チャットボットの会話デザインでUX向上!会話フロー設計の基礎

チャットボットはユーザーからの問い合わせに自動で対応してくれるため、企業の業務効率化や人手不足の解消、ユーザーの利便性、顧客満足度の向上などさまざまなメリットがあるシステムです。
しかし、導入したものの「ユーザーが使いこなせない」「期待した効果が得られない」といった課題を抱える企業も少なくありません。チャットボットの効果を最大限に引き出すためには、ユーザーにとって使いやすい「会話デザイン」が重要です。
今回は、チャットボットの会話デザインの重要性から、具体的な設計手順、そしてUXを高めるためのポイントまで詳しく解説します。
Index
チャットボットの会話デザインとは
チャットボットの会話デザインは別名「会話設計」とも呼ばれ、チャットボットとユーザーの会話の流れ(フロー)を設計することを意味します。
チャットボットはテキストを用いて自動でユーザーの問い合わせなどに対応しますが、ユーザーを円滑にゴールまで導くためには、「質問の順番」や「文章表現」などをあらかじめ学習またはシナリオ設定しておく必要があります。
会話設計のプロセスはチャットボットの種類によって異なりますので、あらかじめそれぞれの特性や仕様を理解しておかなければなりません。
チャットボットの種類については以下の記事で詳しくご紹介していますので、あわせてご参考ください。
なぜ会話デザインが重要なのか?
チャットボットの会話デザインを最適化することで、以下のようなメリットがあります。
- 顧客満足度向上:
分かりやすくスムーズに問題解決へ導くことで、顧客満足度を高めます。 - オペレーターの負担軽減:
定型的な対応を自動化でき、オペレーターが行う業務を軽減することができます。結果、複雑な業務へ注力することも可能になります。 - コンバージョン率向上:
適切な導線設計により、ユーザーの購入や申し込みなどのアクションを促進します。
会話デザインがユーザーにとってストレスのない設計であるほど、ユーザーの利便性や満足度の向上に繋がり、問い合わせ窓口の業務負担軽減や申し込みなどのコンバージョン獲得への効果が期待できます。
チャットボットの会話デザインを行う手順

チャットボットの会話デザインを行う際は、主に以下のような手順で行います。
- 目的の明確化
- ユーザー理解
- 口調やトーンの設定
- 会話フロー設計
それぞれ詳しく解説します。
1.目的の明確化
まずは、チャットボットで解決したい課題や達成したい目標を具体的に設定します。
「製品やサービス案内など、よくある質問への対応を自動化したい」「いつでも気軽に質問できる環境を作り、購入や申し込みへのハードルを下げたい」など、利用目的によって必要なフローなどの会話デザインは大きく変わりますので、まずは利用目的を明確にするようにしましょう。
2.ユーザー理解
ユーザーが使いやすい会話デザインにするためには、ユーザーを理解することが必要です。ユーザー層の傾向やよくある問い合わせ内容から「利用率の高い年代」や「ユーザーが抱えている課題」などをリサーチしましょう。
リサーチの方法としては、自社サイトのFAQページで閲覧数が高い項目を調べたり、コンタクトセンターに寄せられる問い合わせ履歴から、問い合わせが多い内容やユーザー層の傾向を主計することがおすすめです。
自社サイトにそのような情報がない場合には、競合サイトを参考にしたり、またはベンダーの知見に頼るのも良いでしょう。
3.口調やトーンの設定
チャットボットの口調やトーンを、企業のブランドイメージやユーザー層に合わせて設定します。
トーンや言葉使いは企業の特色やユーザー層などによって、どのような設定にするかが大きく異なる部分です。文法に則った文章で誠実なイメージを構築したり、少しくだけた言い回しで親近感を持たせたりなど、企業のイメージを擬人化する形で設定していくことも多いです。
企業のイメージキャラクターが話しているかのような言葉使いを再現したり、企業のイメージに合わせて新たなキャラクターを作りブランディングを行うなどの事例も多くあります。
ただし、キャラクターを設定する際はユーザー層も考慮し、堅苦しさや不快感を与えないように注意が必要です。
4.会話フロー設計
ユーザーの質問パターンを想定し、最適な回答と次の質問を設計します。
特に何度かラリーを続ける必要がある問い合わせでは、質問の順番や想定される回答を具体的にイメージしながら設計することが重要です。
UX向上のための会話フロー設計のポイント

ここでは、会話フローの設計について具体的に解説します。ユーザー体験(UX)向上のための会話フローにするためには、以下のようなポイントがあります。
- 使い方ガイドの表示
- 簡潔な文章
- 対応不可ケースの想定
- チャット終了時の配慮
- 継続的な改善
使い方ガイドの表示
初めてのユーザーでも安心して利用できるよう、操作方法を丁寧に説明します。例えば、最初の入力画面で「●●について知りたい、など質問を入力してください」などといったスタートメッセージを提示したり、使い方ガイドをまとめたページのURLを表示したりなどが効果的です。
チャットボットは、学習を繰り返すことで精度をあげていきますが、利用されなければ精度を向上させることが難しく、導入効果を最大限に発揮できないため、多くのユーザーに使ってもらうための工夫が非常に重要です。
簡潔な文章
チャットボットの会話デザインは、短く分かりやすい言葉で簡潔に伝えることが重要です。
特にスマートフォンで閲覧している場合は、長文であるほど離脱率が上がる傾向にあるため、短くシンプルな文章を心がけ、より詳しい情報を求めるユーザーに向けて該当ページのURLを表示するなども一つの方法です。
また、会話のラリー数が多いことも途中離脱を招く原因になるため、出来るだけ必要最低限のラリーに収まるよう、質問内容は厳選するようにしましょう。
対応不可ケースの想定
チャットボットで対応が難しいケースは有人対応へ切り替えるなど、柔軟な対応策を用意します。
ユーザーからの問い合わせ内容は多岐に渡るため、その全てをチャットボットで対応することは困難です。中には今まで一度も無かった問い合わせ内容や相談など個別対応が必要な内容が寄せられることも考えられます。
チャットボットでの対応が難しいケースでは、その場で有人オペレーターに繋いだり、他の問い合わせチャネルを提案したりするなど、チャットボット以外でユーザーを解決に導くための方法を提示することが大切です。
チャット終了時の配慮
チャットボットの終了時には「他にお手伝いできることはありますか?」などの丁寧な対応で締めくくると、ユーザーの印象は大きく変わります。
一つの質問ごとにチャットボットが終了してしまった場合、他にも質問があるユーザーは再度チャットボットを立ち上げる必要があり、ストレスを感じてしまうことが懸念されます。
また、チャットボットで対応ができない問い合わせと判断された場合に、仮に他の問い合わせ窓口を提示していたとしても、一方的に会話を終了されてしまってはあまり良い気はしないものです。
ユーザーに良い印象を与えるためにも、終了前に「疑問は全て解決できましたか?」といった確認を入れることをおすすめします。
継続的な改善
チャットボットにおけるUXを向上させるためには、利用ログを分析し、ユーザーの反応を見ながら改善を繰り返すことが重要です。
導入時に万全だと思っていても、運用していく中で、課題が全く出てこないということはなく、運用してはじめて見つかる課題もあるでしょう。定期的にチャットボットの利用ログをチェックし、利用率や途中離脱率、正答率などのデータを元に改善を繰り返すようにしましょう。
ただし、出てきた課題が会話デザインだけで解消できるものとは限りません。「そもそもチャットボットが起動されていない」「途中離脱率が高い」という場合には、会話フロー以外にも、直感的な操作性やアイコンの見た目といった外観デザインが原因となっていることもあります。
チャットボットの改善を行う際には、問題点の原因について多角的に分析するようにしましょう。
UX向上にはUI設計も重要
UX(ユーザーエクスペリエンス)向上には、会話デザインだけでなく、UI(ユーザーインターフェース)設計も重要です。UIはレイアウトなどの外観デザインのことを意味します。
視覚的にわかりやすいデザイン、使いやすいレイアウト、適切なアイコンなど、ユーザーが直感的に操作できるUIを目指すことで、UX向上にも繋がります。
チャットボットにおけるUX向上を目指すには、会話デザインとUI設計の両方に注力するようにしましょう。
チャットボットのUI設計については以下の記事で詳しく解説していますので、是非ご参考ください。
チャットボットのUI設計とは?デザインのポイントと改善の手順
チャットボットの会話デザインはUXに直結する!
チャットボットは企業とユーザー双方にとってさまざまなメリットを与えてくれるシステムですが、その効果を最大限に発揮するためにはユーザーをストレスなく円滑にゴールまで導く「会話デザイン」が非常に重要です。
会話デザインを行う際には、利用目的を明確にし、ユーザー層を理解しておくことやユーザー目線での設計を意識することがポイントとなります。そして、運用中も継続的に改善を繰り返し、利用目的を明確にし、ユーザー層を理解しておくことで質の高いユーザー体験を提供するチャットボットに成長させていきましょう。
トゥモロー・ネットが提供するCAT.AIは、ボイスボット(音声対話AI)とチャットボット(テキスト対話AI)を同時に使用できる最新型の「ナビゲーション型」対話AIです。
ボイスボットの利点とチャットボットの利点を最大限に活かし、「聴覚」と「視覚」でわかりやすく「ナビゲーション」することで、初めて使うユーザーでもカンタンに解決に導くAIチャネルです。
簡単にデモ体験も実施いただけますので、是非お問い合わせください。
この記事の筆者

株式会社トゥモロー・ネット
AIプラットフォーム本部
「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、生成AIと連携したサービス「CAT.AI GEN-Bot」を筆頭に6つのサービスが含まれ、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。