AIエージェント×生成AIで何ができる?驚きの業務効率化と顧客体験(CX)向上の具体例

投稿日 :2025.06.26 

現代のビジネスシーンでは、ユーザーの指示に従ってコンテンツを生成する「生成AI」からさらに進化した、自律的に複雑なタスクを遂行する「AIエージェント」の活用に移行しつつあります。

生成AIの機能を拡張したAIエージェントの導入により、さらなる業務効率化や顧客体験の向上が期待されていますが、具体的にはどのような効果が得られるのでしょうか。

本記事では、AIエージェント導入の具体的なメリットや活用例を詳しく解説します。

AIエージェントとは?仕組みや生成AIとの違い

そもそもAIエージェントとは、ユーザーが設定した目標に対して、AIを活用して必要なデータを収集し、そのデータに基づいて自律的に行動を選択しながら目標を達成するためのシステム(またはプログラム)を指します。

人間が細かく指示を出さなくても最適な手段を自ら選択し実行できるため、これまで人が行ってきたビジネスプロセスの効率化や自動化を実現します。

人間の介入を最小限に抑えられるだけでなく、データや経験を通じて学習を重ねていくにつれて、精度向上が期待できるのがAIエージェントの強みです。

関連記事:AIエージェントとは?仕組みと特徴について解説します

AIエージェントの仕組み

目標達成に向けて自律的に処理を行うAIエージェントのプロセスは大きく「認識」「判断」「実行」に分けられ、この3つのステップで自律的、能動的に思考して行動します。

各ステップの役割は以下の通りです。

  • 認識:自然言語処理や画像認識などの技術を用いてユーザーからの質問や要求を分析し、その意図を把握する
  • 判断:取得した情報を分析して目標達成のために最適な行動を選択する
  • 実行:判断した内容に基づいて具体的なアクションを起こす

この3つのステップを継続して繰り返すことで、AIエージェントは精度を高め、目標を達成に向けた高度な業務処理が可能となるのです。

AIエージェントの種類

AIエージェントは、目的や機能に応じて複数の種類に分類されます。導入効果を最大化するためには、それぞれの特性を把握し、自社に最適なエージェントを選択することが重要です。

代表的なAIエージェントの種類は以下の通りです。

  • 単純反射型エージェント:あらかじめ設定されたルールに従ってシンプルに動作する
  • モデルベース反射型エージェント:内部に持つ情報(世界のモデル)と現在の状況を両方に基づいて動作する
  • 目標ベース型エージェント:設定された目標を達成するために最適な行動を選択する
  • 効用型エージェント:複数の行動の選択肢を評価し、最も価値(効用)が高い行動を選択する
  • 学習型エージェント:環境との相互作用を通じて学習し、自身の行動を改善する
  • 階層型エージェント:複数のレベルで構造化された意思決定を行う
  • マルチエージェントシステム:複数のAIエージェントが相互に連携し、特定のタスクや問題を解決する

例えば、単純なタスクを自動化したい場合は単純反射型エージェント、より高度で複雑な意思決定を任せたい場合は効用型エージェントを選択するといった使い分けが有効です。

生成AIとの違い

AIエージェントと混同されやすいものに「生成AI」があります。どちらもAI技術を基盤としているものの、その目的や機能に明確な違いがあります。

生成AIとの具体的な違いは以下の通りです。

  • 目的の違い:AIエージェントが目標達成に向けたタスク実行を目的とするのに対し、生成AIはテキストや画像などのコンテンツ生成を目的とします。
  • 機能の違い:AIエージェントは環境を認識して自ら行動を選択できるのに対し、生成AIはデータからパターンを学習し、新しいデータ(コンテンツ)を生成するのが得意です。
  • 自律性の違い:AIエージェントは自律性が高く、自ら判断して行動できるのに対し、生成AIはユーザーの指示に依存するため自律性は低いです。
  • 相互作用性の違い:AIエージェントは行動の結果を認識し、次のアクションを調整するなど、環境と対話しながらタスクを進めるのに対し、生成AIは指示に対してのコンテンツを生成するという一方向の処理に留まります。
  • 学習能力の違い:AIエージェントは継続的な学習により状況への適応能力が向上するのに対し、生成AIは事前学習データに基づいて生成を行います。
  • 行動パターンの違い:AIエージェントが能動的であるのに対し、生成AIは受動的です。

創造的なタスクを生成AIに任せ、AIエージェントによって実行系のタスクを一連のフローで自動化するなど、両者を組み合わせることで大きな相乗効果が期待できます。

例えば、「新製品の販促キャンペーン」という目標に対し、まず生成AIがキャッチコピーやブログ記事の草案を複数生成します。次にAIエージェントが、それらの草案を基にターゲット顧客層に合わせて内容を微調整し、ブログ投稿、SNSでの告知、メールマガジンの配信といった一連のタスクを自律的に実行する、といった連携が考えられます。

生成AIを拡張!AIエージェントを導入する6大メリット

ユーザーの指示に従ってデータを作成する生成AIよりもさらに進化した、自律的で汎用性があるAIエージェントを導入することで、どのような効果が期待できるのでしょうか。

ここからは、AIエージェントを導入する主なメリットを6つご紹介します。

  • 業務効率化と生産性向上が実現する
  • 顧客対応のパーソナライゼーション
  • 環境の変化に応じた迅速かつ柔軟な意思決定ができる
  • 用途を限定しない汎用性がある
  • 組織内のナレッジ共有を促進する
  • 導入ハードルが低く取り入れやすい

業務効率化と生産性向上が実現する

AIエージェントの活用により、データ処理やカスタマーサポートなどさまざまな業務プロセスが自動化されます。これにより業務効率が向上し、業務プロセスの工数削減に繋がるほか、社員の定型業務を中心とした業務負担が減るため、より創造的で専門的な業務に集中できる環境を実現します。例えば、これまで担当者が手作業で行っていた複数システムからのデータ抽出・集計作業や、定型的な報告書作成、会議後の議事録整理と関係者への共有といったタスクをAIエージェントが代行することで、社員は企画立案や顧客との対話といったコア業務に多くの時間を割けるようになります。

また、AIエージェントは24時間365日稼働できるため、顧客対応や各業務プロセスが途切れることなく継続でき、組織全体の生産性向上に繋がる点が大きなメリットです。

顧客対応のパーソナライゼーション

ビジネスの成長において、顧客一人ひとりのニーズに合わせた対応は極めて重要です。AIエージェントは、このパーソナライゼーションを高度なレベルで実現するための強力なツールとなります。

例えば、顧客の行動履歴や過去の購入データ、問い合わせ内容などを分析し、個々の顧客に最適化された商品やサービスを、最適なタイミングで提案が可能です。

AIエージェントは継続的な学習を通じて提案の質も向上させるため、上質な顧客体験(CX)の提供に繋がり、結果として企業のブランド力強化やリピート利用の増加に貢献します。

環境の変化に応じた迅速かつ柔軟な意思決定ができる

AIエージェントは、事前に定義された構造化データだけでなく、非構造化データも分析することが可能です。この高度なデータ分析機能により、膨大なデータの中から迅速に意思決定を行えるようになります。

さらに、過去の判断を分析して改善していく自己学習能力により、意思決定のスピードと質はさらに向上していくでしょう。

状況を認識し、適切な行動を自律的に選ぶことができるため、市場トレンドの変化や新しい規制への適切な対応など、変化の激しいビジネス環境においてAIエージェントは企業の競争力を強化する重要な役割を果たします。

用途を限定しない汎用性がある

AIエージェントは、自律性があるだけでなく、幅広いタスクに対応できる高い汎用性が最大の特徴です。

データ収集や大規模言語モデル(LLM)、外部データベースなどを活用した分析が得意なAIエージェントは、カスタマーサポートや営業・マーケティング、人事、生産管理など、業界や職種を問わずさまざまな領域での活用が可能です。

多くの企業で労働力不足が課題となる現代において、用途を問わず活躍できるAIエージェントの活用は今後ますます重要になるでしょう。

組織内のナレッジ共有を促進する

「組織内に情報が点在し、知識が共有されない」「社員が退職すると経験やノウハウが失われてしまう」といった課題は多くの企業で聞かれます。

AIエージェントは、業務上のやり取りをすべてデータとして蓄積するため、組織のナレッジベースとして機能します。例えば、コールセンターで顧客との問い合わせ対応をAIが分析し、営業部門で使える提案資料を自動生成するなど、社内の部門の垣根を超えたナレッジ共有が可能です。

これにより、個人の経験に依存していた業務ノウハウが組織の資産として共有され、属人化を防ぎ組織全体のサービス品質の底上げに繋がります。

導入ハードルが低く取り入れやすい

サービスによっては、ローコード(ほぼプログラミング不要)やノーコード(完全にプログラミング不要)でAIエージェントを構築できます。

そのため、自社に専門の技術者が少ない場合でも導入のハードルは高くなく、時間とコストを節約できる点もメリットです。これは特に、スタートアップや小規模ビジネスにとって大きな利点といえます。

ただし、複雑な業務フローの設計や外部システムとの連携、自然言語理解の高度なチューニングが必要な場合は、専門知識が必要になるケースもある点を押さえておきましょう。

AIエージェントの活用シーン

AIエージェントは、その自律性と多機能性を活かして、さまざまなシーンで活躍します。ここでは、具体的な活用例を挙げつつ、AIエージェントがビジネスの現場でどのように役立つのかを解説します。

カスタマーサポート

顧客の問い合わせ対応にAIエージェントを活用できます。

カスタマーサポートにおける具体的な活用例は以下の通りです。

  • 顧客の過去の購入履歴や好み、行動などをもとに、一人ひとりのニーズに沿った対応を行う
  • 複雑な問い合わせに関しては、AIがログを要約し、翌日担当者へ自動でエスカレーションする
  • 問い合わせ履歴を分析し、よくある質問(FAQ)や製品課題を可視化し、それをCS資料や製品改善に反映する

このように、AIエージェントによってカスタマーサポート業務を効率化するだけでなく、より高度でパーソナライズされた顧客対応が可能になります。

営業活動

AIが自律的に状況を判断し実行する特徴を活かし、従来は人間が対応していた営業業務の一部をAIエージェントが代行できます。

営業活動におけるAIエージェントの具体的な活用例は以下の通りです。

  • 見込み客のリストを作成し、アプローチ先を提案する
  • メールやフォーム、SNSなどを使い、見込み客へのアプローチを実施する
  • 商談終了後に議事録を作成し、お礼メールを自動作成する

AIエージェントは顧客ニーズや行動傾向の分析も行えるため、顧客に最適な商品・サービスの提案をサポートします。

社内ヘルプデスク

顧客対応のみならず、社内のITサポートや総務関連の業務でもAIエージェントが活用可能です。社内ヘルプデスクにおけるAIエージェントの具体的な活用例は以下の通りです。

  • 社内ヘルプデスクに多く寄せられる情報を学習し、社員からの問い合わせに関して社内ナレッジを自律的に参照して自動応答する
  • 社員からのパスワードリセットの要求を自律的に処理する
  • 社員からの問い合わせ内容を判断し、適切な部門に自動的に割り振る

このように、社員が瞬時に必要な情報を得られる環境が整うほか、ヘルプデスク担当者の業務負担が軽減することも期待できます。

関連記事:失敗しない「社内AIエージェント」の選び方|導入目的の明確化から効果測定までの5ステップ

AIエージェントの課題と対策

AIエージェントは、業務効率化や生産性向上、パーソナライズされた顧客対応による顧客満足度の向上など、多くのメリットが期待できる一方、導入にあたって考慮すべきいくつかの課題も存在します。

ここからは、AIエージェントが持つ課題とその対策について説明していきます。

ハルシネーション(誤情報生成)のリスク

AIエージェントによる業務の自動化は非常に効果的ですが、常に完璧に遂行できるわけではなく、ハルシネーションの懸念があります。

ハルシネーションとは、AIが事実に基づかない誤った情報を生成する現象です。ハルシネーションが発生してしまった場合、誤った意思決定に繋がったり、企業の信頼性を低下させたりする恐れがあるため注意が必要です。

これを防ぐためには、AIの回答を鵜呑みにせず、人間が最終チェックを行うプロセスを設け、誤情報の発信を防ぐなどの対策が不可欠となります。

セキュリティリスク

AIエージェントは、人間の介入なしにタスクの一部を自動的に実行するため、セキュリティの脆弱点となる場合があります。単に大量のデータを処理するだけでなく、顧客の個人情報や会社の機密情報などを扱うケースも多いため、情報漏洩リスクに対する対策が不可欠です。

十分なセキュリティ対策を行わなければ、サイバー攻撃などによる情報流出が発生し、企業としての信頼を失ったり莫大な損害を被ったりする恐れがあります。

このような事態を防ぐためには情報漏洩のリスクを正しく理解し、アクセス権限の厳格な制限や利用状況の監視体制の整備、セキュリティポリシーの策定など、万全のセキュリティ体制を整える必要があります。

専門人材の不足と育成コスト

AIエージェントを効果的に活用するためには、AIに関する専門的な知識や技術を持った人材が必要です。さらに、AIエージェントの運用を円滑に進めるための社内トレーニングも必要となります。

自社に専門的な知識やノウハウが不足している場合や、リソースの確保が難しい場合は、外部の専門企業にアウトソーシングするのも有効な選択肢です。ただし、アウトソーシングにはコストがかかるほか、社内にノウハウが蓄積されにくいなどのデメリットもあるので、よく検討する必要があります。

倫理的な課題

AIエージェントを活用するにあたって、判断の透明性や責任の所在といった倫理的な課題から、医療や法律など、人の生命や権利に直結する現場では活用しづらいという側面があります。

このような現場で効果的に活用するためには、AIエージェントの判断を人間がレビューする仕組みを構築し、誤った判断を未然に防ぐことが重要です。さらに、AIエージェントの倫理ガイドラインを策定・遵守し、その状況を定期的に監査して、発覚した問題点を早期に改善していくなどの対策も求められます。

導入コスト

AIエージェントの導入により、長期的には人件費や業務運営費の削減といったコスト面での効果が期待できますが、初期の導入コストについても把握しておく必要があります。

特に、高性能な製品を選ぶ場合や、会社の規模や用途によっては、多額の投資が必要になる点が課題です。

そのため、社内にAIエージェントを導入する際は、まず自社がAIエージェントに何を求めるのかを洗い出し、必要な機能とそうでない機能を明確にしてからツールを選定することが賢明です。

AIエージェント×生成AIの活用で企業の持続的な成長へ

本記事で解説してきたように、生成AIより進化した技術を持つAIエージェントは、生成AIと連携することでその効果を最大化し、ビジネスに大きな変革をもたらす可能性を秘めています。

目標達成のために自らデータを収集・判断・実行するAIエージェントが、複数のAI技術やデバイスと連携することで、より複雑なタスクにも対応可能となり、業務効率化、生産性向上、そして顧客満足度の向上に繋がり、企業の持続的な成長が期待できるでしょう。

しかし、その一方で「自社に最適なAIエージェントが分からない」「導入や運用のための専門人材がいない」といった課題に直面することも少なくありません。

AIによる自然な会話を通じて企業の課題解決を支援し、複雑な業務まで自動化できるソリューションをお探しでしたら、ぜひ弊社の「CAT.AIマルチAIエージェント」をご検討ください。

CAT.AIマルチAIエージェントは、生成・ナビゲーション・オペレーショナルの各AIが役割分担し、リードエージェントの指揮のもとで自律的に連携・処理を行う次世代型ソリューションです。対話による課題把握から情報収集、手続き処理までを一気通貫で自動化し、複雑な業務にも対応できます。チャットと音声の両チャネルをカバーし、シームレスな顧客体験を実現。柔軟な対話力と高い処理能力で、貴社のビジネスを力強くサポートします。

ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。

マルチAIエージェントのご相談はこちら

この記事の筆者

TOMORROWNET

株式会社トゥモロー・ネット

AIプラットフォーム本部

「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、生成AIと連携したサービス「CAT.AI GEN-Bot」を筆頭に6つのサービスが含まれ、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。

一覧へ戻る

お問い合わせ・
資料請求

ご不明な点や気になることなど、
なんでもお気軽に
お問い合わせください。

まずはお問い合わせ
簡単でも体験
簡単デモ体験
お問い合わせ