ヘルプデスク自動化のメリット・デメリットと最新AIツール活用法

投稿日 :2025.02.04  更新日 :2025.11.10

企業におけるヘルプデスク業務は、社内外を問わず多くの問い合わせを受け、対応の質とスピードが顧客満足度や業務効率に直結します。しかし、対応件数の増加や人手不足、属人化といった課題も抱えやすく、現場の負担は大きくなりがちです。

本記事では、ヘルプデスクの役割や課題を整理したうえで、問い合わせ対応を効率化する自動化の手法やメリット・デメリットを解説します。また、複数のAIが連携して高度な自動化を実現する最新のAIツールの考え方も紹介します。現場での課題に応じた自動化の活用方法をイメージしやすい内容になっています。

ヘルプデスクとは?

企業のヘルプデスクには、社内の従業員を対象とするものと、顧客を対象とするものがあります。それぞれの役割や特徴を理解しておくことで、自社の課題に合わせた最適な対応策を考えやすくなります。

  • 社内ヘルプデスク
    社内ヘルプデスクは、社員からの問い合わせに対応する業務です。システムやPCツールの操作、経理・福利厚生など社内規定に関する質問などが対象です。少人数の兼任体制で運営されることが多く、対応が偏りやすい点が課題となります。
  • 社外ヘルプデスク
    社外ヘルプデスクは、顧客からの問い合わせ対応を行います。ITのトラブルやサービス利用に関する相談などが中心で、コールセンターやサポートセンターとして組織される場合が多いです。

ヘルプデスク自動化の必要性:現場が抱える課題

問い合わせ対応の負担を軽減するため、企業ではさまざまな自動化手法が活用されています。ここでは代表的な手法と、導入時に押さえておきたいポイントを整理します。

ヘルプデスク自動化の手法

  • IVR(電話自動応答)
    電話で音声ガイダンスに従って操作することで、担当者を介さず定型的な問い合わせを完結させるシステムです。宅配再配達の受付や簡単な案内など、ルール化された対応に有効です。
  • FAQシステム
    よくある問い合わせをデータベース化したもので、ユーザー自身が解決できる仕組みです。生成AIと組み合わせることで、問い合わせ内容に応じたFAQの更新や新規作成の支援が可能となり、効率的に最新情報を反映できます。ただし、AIによる自動生成は内容確認や精査が必要です。
  • チャットボット・ボイスボット
    定型的な問い合わせには自動で応答できます。チャットボットはWebサイト上やSNS、メッセージアプリなど、ボイスボットは電話口に設置され、有人オペレーターの代わりに問い合わせ対応を自動化します。ただし、複雑な問い合わせや複数業務フローへの対応には限界があるため、有人とのスムーズな連携フローを用意しておくとよいでしょう。
  • ナレッジ統合・検索システム
    過去の対応履歴やマニュアル、FAQを一元管理・検索できる仕組みです。AIと連携すれば、問い合わせ内容に応じて必要な情報を自動で抽出・提示でき、対応の属人化を防ぐことができます。
  • メール・チケット自動振り分けシステム
    問い合わせ内容に応じて、担当者や部署に自動で振り分ける仕組みです。問い合わせ量が多い場合の初動対応を効率化し、対応漏れのリスクを減らせます。
  • 業務フロー自動化(RPA)との連携
    ボットで取得した情報をRPAと連携して社内システムに自動で入力することや、定型処理を自動化することができます。単なる問い合わせ対応に留まらず、バックオフィス作業まで効率化が可能です。

ヘルプデスクなどの「問い合わせ業務を自動化する方法」については別の記事で詳しく解説していますので、そちらも参考にしてください。
【関連記事】問い合わせ対応を自動化する方法4選!メリットから選び方まで

チャットボットやボイスボットといったAIシステムでも問い合わせ対応の自動化は可能ですが、複雑な問い合わせや複数業務フローには限界があります。そこで、複数のAIエージェントが連携する仕組みを活用すると、単純な質問から複雑な手続きまで自動で処理でき、担当者の負担を大幅に軽減できます。この仕組みについては、後ほど詳しくご紹介します。

ヘルプデスク自動化のメリットと効果

自動化ツールを活用することで、企業だけでなく、顧客にとってもさまざまなメリットがあります。ここでは両方の視点に分けて整理します。

問い合わせ件数の削減

  • 企業のメリット:定型的な問い合わせを自動化することで、担当者は複雑な業務や付加価値の高い業務に集中でき、業務効率が向上します。
  • 顧客のメリット:よくある質問にはすぐに回答が得られるため、待ち時間が減りストレスなく問題を解決できます。

人手不足の解消

  • 企業のメリット:ピーク時の問い合わせもAIが対応できるため、人員を増やさずに対応力を維持できます。
  • 顧客のメリット:混雑時でもスムーズに問い合わせができ、必要なサポートを受けやすくなります。

社内ナレッジの蓄積

  • 企業のメリット:AIが対応した履歴や内容を活用することでナレッジが一元化され、FAQやマニュアル作成に活かせます。また、属人化も防げます。
  • 顧客のメリット:蓄積されたナレッジに基づき、より正確で一貫した回答が得られます。

問い合わせ集中の緩和

  • 企業のメリット:24時間365日対応が可能なAIにより、営業時間内に問い合わせが集中するリスクを軽減できます。
  • 顧客のメリット:夜間や休日でも問い合わせが可能になり、時間に縛られずサポートを受けられます。

複数AI連携による高度な対応

  • 企業のメリット:単独ボットでは対応が難しい複雑な問い合わせや業務フローも、複数AIが連携することで自動化可能。担当者はより価値の高い業務に集中できます。
  • 顧客のメリット:一つの窓口で複雑な手続きや問い合わせもスムーズに解決でき、利便性が向上します。

ヘルプデスク自動化の注意点と導入時の課題

自動化には注意すべき点もあります。導入前に理解しておくことで、現場に合った運用方法を検討できます。

複雑な問い合わせの対応限界

単純な質問や定型業務は自動化できますが、複雑なケースや判断が必要な問い合わせはAIだけでは対応しきれないことがあります。そのため、こうした問い合わせを検知して自動で担当者にエスカレーションするフローを設計しておくと、顧客対応の質を落とさずに自動化を進めることができます。

顧客とのコミュニケーション品質のばらつき

AIが自動応答する場合、文脈を誤って理解する、対応が機械的に感じられるといったリスクがあります。そのため、応答のトーンや表現を統一しつつ、必要に応じて有人対応に切り替える仕組みを用意しておくことで、顧客満足度を維持しやすくなります。

ナレッジの鮮度・精度管理

自動化が進むと、過去の情報やFAQに基づいてAIが回答するケースが増えます。古い情報や誤った情報がそのまま回答されるリスクを避けるために、ナレッジ管理や更新フローと自動化ツールを連携させ、常に最新情報が反映される体制を整えておくことが重要です。

業務フローの複雑化

自動化対象を増やすと、どの問い合わせをAIで対応するか、どの段階で担当者に回すかといったフロー管理が複雑化する可能性があります。段階的に自動化範囲を拡大し、フロー設計やルール整理を先に行うことで、現場の負荷を分散しながら効率的に運用できます。

複雑な問い合わせも対応できるマルチAIエージェント

前述でもお伝えしたように、単独のチャットボットやボイスボットでは、定型的な問い合わせや簡単な手続きは自動化できても、複雑なケースや複数の業務フローには対応が難しいことがあります。

そこで注目されるのが、複数のAIエージェントが連携して動作する「マルチAIエージェント」の仕組みです。例えば、1つのエージェントが問い合わせ内容を理解して分類し、別のエージェントが手続きやデータ入力を担当、さらに別のエージェントが社内システムと連携して処理を完了させる、といった役割分担が可能です。これにより、単純な質問から複雑な手続きまでシームレスに自動化でき、必要に応じて担当者へのエスカレーションもスムーズに行えます。

また、各エージェントの処理結果や履歴は中央で管理されるため、対応状況の可視化や改善ポイントの把握も容易になります。これにより、現場はルーティン対応に追われることなく、より価値の高い業務や顧客対応に集中できるようになります。

こうした新しい技術も含め、各システムやツールの仕組みや特長を理解することで、現場に合ったヘルプデスク自動化の方向性を考える際に役立ちます。

複雑問い合わせにも対応!ヘルプデスク自動化の最前線

本記事では、ヘルプデスク業務が抱える課題や、自動化による効率化の手法、メリット・デメリットについて整理しました。定型的な問い合わせ対応はチャットボットやボイスボットで自動化できますが、複雑な問い合わせや複数業務フローへの対応には限界があることも確認しました。

こうした課題を解決する手段として、複数のAIエージェントが連携して高度な自動化を実現する「マルチAIエージェント」の仕組みが注目されています。ルーティン業務はAIが自動処理し、必要に応じて担当者にエスカレーションすることで、現場はより価値の高い業務に集中できます。また、対応履歴や処理結果が中央で管理されるため、改善ポイントの把握や業務状況の可視化も容易です。

こうした仕組みを具体的に実現するのが CAT.AI マルチAIエージェントです。資料では、導入による業務効率化の具体的なイメージやシングルAIとの違いなど、詳細に紹介しています。資料を読むことで、自社のヘルプデスクに最適な自動化の方向性をより具体的に検討することができ、現場の負担軽減や顧客満足度向上に直結する活用方法をイメージしやすくなります。

この記事の筆者

TOMORROWNET

株式会社トゥモロー・ネット

AIプラットフォーム本部

「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、複数AIエージェントが連携し、業務を自動化する「CAT.AI マルチAIエージェント」など、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。

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