ヘルプデスクを自動化したい!メリット・デメリットから最新ツールの紹介まで
近年、チャットやSNSなどの普及により、企業は顧客との接点が増え、ヘルプデスクに寄せられる問い合わせ件数も増加傾向にあります。
それに伴い、多くの企業でヘルプデスクの業務負担は大きくなっており、深刻な課題を抱えていることも少なくありません。
そこで今回は、ヘルプデスクを自動化することのメリットや、自動化ツールを導入する際に知っておくべきデメリットについて解説します。ヘルプデスクの自動化におすすめの最新ツールもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
ヘルプデスクとは
ヘルプデスクとは、企業によってはサポートデスクと呼ばれる場合もあり、主な目的はIT関連の「技術サポート」です。ヘルプデスクがサポートする対象は「社内向け」と「社外向け」があります。以下、それぞれの特徴や違いについて簡潔にご説明します。
社内ヘルプデスク
社内ヘルプデスクは、一般的には自社の社員からの問い合わせに対応する部署のことを指します。企業で使用している各種システム・PCツールについての技術的なサポートや、経理や福利厚生についてなど社内規定に関する問い合わせ対応を行います。
一般的な企業では、社内向けのヘルプデスクが独立した部署として存在することは少なく、情報システム部や総務部、経理部などが兼任するケースが多いようです。
社外ヘルプデスク
社外ヘルプデスクは、自社のサービスを利用する、または検討しているユーザーからの問い合わせに対応する部署です。社内ヘルプデスクと同様、ITの技術的な問い合わせやトラブルについての相談対応が主な業務となります。
社外ヘルプデスクは、コールセンターやサポートセンター、お客さま相談室などがひとつの組織として対応しているケースが多いです。
ヘルプデスクが抱える課題
ヘルプデスクの業務は社内・社外問わず重要な役割を担っていますが、課題を抱えていることも少なくありません。主な課題は以下のようなものです。
- 業務負担が大きい
- 人材が不足しやすい
- 属人化しやすい
それぞれ見ていきましょう。
業務負担が大きい
ヘルプデスクでは、担当者の業務負担が大きくなってしまう傾向にあります。近年では電話だけではなく、メールやチャット、SNSなど対応チャネルが増えていることから、問い合わせ件数自体も増加傾向にあり、担当者一人あたりの負担が大きくなっています。
複雑な内容の問い合わせは、対応時間も増え、その間に未対応の問い合わせが蓄積されることもあり、担当者の負担は大きくなりやすいです。また、中にはマニュアルなどを確認すれば解決できるような定型的な問い合わせもあるため、全てに対応していると、担当者の業務負担が大きくなり、課題となってしまうでしょう。
人材が不足しやすい
多くの企業で、ヘルプデスクの人材は不足していると言われています。前述のように、ヘルプデスクは専門部署を持たず他の部署が兼任することが多いため、問い合わせ対応が多くなるほど、他の業務が滞ってしまいます。
これにより、担当者のストレスや疲労も大きくなることから退職者も出やすく、さらに人材が不足するという悪循環に陥ることも少なくありません。
属人化しやすい
専門知識が必要となることも多いヘルプデスクの業務では、属人化が発生しやすい傾向にあります。トラブル対応等の場合、類似する事案の対応履歴や必要な知識などを共有しておくことで解決できるものもありますが、膨大な対応をすべて共有することや、知識や経験の差を埋めることは中々難しく、属人化が大きな課題となっているところも多いでしょう。
業務が属人化していくことで、対応の遅れが発生したり、専任者が不在の場合に対応できなくなってしまったりといった懸念があります。
ヘルプデスクを自動化するシステム
ここではヘルプデスクを自動化する具体的なシステムについて解説します。代表的なものは以下のようなものです。
- IVR
- FAQシステム
- チャットボット・ボイスボット
それぞれ簡潔にご説明します。
IVR
IVRとは、電話自動応答を意味し、音声ガイダンスに従ってボタンを選択することで、適切な担当部署(オペレーター)への転送や、あらかじめ録音された音声で定型的な問い合わせに回答するシステムです。
問い合わせ窓口の多いコールセンターなどで導入されていることが多く、「〇〇のご用件の方は1を、××の方は2を押してください」などの音声ガイダンスを聞いたことのある方も多いと思います。
IVRを活用することで、宅配便の再配達依頼など対応フローが決まっている問合せについては、事前に設定しておくことでオペレーターへ繋ぐことなく完結することができます。
また、自動音声内容に従って顧客が選択肢を決定していくため、内容に応じてすぐに適切なオペレーターへの案内が可能になります。
【関連記事】IVRとは?コールセンターに導入するメリットとデメリットを解説します
FAQシステム
FAQシステムとは、ユーザーからのよくある問い合わせをまとめて「データベース化したシステム」や「FAQを自動作成するためのツール」を指します。
チャットボットやボイスボット、IVRがユーザーからの問い合わせに直接応対するシステムであることに対し、FAQシステムはユーザーが自ら問題を解決できるようサポートするシステムです。
FAQを閲覧することでユーザーが担当者に問い合わせせずとも解決できる割合を増やし、問い合わせ件数の削減に繋がります。
特に生成AIと連携したFAQシステムであれば、企業の新規サービス情報やユーザーの問い合わせ状況などに合わせて、FAQの新規作成や更新まで自動化することも可能です。
【関連記事】FAQ自動生成の仕組みとは?企業が導入すべき理由と注意点を解説します
チャットボット・ボイスボット
チャットボットやボイスボットは、ユーザーからの問い合わせ対応を自動化できるシステムです。チャットボットはWebサイト上やSNS、メッセージアプリなど、ボイスボットは電話口に設置され、有人オペレーターの代わりにユーザーからの問い合わせに自動で応答します。
特にAI(人工知能)が搭載されたシステムでは、人間に近い柔軟なコミュニケーションを取れるという特徴があり、中でも生成AIと連携したシステムであれば、一人ひとりにパーソナライズした対応が可能で、より人に近いやりとりを実現することができます。
【関連記事】
ボイスボットとは?AIに顧客対応を任せるメリットと注意点について
ボイスボットとチャットボットの違いとは?最適なツールの選び方を解説します
このように、ヘルプデスクを自動化するシステムはいくつかありますので、それぞれの特徴を理解し、自社の課題に適したシステムを選定するようにしてください。なお、ヘルプデスクなどの「問い合わせ業務を自動化する方法」については別の記事で詳しく解説していますので、そちらも参考にしてください。
ヘルプデスクを自動化するメリット
ヘルプデスクが抱えている課題は、自動化ツールを導入することで解消できる可能性があります。自動化ツールを導入することで得られる具体的なメリットは以下のようなものです。
- 問い合わせ対応件数を削減できる
- 人手不足を軽減できる
- 社内ナレッジを蓄積できる
- 問い合わせ数の集中を緩和できる
それぞれ詳しく解説します。
問い合わせ対応件数を削減できる
ヘルプデスクの業務を自動化することで、問い合わせ対応件数を削減できます。定型的な内容の問い合わせ対応を自動化することで、担当者は複雑な問い合わせや他の業務に集中でき、一人ひとりの負担が軽減されるでしょう。
人手不足を軽減できる
ヘルプデスク業務を自動化することで、対応にあてる人員数を増やすことなく人手不足を軽減することができます。特に時期などで問い合わせ数に変動がある場合のヘルプデスクでは、ピーク時期に合わせた人員確保に頭を悩ませずに済むかもしれません。
社内ナレッジを蓄積できる
チャットボットやボイスボットなどが対応した問い合わせ内容や対応履歴を活用することで、社内ナレッジを蓄積していくことができます。こういった情報は、担当者の対応マニュアルとして活用できたり、FAQなどの作成に活かし、問い合わせ自体を削減する仕組み作りに繋げたりといったことに活用が可能です。
また、ナレッジを一元化することで、属人化を防ぐことにも効果的です。
問い合わせの集中を緩和できる
ヘルプデスクの受付時間は営業時間内に限定されていることが多く、時間帯によっては問い合わせが集中し、電話が繋がりにくかったり、対応に遅れが生じたりする恐れもあります。
顧客対応を自動化できるツールは基本的に24時間365日対応が可能なため、ユーザーが夜間や休日など好きなタイミングで問い合わせられるようになり、営業時間内の問い合わせ集中を緩和することができます。
ヘルプデスクを自動化するにあたってのデメリット
ヘルプデスクの自動化には多くのメリットがありますが、知っておくべきデメリットも存在します。主なデメリットは以下のようなものです。
- 導入・運用コストがかかる
- メンテナンスや調整を行う必要がある
- 不具合が生じた場合に業務が止まる懸念がある
それぞれ見ていきましょう。
導入・運用コストがかかる
ヘルプデスク自動化ツールは、しっかりと使いこなすことができればコスト削減に繋がる可能性もありますが、効果的に使いこなせない場合には逆にコストアップしてしまうかもしれません。
自動化ツール選びは慎重に行い、導入することで得られる費用対効果についても考慮するようにしましょう。
メンテナンスや調整を行う必要がある
自動化ツールは他のツールと同様、定期的にメンテナンスを行う必要があります。メンテナンスにかかる手間はツールによっても異なりますが、導入時だけでなく運用開始後も回答精度の向上やナレッジの最新化など細かくメンテナンスを行うことで、自動化による導入効果を得やすいです。
不具合が生じた場合に業務が止まる懸念がある
システムやサーバーエラーなどの不具合が生じた場合には、業務が止まってしまうことが懸念されます。これは自動化ツールに限らず、システムやツールを利用する上では避けられない問題です。
自動化だけに頼らず、万が一の事態には、有人で対応できる体制も整えておくことが大切です。
自動化ツールでヘルプデスクの課題を解決しよう
ヘルプデスクを自動化すれば、担当者の負担軽減や人手不足の解消、社内ナレッジの蓄積、問い合わせ数集中の緩和など多くのメリットがあります。
しかし一方で、自動化ツールを使いこなせなければ逆にコストアップへつながる懸念があることや、メンテナンスや調整の手間、不具合が生じた場合に業務停滞に繋がるリスクといった注意点も存在します。
自動化ツールを導入する際は、このような注意点があることを念頭に置き、自社の課題解決に適したツールを選定することはもちろん、使いやすさや自社で行うメンテナンスの程度についても考慮してツールを選ぶことが大切です。
また、ツールに頼り切るのではなく、万が一の場合に備えて対策を考えておくことや、自動化ツールを活用しながら担当者一人ひとりのスキルアップを目指すことも重要です。
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この記事の筆者
株式会社トゥモロー・ネット
AIプラットフォーム本部
「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、生成AIと連携したサービス「CAT.AI GEN-Bot」を筆頭に6つのサービスが含まれ、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。