営業活動を自動化しよう!インサイドセールスにおける生成AI活用方法について

近年、営業活動を効果的かつ効率的に行う手法として「インサイドセールス」がより注目されています。しかし、実際にインサイドセールスを行っていくと、ターゲット分析や市場調査、トーク力なども重要となってくるため、商談に繋げるのが難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで活用できるのが「生成AI」です。インサイドセールス業務に生成AIを活用することで、ターゲットの分析や効果的なスクリプトの作成、顧客対応の自動化などインサイドセールスが行う多くの業務を自動化することが出来ます。
今回の記事では、インサイドセールス業務に活かせる生成AIの具体的な活用方法や注意点について解説します。インサイドセールスからの商談化率をアップさせたいと考えている方の参考になれば幸いです。
Index
インサイドセールスとは
インサイドセールスとは、「内勤営業」とも呼ばれ電話やメール、Web会議システムなどを用いて、営業先に訪問することなく営業活動を行う手法を指します。インサイドセールスの役割は企業によって異なり、アポイントの獲得を役割とする場合もあれば、受注までをミッションとする場合もあります。
テレアポとの違いについて
インサイドセールスと混同されやすい仕事として、「テレアポ」があります。テレアポも電話で営業活動を行うことは同じですが、基本的には受注に繋がる可能性の高さに関わらずアポイント獲得を目的にすることが多いです。
それに対しインサイドセールスでは、受注に繋がる可能性の高い顧客のアポイントを獲得することが求められます。特にBtoBのサービスを取り扱う企業の場合は、まだ興味の浅い見込み客とも長期的に関係を築きながら、将来商談に結び付けることもあります。
インサイドセールスが抱えるよくある課題

インサイドセールスを行っている企業の多くは、以下のような課題を抱えています
- 潜在顧客の状況やニーズが把握しきれていない
- データを有効活用できていない
- 部署間の連携がスムーズに行われていない
- 社員のモチベーション維持が難しい
以下で詳しくご説明します。
潜在顧客の状況やニーズが把握しきれていない
潜在顧客が置かれている市場の状況や抱えている課題が理解できなければ、商談化に繋がる提案をすることは難しいでしょう。しかし、潜在顧客を分析するにあたっては多くの工程やスキルが求められるため、十分に対応できていない企業が多いと言われています。
データを有効活用できていない
顧客管理システムや営業支援ツール、マーケティングツールなどを導入していても、有効に活用できていない企業は多いようです。背景には、日々のコア業務の多さや活用するメリットが浸透していないことなどが挙げられます。
部署間の連携がスムーズに行われていない
インサイドセールスでは、マーケティング部門が獲得した見込み顧客へのアプローチを行ったり、顧客のもとに直接訪問するフィールドセールス部門に商談化した顧客情報を引き継ぐなどの連携を行うことも多いです。部署間の連携がスムーズに行われていない場合、機会損失や企業としての信頼低下を招いてしまいます。
社員のモチベーション維持が難しい
インサイドセールスは即日結果に繋がりにくいことや、潜在顧客のニーズ把握や温度感を高めるのが中々難しいことからモチベーション維持が難しいと言われています。特にBtoBのサービスの場合は、先方の検討期間が長くなりやすいことから、アプローチの効果測定が難しく、自分の施策に自信が持てないなどのモチベーション低下に繋がってしまうこともあります。
【課題解消】インサイドセールスに生成AIを活用するメリット
では、インサイドセールスに生成AIを活用することで前述のような課題は解消できるのでしょうか。インサイドセールスに生成AIを活用するメリットには、以下のようなものがあります。
- 潜在顧客の分析を自動化できる
- 見込み顧客をリストアップできる
- データに基づいた効果的なアプローチができる
- トークスクリプトや資料作成を自動化できる
- 問い合わせなどの顧客対応を自動化できる
- 他部署との連携を自動化できる
- ノンコア業務を削減できる
生成AIを活用することで、インサイドセールスによくある課題を解消できる可能性があります。
インサイドセールスにおける生成AI活用方法について

インサイドセールスにおける生成AI活用方法は、主に以下の3つのフェーズに分けて考えることが出来ます。
- 事前準備
- 営業プロセス
- 事務的な作業
以下、具体的に解説します。なお、以下に記載する活用方法の中には、他のシステムとの連携を前提としている場合も含みますので、必要なシステムや連携の可否についてあらかじめ確認するようにしてください。
事前準備
インサイドセールスにおいては、見込み顧客や潜在顧客が置かれている市場状況や抱えている課題などの分析・理解が非常に重要です。データ分析を得意とする生成AIを活用し、「ターゲティング」や「スクリプト作成」、「資料作成」などの事前準備のプロセスを効率化することが出来ます。
ターゲティング
潜在顧客の属性やオンライン行動、市場データなどを生成AIに分析させることで、自社サービス(商品)に反応が高いであろうターゲットを予測しリスト化することが出来ます。さらに、リストの中でも商談化に繋がる可能性の高い潜在顧客の順位付けをすることも可能です。
スクリプト作成
過去のセールストークのデータや商談化に繋がった割合などを学習させることで、スクリプトの問題点や改善案などを提示することが出来ます。また、見込み顧客や潜在顧客が抱えている課題や市場データなどを元に、商談化に繋げるために効果的なスクリプトの作成を自動化することも可能です。
資料作成
生成AIを活用すれば、潜在顧客へのアプローチに使用する資料作成も自動化することが出来ます。生成AIはデータを元に画像や図表なども作成することが出来るため、顧客毎に効果的な資料を作成できるほか、資料作りにかかる時間を大幅に短縮することが期待出来ます。
営業プロセス
見込み顧客への実際のアプローチである「営業プロセス」においても、生成AIは効果的です。具体的には「顧客対応」「メールやチャットの文面の作成」「効果的なアプローチタイミングの分析」「議事録の作成とフィードバック」などが挙げられます。
顧客対応
生成AIを顧客対応に活用すれば、初期対応やよくある質問への対応を自動化することが可能です。さらに申し込みに関わる対応をすることも出来るため、申し込み対応などを自動化し、次なる新規顧客獲得へ向けた営業活動に専念することが出来ます。
メールやチャットの文面の作成
生成AIを活用し、見込み顧客ごとに、課題やサービスを導入するメリットなどの情報を踏まえた営業メールを作成することが出来ます。企業によっては毎日多くの営業メールが届くこともあるため、いかにターゲットの興味を惹く文章であるかが非常に重要です。
効果的なアプローチのタイミング分析
生成AIが見込み顧客の返信率が高い時間帯などを分析し、効果的なアプローチのタイミングを提案することもできます。営業への対応は後回しにされてしまうことも多いため、担当者の目に留まりやすく、連絡が取りやすいタイミングを予測することで、効果的かつ効率的なアプローチを実現できるでしょう。
議事録の作成とフィードバック
電話営業やWeb商談を行った際に、生成AIが会話内容の文字起こしや要約を自動で行ってくれます。また、会話内容の分析や改善点などのフィードバックをすることも可能なため、備忘録としてはもちろん、次回のコミュニケーションの円滑化にも繋がります。
事務的な作業
生成AIを活用し、「顧客情報の管理」や「他部署との連携」、「報告書の作成」などの事務的な業務を自動化することも出来ます。
顧客情報の管理・他部署との連携
獲得した顧客情報の入力や更新といった作業も、生成AIで自動化することが可能です。さらに、他部署への報告作業などを自動化できる場合もあります。
報告書の作成
営業活動の報告書を作成する際にも、生成AIが活躍します。商談ごとの要点をまとめたり、活用方法によっては報告書を生成AIだけで作成することも可能です。
インサイドセールスに生成AIを活用する際の注意点
インサイドセールスに生成AIを活用する際には、注意点も存在します。主な注意点は以下の通りです。
- データを十分に用意する
- 運用しながら精度をあげる
- 個人情報や機密情報を入力しない
- 必ずしも正しい答えを出すものではないことを理解しておく
以下でそれぞれ詳しく解説します。
データを十分に用意する
生成AIの精度を高めるためには、十分な質と量のデータを学習させる必要があります。生成AIは学習したデータを元に回答を生成するため、誤った知識や偏りのあるデータでは適切な回答を導き出すことは出来ません。
生成AIを効果的に活用するためには、導入前に出来るだけ多くの質の良いデータを用意しておくことや、導入後も新しいデータを学習させ続けることが大切です。
運用しながら精度をあげる
生成AIは実際に使用しながら徐々に精度を高めていくものです。期待した通りの働きをしないから使用をやめるのではなく、指示内容(プロンプト)を具体的にするなどし、「どうしたら求める指示が伝わるのか」を考えながら、生成AIを育てていくようにしましょう。
個人情報や機密情報を入力しない
生成AIを利用する際は、個人情報や機密情報を入力しないように注意してください。生成AIにこのような情報が渡ってしまった場合、意図しない形で顧客の目に触れてしまったり、サイバー攻撃などを受けた場合に外部に流出してしまったりといったリスクがあります。
生成AIを利用する際には、情報の取り扱いには十分に注意が必要です。
必ずしも正しい答えを出すものではないことを理解しておく
生成AIは必ずしも正しい答えを出すとは限りません。特に「ハルシネーション」と呼ばれる、生成AIが誤った情報をあたかも本当らしく回答することがあるため、注意が必要です。ハルシネーションを完全に防ぐことは難しいと言われてますが、「分からない質問には分からないと答える」と入力するだけでも、ハルシネーションの発生率が減少すると言われています。
また、ツールによってはハルシネーションの発生を最低限に抑える工夫が施されたものもありますので、導入の際にはそのような点も意識して選定すると良いでしょう。
インサイドセールスは生成AIで自動化しよう!
生成AIを活用することによって、インサイドセールスの業務を大幅に効率化させることが出来ます。また、見込み顧客のリストアップや優先順位付けなど、商談化に繋がる効果的なアプローチの手助けもしてくれるため、成果が上がることを期待出来るでしょう。
ただし、生成AIの活用には注意点も存在しますので、今回の記事を参考にしながら効果的に活用していただけたら幸いです。
トゥモロー・ネットが提供するCAT.AI GEN-Botは、生成AIと連携し企業が保有するあらゆるデータベースに基づいてテキストだけではなく、画像やフォームも使いながら適切な回答を作成・提示し、パーソナライズした対応で問題解決に導くことができるシステムです。
高度なデータベースとBot機能でオープンデータ使用を制御し、生成AIの課題でもあるハルシネーションの発生を最低限に留め適切な回答を提供することに加え、独自開発のNLP(自然言語処理)エンジンを搭載し、データ検索の精度を向上します。
企業の公式サイトやアプリ、チャットでの問い合わせ・FAQなどのフロントチャネルとしての活用に加え、社内規定やガイドライン、専門職のナレッジ統合ツールなどの従業員サポート・社内ヘルプデスクとして利用することができますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事の筆者

株式会社トゥモロー・ネット
AIプラットフォーム本部
「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、生成AIと連携したサービス「CAT.AI GEN-Bot」を筆頭に6つのサービスが含まれ、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。