コールセンターで実現するカスタマーエクスペリエンス(CX)向上のポイント

投稿日 :2025.05.22  更新日 :2026.02.13

商品やサービスの機能や価格だけでは差別化が難しくなり、多くの企業で「カスタマーエクスペリエンス(CX)」の重要性が語られるようになりました。

一方で、「CX向上に取り組んでいるはずなのに成果が見えない」「施策やツールは増えたが、全体として良くなっている実感がない」と感じている担当者も少なくありません。特にコールセンターは、顧客の不満や迷いが最も集まりやすい接点でありながら、CX改善が現場任せになりやすい領域です。

本記事では、CXとCSの違いを整理したうえで、なぜCX向上が難しいのかという構造的な理由を掘り下げます。そのうえで、コールセンターを起点にCXを“仕組みとして設計・改善していくための考え方”と、最新のAI活用の方向性を解説します。読み進めることで、CXを施策単位ではなく「設計」の観点で捉え直し、自社の顧客接点をどう組み立てるべきかを考える材料になるはずです。

カスタマーエクスペリエンスとは何か

CXは「顧客対応の質」ではなく「体験全体の設計」

カスタマーエクスペリエンス(CX)とは、顧客が企業と関わるすべての接点を通じて得る体験の総体を指します。
電話やチャットでの応対品質だけでなく、問い合わせ前の情報探索、手続きの分かりやすさ、対応後の安心感まで含めて評価される点が特徴です。

そのためCXは、個々の接点を改善するだけでは向上しません。顧客の行動が前後で分断されず、一連の体験としてスムーズにつながっているかという視点で設計する必要があります。

CS・NPSでは測りきれない体験価値の違い

CS(顧客満足度)やNPSは、CXを把握するための重要な指標です。ただし、これらはあくまで結果を測る指標であり、なぜその評価に至ったのかという体験の構造までは示してくれません。

CS改善に取り組んでいるにもかかわらずCXが良くならない場合、その原因は多くの場合、

  • 接点ごとに施策が分断されている
  • 顧客の行動全体を前提に設計されていない

といった構造的な問題にあります。

なぜCX向上は分かっていても実現できないのか

CX向上が難しい最大の理由は、施策が部分最適に陥りやすい点にあります。主に次の3つの構造的要因が考えられます。

  • 部門ごとにCXの捉え方や目的が異なる
    マーケティング、カスタマーサポート、IT部門がそれぞれのKPIで動くことで、顧客体験が分断されがちです。
    例:Webでの問い合わせ改善はできても、電話対応の課題は放置されることがある
  • ツールが役割整理されないまま増えていく
    CRM、FAQ、ボットなどが個別に導入され、情報はあるものの判断や改善につながらない状態に陥ります。
    例:ボットで回答できる情報は整っているが、改善策として活用されない
  • 改善判断が人に依存してしまう
    担当者の経験や勘に頼った改善は属人化しやすく、継続的なCX向上を妨げます。
    例:ベテラン担当者しか対応できない判断フローが残り、改善が一時的になってしまう

こうした構造的課題があるため、CX向上には施策を単独で実施するのではなく、全体設計や役割分担を意識した仕組み化が必要です。

コールセンターがCXのボトルネックになりやすい理由

コールセンターには、WebやFAQでは解決できなかった顧客の迷い・不満・例外的なケースが集まります。本来であれば、CX改善のヒントが最も集約される場所であり、顧客体験全体を見直す重要な起点となるはずです。しかし現実には、以下の理由からCX改善の起点になりにくい構造を抱えています。

  • 応対に追われ、改善に手が回らない
    日々の問い合わせ対応でリソースが逼迫し、改善活動が後回しになりがちです。
  • 問い合わせ内容や判断基準が属人化している
    ベテラン担当者にしか対応できないフローが残り、個人の経験や勘に依存するため、改善策の再現性や拡張性が低くなります。
  • 改善結果が他チャネルに反映されない
    電話対応で得た知見がWebやチャットに活かされないなど、情報が孤立し、全体としてのCX向上につながりません。

これらの課題により、問題は繰り返され、顧客体験も改善されにくい状況が生まれます。つまり、コールセンターは単なる問い合わせ窓口ではなく、CX改善の「宝の山」である一方で、仕組み化や情報共有がされていないとその価値を最大化できません。

次の章では、コールセンターをCX向上の起点として活かす考え方について詳しく見ていきます。

コールセンターをCXの“起点”に変えるための考え方

コールセンターは、顧客の行動や感情が最も可視化される接点のひとつです。この接点を改善の起点として捉えることで、単なる問い合わせ対応の効率化に留まらず、顧客体験全体を設計することが可能になります。ここからは、CX向上のために具体的にどのような視点を持つと良いのかを整理して解説します。

対応効率化ではなく「体験設計」の視点を持つ

コールセンター改善というと、応答率や平均処理時間(AHT)といった効率指標が重視されがちです。しかしCXの観点では、「なぜ顧客は問い合わせをしてきたのか」「どこで迷いが生じたのか」を起点に考える必要があります。単に問い合わせを早く終わらせるのではなく、対応後の行動まで含めて体験を設計することが、CX向上につながります。

音声・チャット・Webを分けて考えないCX設計

企業側ではチャネルごとに管理していても、顧客にとっての問い合わせ体験は一続きです。Webで調べ、チャットで確認し、最終的に電話をかけるといった行動は珍しくありません。

CXを高めるためには、「どのチャネルで対応するか」ではなく、顧客の行動全体をどう支えるかという視点で設計することが重要です。

最新のCX施策は「ツール導入」ではなく「役割分担」で考える

従来のCRMやFAQ、ボイスボット、チャットボットなどのCXツールは、個別に導入するだけでは体験全体の改善につながらないことが多く、「情報はあるのに判断に使えない」「改善が次の施策に反映されない」といった課題が共通しています。

CXを本当に改善するためには、単に情報を集めるだけでなく、「問い合わせ内容の理解 → 必要な情報の参照 → 次に取るべき行動の判断 → 改善につなげる」という一連のプロセスを、分断せずに仕組みとしてつなぐことが重要です。
従来はこれを人だけで担っていましたが、対応量や複雑さが増える中で限界が生じています。ここに、新しいAI活用の可能性が広がります。

マルチAIエージェントというCX設計の新しい選択肢

マルチAIエージェントとは、複数のAIがそれぞれ役割を分担しながら協調して顧客対応や改善活動を進める仕組みです。
従来のAI活用は「AIが自動で回答する」ことに偏りがちでしたが、CXの観点では、体験を成立させるための役割をAI同士で分担することが重要になります。


コールセンター業務は、問い合わせ内容の理解、情報検索、判断、改善といった複数の役割を連続的に行う必要があるため、役割を分担した複数AIの連携はCX改善と高い親和性を持ちます。

マルチAIエージェントを活用することで、単なる応答の自動化ではなく、顧客体験全体を設計・改善する仕組みとしてCX施策を進められるのが大きな強みです。

カスタマーエクスペリエンスを“仕組み”として進化させるために

顧客体験の質を高めるためには、単に応答効率を上げるだけでは不十分で、顧客の行動や迷いに着目した体験設計と、各役割の明確な分担が不可欠です。従来のツールでは部分最適に陥りやすく、改善の成果が全体に反映されにくいという課題もありました。

そこで注目されるのが、複数のAIが役割を分担して連携するマルチAIエージェントの考え方です。CAT.AI マルチAIエージェントは、問い合わせの理解、情報参照、判断、改善までのプロセスを分断せずに支える仕組みを提供し、コールセンターのCX改善を起点に、顧客体験全体を底上げします。

この仕組みを活用することで、属人的な判断や分断された情報に頼ることなく、継続的にCXを向上させる施策を実行可能になります。詳細な導入事例や仕組みについては、CAT.AIのご紹介資料で確認でき、実務への活かし方を具体的にイメージすることができます。

この記事の筆者

TOMORROWNET

株式会社トゥモロー・ネット

AIプラットフォーム本部

「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、複数AIエージェントが連携し、業務を自動化する「CAT.AI マルチAIエージェント」など、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。

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