AIエージェントでコールセンターはどう変わる?従来ボットとの違いと活用の考え方

投稿日 :2026.02.26  更新日 :2026.02.26

コールセンターを取り巻く環境は年々変化しています。問い合わせ件数の増加や人手不足、業務の複雑化などを背景に、対応の効率化や品質の安定化が強く求められるようになりました。

これらの課題に対し、これまで多くの企業がボイスボットやチャットボットなどの自動化手段を導入してきましたが、実際の運用では「一部の対応は自動化できたものの、業務全体としては大きく変わっていない」と感じているケースも少なくありません。

こうした状況を受けて、個別の対応を自動化するだけでなく、業務の流れ全体を前提に設計できるアプローチとして、AIエージェントが注目されるようになっています。

本記事では、コールセンター業務の視点でAIエージェントの役割を整理し、従来のボットとの違いや、どのように活用を考えていくべきかを整理していきます。AIエージェントを導入すべきかどうかを含め、コールセンターのDXを進めるうえでの現実的な判断を考える際の視点を提供します。

なぜ今「AIエージェント」がコールセンターで注目されているのか

コールセンターの課題は、「問い合わせが多い」「人が足りない」といった状況だけでなく、対応に付随する業務や判断が増え、現場の運用が複雑になっていることにも表れています。

実際の現場では、業務が次第に積み重なり、対応の前後にさまざまな確認や処理が発生しています。問い合わせ対応自体は短時間で終わっても、その後に行う事務処理や他部門への連携、履歴の登録などが負担になっているケースは少なくありません。

こうして見ると、コールセンター業務は一つひとつの対応だけで完結するものではなく、複数の工程が連なった流れの中で成り立っていることが分かります。

従来の自動化施策は、こうした業務の中から特定の作業を切り出し、効率化するアプローチが中心でした。そのため、対応の入り口や一部の処理は改善されたものの、業務全体としてはかえって運用が複雑になってしまった、という声が聞かれることもあります。

このような状況を踏まえ、業務全体の流れを前提に設計できる考え方として、「AIエージェント」に関心が集まっています。

AIエージェントとは?コールセンター文脈での基本整理

AIエージェントという言葉は、使われる場面によって意味合いが異なることがあります。コールセンターの文脈では、特定の機能を自動化する単体ツールというよりも、業務プロセスの中で役割を持ち、処理や連携を支える仕組みとして捉えると理解しやすくなります。

ポイントは、AIエージェントが単独で業務を完結させる存在ではなく、業務の流れに組み込まれる前提で設計されることです。問い合わせ内容を受け取り、必要な情報を整理し、次に必要な対応や処理につなげる。この一連の流れの中で、どの部分をAIが担い、どこを人や既存システムが担うのかを明確にすることが、活用を考えるうえでの出発点になります。

AIエージェントについては「AIエージェントとは?AIアシスタントとの違い、仕組みや種類、活用例をわかりやすく解説」でも詳しくご紹介していますのでご参考ください。

従来ボットとAIエージェントの違い

ボイスボットやチャットボットは、定型的な問い合わせや情報提供の場面で大きな効果を発揮してきました。利用者にとっても、簡単な用件であればすぐに回答が得られる点は大きなメリットです。

一方、コールセンター業務全体を見渡すと、問い合わせ対応の前後に発生する確認や処理、他部門との連携などは依然として人手に委ねられるケースが少なくありません。

こうした前提を踏まえると、両者の違いは次のように整理できます。

従来のボット

  • 特定の質問や手続きに対応することを前提に設計される
  • 対応範囲が明確で、処理がシンプル
  • 業務の一部分を切り出して効率化するのに向いている

AIエージェント

  • 業務の流れの中で役割を持つことを前提に設計される
  • 問い合わせ内容を整理し、後続の処理や業務につなげる
  • 複数の工程を意識した設計がしやすい

優劣ではなく、役割の置きどころが異なる点に着目することが大切です。コールセンター業務を一連の流れとして捉えると、従来のボットが担う「対応そのもの」に加え、その前後の業務も含めた設計が求められることが分かります。

AIエージェントは、この業務の「つなぎ目」に目を向け、全体の流れを滞らせない設計を検討する際の考え方として位置づけられます。

AIエージェントはコールセンター業務のどこで価値を発揮するのか

AIエージェントを活用するには、「何ができるか」よりも「どの工程に組み込むか」という視点が重要です。業務全体を大きな流れとして捉えると、価値を発揮しやすいポイントが見えてきます。

例えば、次のような工程です。

  • 問い合わせ内容を整理し、対応方針を決める工程
  • 必要な情報を集め、後続業務につなげる工程
  • 人が対応すべきケースと、定型処理で進められるケースを切り分ける工程

これらは単体の対応では目立ちにくいものの、業務全体の効率や品質に大きく影響します。AIエージェントをこうした工程に組み込むことで、現場の判断負荷を減らし、業務の流れを整理しやすくなります。

ポイントは、すべてをAIに任せるのではなく、人が担う判断とAIが支援できる部分を整理することです。この区分を意識した設計が、現実的な運用につながります。

AIエージェント導入を検討する際のポイント

AIエージェントを導入する際にまず押さえておきたいのは、ツールそのものではなく業務設計の考え方です。導入効果を最大化するには、現場の業務プロセスとAIの役割を整理したうえで段階的に活用する視点が重要になります。具体的には、次の3つのポイントが挙げられます。

業務プロセスを整理する

現在の業務がどのような流れで成り立っているかを明確に把握します。問い合わせの受け付けから対応、事務処理、他部門への連携まで、一連の工程を可視化することで、どの段階に課題があるのかを見極めやすくなります。業務の全体像を理解することが、AIエージェント導入の第一歩です。

役割を明確にする

AIエージェントに任せる部分と、人が判断する部分を整理することで、運用イメージを具体化できます。例えば、問い合わせ内容の整理や必要情報の収集など、定型的な作業をAIに任せる一方で、複雑な判断や例外対応は人が行う、といった役割分担を明確にします。この区分を意識することで、現場の負担を減らしつつ、業務の品質も維持しやすくなります。

段階的な活用を前提にする

AIエージェントを最初からすべての業務に適用するのではなく、まずは一部の工程や簡単な業務から導入を始めるのがおすすめです。小規模で運用を試すことで、現場の負担や運用上の課題を確認でき、成功体験を積みながら徐々に適用範囲を広げていくことができます。

これらの視点を踏まえることで、AIエージェントを単なる新しい技術として導入するのではなく、業務改善や現場支援の手段として活用する道筋を描きやすくなります。


AIエージェント導入のステップやポイントについては「社内AIエージェント」の選び方|導入目的の明確化から効果測定までの5ステップ」で詳しくご紹介しています。

コールセンター業務を支えるAIエージェント活用の考え方

コールセンター業務は、問い合わせ対応だけでなく、事務処理や他部門との連携など、複数の工程が連なるプロセスとして成り立っています。AIエージェントは、こうした業務の流れを意識し、情報整理や処理の支援を行う仕組みとして設計することで、現場の負荷を軽減し、運用をスムーズに進める役割を果たします。

ただし、AIエージェント単体では対応できる業務の範囲に限りがあります。問い合わせ対応だけでなく、その後の事務処理や他部門との連携など、複数の工程にまたがる業務までを一度にカバーすることは難しいためです。こうした場面では、複数のAIエージェントが連携して業務全体を支援する「マルチAIエージェント」が有効です。

CAT.AI マルチAIエージェントは、問い合わせ対応から後続業務までの工程ごとに、どの部分をAIに任せ、どの部分を人が担うかを柔軟に設定できる仕組みです。業務全体を見渡しながら支援を設計できるため、自社の運用スタイルに応じて、音声中心には「CAT.AI マルチAIエージェント for Voice」、チャット中心には「CAT.AI マルチAIエージェント for Chat」と選択できます。

導入イメージや活用パターン、業務改善の効果を具体的に知りたい場合は、製品資料をぜひご覧ください。

この記事の筆者

TOMORROWNET

株式会社トゥモロー・ネット

AIプラットフォーム本部

「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、複数AIエージェントが連携し、業務を自動化する「CAT.AI マルチAIエージェント」など、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。

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