AIチャットボットをナレッジマネジメントに活用|情報を一元化して業務効率を向上させよう

AIチャットボットは顧客からの問い合わせ対応に用いられるケースが多いですが、社内でのナレッジマネジメントにも活用できることをご存知でしょうか。情報共有やナレッジマネジメントを目的として社内にAIチャットボットを導入すると、従来よりも社員に情報やナレッジが身に付きやすくなり、業務効率や生産性の向上が期待できます。
本記事ではナレッジマネジメントにAIチャットボットを活用するメリットや導入方法について解説します。AIチャットボットを社内に導入する際の注意点についてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
Index
ナレッジマネジメントとは
ビジネスシーンで使われているナレッジマネジメントとは、個人が持つ知識やノウハウといった「ナレッジ」を会社や組織全体で共有し、活用する経営手法です。有益な情報を社内で共有することで、社員全員の知識レベルやスキルの底上げを目的としています。
そのため、ナレッジマネジメントを効果的に行えば、新たな知識が獲得できるほか、技術革新の促進や業務効率化、生産性の向上などが期待できます。
ナレッジマネジメントが注目を集めている理由
ナレッジマネジメントは近年注目を集めていますが、その背景としては以下のような要因があります。
- 知識を引き継ぐ機会が減少している
- 働き方改革の推進により、生産性向上が急務になっている
- テレワークの普及により、知識や情報が共有されにくい
- 世代交代のタイミングでナレッジが失われる恐れがある
- 特定の担当者に業務を依存している
働き方改革などにより、多様な働き方が促進され、人材の流動性が高まりつつある中で、これまで蓄積されていた知識やノウハウが継承されることなく人材の入れ替わりが発生しているケースが増えています。
また、テレワークの普及が進む現代において、業務の属人化を防ぎながら組織全体で知識を共有し生産性向上を目指すために、ナレッジマネジメントの必要性が増しているのです。
ナレッジマネジメントにおける課題
組織全体での情報共有の重要性が高まる一方で、ナレッジマネジメントにはいくつか課題があります。蓄積された情報が活用されにくく、ナレッジ共有が実はうまくいっていないという状況に陥らないために、ナレッジマネジメントの課題についても把握するようにしましょう。
ここでは、ナレッジマネジメントにおける主な課題である「社員が知りたい情報にたどり着けない」「時間やコストがかかる」という2つについて解説します。
社員が知りたい情報にたどり着けない
ナレッジマネジメントにおいては、社内ナレッジを体系的に作成・管理するのが一般的です。しかし、ナレッジがうまくまとめられていなかったり、管理方法が適切でなかったりすると、社員がその資料にたどり着くのが困難になり、効率的に業務を行えないという問題が生じます。
その結果、社員は担当者に直接問い合わせしなければならなくなり、業務効率の低下に繋がります。
時間やコストがかかる
ナレッジを共有する際は、特定の社員などが講習などを開催したり、資料を作成することが一般的です。その場合、ナレッジの共有に時間がかかるばかりか、人的コストも発生します。
また、知見のある社員に日々同じような問い合わせが入り、その都度同じ対応をするのは非効率で、生産性低下につながります。また、情報を紙ベースで蓄積していた場合、新しい情報に更新するのに多くの時間とコストがかかってしまいます。
AIチャットボットを活用したナレッジ共有の仕組み
ナレッジマネジメントに課題がある中で、スムーズに効率よくナレッジを共有するにはツールの活用がおすすめです。ツールを活用したナレッジマネジメントとして注目されているのがチャットボットであり、その中でもAIチャットボットはその柔軟性の高さと利便性で特に注目されています。
AIチャットボットは、AI(人工知能)を活用した「自動会話プログラム」です。AIチャットボットには人工知能と自然言語処理が導入されており、ナレッジベースとAIチャットボットを連携させることにより、ユーザーからの質問に対して適切な情報を引き出すだけでなく、人間と会話をしているような受け答えでナレッジを共有します。これにより、情報が一元化され、組織全体でナレッジマネジメントの強化が可能になります。
ナレッジマネジメントにAIチャットボットを活用するメリット

近年ではIT技術の発達により、ナレッジマネジメントの実現に必要なツールが充実していますが、その中でもAIチャットボットを活用すると、以下のようにさまざまなメリットがあります。
- 業務効率が向上する
- 社員の欲しい情報がすぐに手に入る
- 問い合わせ担当の負担を軽減できる
- スムーズな業務の引き継ぎが行える
- 組織全体でのナレッジベースが強化される
それぞれ詳しく説明します。
業務効率が向上する
AIチャットボットは、情報を一元化し、自動で提示することが可能なため、社員は資料を探したり担当者に問い合わせしたりせずに、従来よりも簡単に手に入れたい情報にアクセスすることが可能です。
そのため、情報を求める側と提供する側、双方の負担が減り、社員は煩雑な作業から解放され、より自身のコア業務に専念できるようになります。また、AIチャットボットには同時に複数のユーザーとやり取りができる場合もあるため、情報提供の自動化により、社内全体で業務効率が向上するでしょう。
社員の欲しい情報がすぐに手に入る
AIチャットボットの良いところは、質問するだけで必要な情報を瞬時に得られる点です。
また、24時間365日利用できるため、担当社員が業務時間外であったり、不在であったりしても、自分の都合に合わせて情報を取得することができます。このように社員が欲しい情報に即時アクセスできる点は、業務効率化に繋がるほか生産性向上も期待できます。
問い合わせ担当の負担を軽減できる
AIチャットボットを活用することで、社員は担当者に直接問い合わせずとも、AIチャットボットに質問を打ち込むことで必要なナレッジにたどり着けます。これにより、部署内・部署間やり取りが削減できるため、これまで問い合わせに対応していた社員がコア業務に専念できるようになるでしょう。
スムーズな業務の引き継ぎが行える
AIチャットボットを活用し、業務に必要なナレッジを事前に共有しておけば、社員の異動や退職があっても、スムーズな業務の引き継ぎが可能です。
ベテラン社員の業務フローや顧客対応など、仕事全般に関するノウハウを可視化し、経験が浅い社員がそれを参考にして業務に取り組むことで、作業効率がアップするでしょう。
組織全体でのナレッジベースが強化される
AIチャットボットには、社員同士のコミュニケーション障壁を低減する側面があります。
ナレッジマネジメントツールとしてAIチャットボットを導入すれば、人が対応するよりも気軽に活用できるため、ナレッジ共有の加速も期待できます。
部署やチーム関係なく必要な情報が共有され、組織全体のナレッジベースの底上げができるでしょう。
ナレッジマネジメントにおけるAIチャットボットの導入方法

ナレッジマネジメントでAIチャットボットの導入を検討している方は、以下のステップを把握しておきましょう。
- 目的や課題の明確化
- 自社に合うツールの選定
- ナレッジの整理・アップデート
- 学習と設計
- モニタリングと改善
- 社員へ周知する
それぞれ詳しく説明します。
1.目的や課題の明確化
まずはじめに、AIチャットボットを導入する目的やナレッジの共有における自社の課題を明確にすることが重要です。具体的な目的や課題が定まれば、それを解決するためにどのような情報を提供すれば良いかが分かり、AIチャットボットに求める機能も見えてきます。
2.自社に合うツールの選定
予算や機能、使い勝手などを考慮し、自社のニーズに合うAIチャットボットを選定しましょう。前述した通り、ツールの導入目的や求める機能が定まっていれば、ツールの選定もスムーズに進みます。
3.ナレッジの整理・アップデート
導入するツールを決めたら、AIチャットボットが回答する情報源となるナレッジを集め、整理する作業を行います。
社員の問い合わせに対してAIチャットボットが適切に回答できるようにしなければ、せっかくツールを導入しても活用されなくなってしまうので、社内で利用するのを想定して、社員が求める情報が手に入るよう情報を収集しなければなりません。運用開始後も情報は常に新しい状態にできるようにまとめておき、AIチャットボットに常に最新の情報を提供できるようにする必要があります。
4.学習と設計
収集し、整理した社内ナレッジを連携するAIチャットボットに学習させます。この時、学習するデータの質だけではなく量も重要となりますので、できるだけ沢山の質の高いデータを学習させましょう。
また、社員がAIチャットボットとのやり取りでストレスを感じないよう、可能な限りシンプルな文言やわかりやすさを意識して、やりとりの流れを設計するようにしてください。
5.モニタリングと改善
AIチャットボットを導入したら、対応履歴を分析し、より良くなるよう改善していきます。ナレッジが不足していると問い合わせに対して最適な回答を得られないため、環境を再度整える必要があるでしょう。AIが学習していくことで社員が求める情報をスムーズに提供できるため、モニタリングと改善・学習を繰り返し、精度の高いAIに育てることが大切です。
6.社員へ周知する
AIチャットボットによるナレッジの共有を効果的に行うには、社員全員の協力が必要不可欠です。まずはナレッジマネジメントを取り入れる理由や目標を社内で共有し、そのうえでAIチャットボットの活用方法を周知しましょう。社員に適切な使い方を身につけてもらうことで、効果的な活用が可能になります。
AIチャットボットをナレッジマネジメントに活用する際の注意点
社内にAIチャットボットを導入することにより、必要な情報の共有やナレッジマネジメントの実現に繋がりますが、導入の際には以下の点に注意しましょう。
- セキュリティ面に配慮する
- 社員のAIへの理解を深めてもらう
- 費用対効果の検証をする
それぞれ詳しく説明します。
セキュリティ面に配慮する
ナレッジマネジメントの一環でAIチャットボットを導入したら、セキュリティ対策を十分に行いましょう。AIチャットボットにセキュリティが施されていなければ、社外秘の企業情報や個人情報の漏えいの危険性があり、自社に悪影響を与えかねません。そのほか、以下のリスクが考えられます。
- 社会的信用の低下
- 法的責任の追及
- 損害賠償請求
- 営業機会の損失
ツールの安全性を確認し、セキュリティ対策を講じたAIチャットボットを導入するのが望ましいです。
なお、AIチャットボットのセキュリティに関しては以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひそちらも併せてご確認ください。
【個人情報漏洩リスク】チャットボットのセキュリティってどうなっているの?DX推進の観点から情報漏洩リスクを考える
社員のAIへの理解を深めてもらう
AIチャットボット導入前から、適切な操作方法や活用方法について理解を深めておく必要があります。より精度の高いAIチャットボットに成長させ、業務効率化や生産性向上を目指すのであれば、事前にAIやチャットボットに関する知識を深めておくことが重要です。
費用対効果の検証をする
AIチャットボットを社内に導入する場合、適切なコスト管理も大切です。AIチャットボットは、月額費用などのランニングコストがかかったり、オプション利用で追加費用がかかったりと、ベンダーによって料金体系が大きく異なります。そのため、AIチャットボットにどのような費用が発生するのかあらかじめ把握しておき、長期間運用できるようにコスト管理をしっかり行いましょう。
AIチャットボットを社内に導入して業務効率化に繋げよう
ナレッジマネジメントにAIチャットボットを活用することで、社員が必要な情報へ即時にアクセスでき、自動化された問い合わせ対応によって、業務効率化と生産性向上に大きな効果が期待できます。
導入時にはセキュリティ面やコスト面への配慮、そして社内教育の徹底が必要になりますが、それにより社内のナレッジマネジメントが強化されるでしょう。自社のナレッジマネジメントに課題を抱えている企業の方は、この記事を参考にAIチャットボットによるナレッジ共有の推進に繋げていただけたら幸いです。
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高度なデータベースとBot機能でオープンデータ使用を制御し、生成AIの課題でもあるハルシネーションの発生を最低限に留め適切な回答を提供することに加え、独自開発のNLP(自然言語処理)エンジンを搭載し、データ検索の精度を向上します。
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この記事の筆者

株式会社トゥモロー・ネット
AIプラットフォーム本部
「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、生成AIと連携したサービス「CAT.AI GEN-Bot」を筆頭に6つのサービスが含まれ、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。