたが、顧客満足度を高め、自社商品・サービスの利用者やリピーターを増やすためには、具体的にどのような対策をとっていけば良いのでしょうか。

コールセンターの顧客満足度を向上させるための方法としては、以下があります。

  • 人員体制の最適化する
  • オペレーターの応対品質を評価する体制を作る
  • オペレーターの育成強化する
  • オペレーターのモチベーションを向上させる
  • 定期的なFAQの見直し・改善を行う
  • 様々なチャネルを用意する
  • チャットボットを導入する

それぞれ詳しく説明します。

人員体制の最適化する

人手不足はコールセンター運営に大きな影響を与え、顧客対応の質の低下にも繋がるため、人員体制を最適化することは顧客満足度向上の視点で非常に重要です。

人員体制を最適化する具体的な方法としては、オペレーターのシフトを調整して人手が必要な曜日や時間帯に人員を配置する方法や、新たにオペレーターを増員する方法が挙げられます。

単に人員を増やすだけでは、人件費が増加し、期待する効果を得ることが難しくなる場合があります。教育に時間をかける必要も生じるため、可能であればオペレーター経験のある人の採用が望ましいです。

オペレーターの応対品質を評価する体制を作る

コールセンターにおける顧客満足度は、オペレーターの応対品質やコミュニケーション力、問題解決能力などによって影響を受ける可能性が高いです。そのため、コールセンターでオペレーターの応対スキルを継続的に評価し、改善していくと良いでしょう。

具体的な評価方法としては以下の通りです。

  • モニタリング
  • ミステリーコール
  • 顧客アンケート
  • 従業員へのヒアリング など

これらは、オペレーターの言葉遣いや態度が適切であるか、迅速に問題解決ができているか、対応の柔軟性があるのかなどを評価し、改善点を見つける際に有効です。

オペレーターの育成強化する

オペレーター一人ひとりのスキルや対応力が顧客満足度に大きく影響を与えるため、一人一人を個別に評価したうえで、育成し、それぞれの応対品質をあげていくことが大切です。

具体的な育成方法としては、実際の顧客対応を想定したロールプレイング研修の実施や、応対事例に基づいたケーススタディ、定期的な勉強会などが有効です。また、新人・ベテランごとに適切な研修を行えば、応対品質が安定し、顧客満足度が向上するでしょう。

オペレーターのモチベーションを向上させる

オペレーターのモチベーションが低下すると、業務中の集中力が低下するだけでなく、応対品質や顧客満足度の低下にも繋がります。モチベーションの低下によって離職率が上がるリスクも高く、人手不足が加速してしまう恐れもあるので、注意が必要です。

オペレーターのモチベーションを上げるためには、努力が評価される仕組みづくりや、柔軟な働き方や、相談のしやすさなど充実したサポート体制が求められます。例えば、分かりやすい指標を設定して評価を行ったり、従業員同士の交流や相談しやすい環境に整えたりすることで、結果的に応対品質が上がり、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。

定期的なFAQの見直し・改善を行う

ユーザーに提示するFAQを充実させたり、定期的に見直しや改善を行ったりすれば、ユーザーが自己解決できるようになるため、顧客満足度の向上に繋がります。FAQではよくある問い合わせなど、ユーザーのニーズを意識して需要の高い情報を取り入れる必要があります。

また、オペレーター向けのFAQを作成すれば、回答を提示しやすくなり顧客対応をスムーズに行うことに繋がります。

様々なチャネルを用意する

ユーザーがコールセンターに問い合わせをした際に、すぐにオペレーターに繋がるかどうかは、顧客満足度に大きく影響します。長い待ち時間はコールセンターの評価を下げる原因にもなるため、対策をとるようにしましょう。

具体的には、自動音声応答システム(IVR)を活用し、顧客が迅速にアクセスできるようにしたり、AIを活用したチャットボットを導入し、簡単な質問や定型的な質問に対してはオペレーターを介さずに疑問点を解決できるようにしたり、といった方法が考えられます。

このように複数のチャネルを用意することで、顧客は自身の状況や好みに合わせて問い合わせ方法を選択できるようになり、利便性が向上するため、結果として顧客満足度の向上に繋がります。

AIツールを導入する

AIツールの代表的な例としてチャットボットがあります。

チャットボットは、ユーザーが入力したテキストや音声に対し、自動的に対応を行うプログラムを指し、あらかじめ決めたシナリオに沿って会話をする「シナリオ型」と、ユーザーの質問の内容をAIが分析し、適切な回答を生成する「AI型」に分けられます。

チャットボットを導入し、うまく活用することで得られる企業側の主なメリットは以下の通りです。

  • オペレーターの負担軽減
  • 待ち時間の軽減
  • 24時間365日対応可能
  • 顧客応対品質の均一化

これにより、オペレーターは質の高い顧客対応ができるようになるほか、ユーザー側も利便性が高くなり、顧客満足度向上に繋がり、高い導入効果が期待できます。

コールセンターの顧客満足度向上にはAIチャットボットの導入がおすすめ

近年では、多くの企業が人手不足や新規雇用の難しさといった課題に直面しており、コールセンターでの顧客満足度を向上させようと思っていても、それを実現するのが難しい状況にあるケースが多いです。

このようなコールセンターが直面する課題に対する解決策の一つとして、AIチャットボットの導入が挙げられます。AI技術を搭載したチャットボットを活用すれば、人手を必要としない顧客対応が可能となるだけでなく、AIが学習を重ねることで精度が上がり、ユーザーのさまざまな質問に対して適切な回答が提示できるようになります。

近年では、大規模言語モデル(LLM)などと連携した生成AIチャットボットも登場し、従来のAIでは難しかった、より自然で柔軟な会話や、FAQにない質問への対応、さらには文章の要約や提案といった高度な処理も可能になりつつあります。

そのため、慢性化する人手不足の問題を解消しつつ、コールセンターにおける顧客満足度の向上も目指せるのです。

対策を講じてコールセンターの顧客満足度を向上させよう

コールセンターにおける顧客満足度は、顧客がオペレーターとの対話やサポート体験にどれだけ満足したかを評価する指標です。  満足度が高ければ、結果として企業の売上や利益に良い影響を与えるため、オペレーターを適切に評価する体制や、育成強化の仕組みづくり、多角的にチャネルを用意するなど、顧客満足度向上に向けた取り組みを実施する必要があります。

こうした取り組みを支えるために、AIチャットボットは応対品質の平準化と業務効率化の両面において有効な手段です。AIがユーザーの質問を理解し適切な回答を提示することで、オペレーターの負荷を軽減しながらも、質の高い顧客体験を提供できます。

トゥモロー・ネットが提供するCAT.AIは、ボイスボット(音声対話AI)とチャットボット(テキスト対話AI)を同時に使用できる最新型の「ナビゲーション型」対話AIです。

ボイスボットの利点とチャットボットの利点を最大限に活かし、「聴覚」と「視覚」でわかりやすく「ナビゲーション」することで、初めて使うユーザーでもカンタンに解決に導くAIチャネルです。
CXに特化したシナリオデザインが特徴で、ユーザーを迷わせずに解決へ導き、顧客満足度向上に貢献します。ぜひデモ体験にて、CAT.AIが提供する新しい顧客体験をご体感ください。

ボイスボット×チャットボットの簡単デモ体験

この記事の筆者

TOMORROWNET

株式会社トゥモロー・ネット

AIプラットフォーム本部

「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、生成AIと連携したサービス「CAT.AI GEN-Bot」を筆頭に6つのサービスが含まれ、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。

一覧へ戻る

お問い合わせ・
資料請求

ご不明な点や気になることなど、
なんでもお気軽に
お問い合わせください。

まずはお問い合わせ
簡単でも体験
簡単デモ体験
お問い合わせ