AI×CRM×コールセンターが生み出す未来|顧客理解を深め、LTVを最大化する戦略

投稿日 :2025.05.29  更新日 :2025.05.29

企業と顧客を繋ぐ接点として、日々多くの問い合わせに対応しているコールセンターですが、そこで重要視されているのが「顧客関係管理(CRM)」です。

これまで営業やマーケティング部門で活用されるケースが多かったCRMですが、コールセンターへの導入が進むことで、顧客理解が深まり、より良好な関係性の構築が可能になるとされています。

本記事では、コールセンターにおけるCRMの役割や導入による効果、活用を最大化するためのポイントを詳しく解説します。CRM導入を検討中の方や、既存ツールの見直しを考えているご担当者さまのご参考になれば幸いです。

CRMとは

そもそもCRMとは、「Customer Relationship Management(顧客関係管理)」の略称で、顧客データを活用して最適なサービスやコミュニケーションを提供し、ビジネスの成長を支える戦略やシステムを指します。

蓄積された顧客情報を元に、顧客一人ひとりにあった施策を行うことで、顧客満足度やロイヤリティ向上に取り組む企業が増えています。

コールセンターにCRMが求められる理由

コールセンターにおいてもCRMの需要が高まっています。その理由として、多様化する顧客ニーズに対応すること、そしてパーソナライズされた顧客対応で顧客体験を向上させることが挙げられます。

インターネットの普及により、消費者は必要な情報を気軽に調べることが可能になり、商品やサービスを購入・利用するのにネットで情報を取得し、金額を比較して購入先を決めるなど、市場環境が大きく、そして複雑に変化しました。

こうした変化の中で企業が継続的に選ばれる存在であるためには、既存顧客との良好な関係を築けるよう、顧客情報のデータ化や分析が可能なCRMが求められているのです。

AIとCRMの連携がもたらす効果と未来展望

近年では、AI(人工知能)とCRMを組み合わせたツールが急速に普及しており、従来は属人的だった判断や対応が、よりスピーディかつ高精度に行えるようになっています。

例えば、過去の問い合わせ履歴をもとに次に必要となるサポート内容をAIが先回りして提示したり、優先対応すべき顧客を自動でスコアリングして割り当てたりといったことが可能です。これにより、コールセンターにおけるオペレーターの業務負担を軽減しながら、対応品質を均一化する効果が期待できます。

すでに一部では、AIがリアルタイムに音声やテキストを解析し、顧客の感情やトーンを把握したうえで、最適な応対スクリプトを提示する仕組みが導入されています。今後さらに、「感情理解」や「応答の自動化」が進み、よりパーソナライズされた顧客対応が可能になると期待されています。

こうしたAIとCRMの融合は、単なる業務効率化にとどまらず、「顧客との関係性そのものを継続的に進化させる戦略基盤」として、企業のLTV最大化に大きく貢献するでしょう。

コールセンターにおけるCRMシステムの主な機能

コールセンターで活用できるCRMシステムの主な機能としては、以下が挙げられます。

  • 顧客情報と対応記録の管理機能
  • 情報共有機能
  • データ分析機能
  • CTI連携機能
  • ワークフロー機能
  • セキュリティ機能

それぞれ詳しく解説します。

顧客情報と対応記録の管理

CRMには顧客の氏名、住所、電話番号、メールアドレス、年齢、勤務先、属性など、顧客の基本情報や顧客対応記録を一元管理する機能がついています。

幅広いデータを入力し管理できるのが特徴で、入力されたこれらの情報は、次項で紹介する情報共有やデータ分析などに活用でき、効率的な営業活動やマーケティングに役立てられます。

顧客情報や対応記録の管理項目はカスタマイズできるケースが多く、企業それぞれのニーズに合わせた情報管理が可能です。

情報共有機能

情報共有機能は、チャットや掲示板などを用いて、顧客の基本情報や過去の問い合わせ内容をコールセンター内で共有できる機能です。

例えば、問い合わせ対応に困ったときに、チームメンバーにすぐに質問できたり、顧客の基本情報や対応履歴をチーム全体で共有できたりします。

この機能により、どのオペレーターが対応しても顧客の情報を即座に把握できるため、担当者による対応のバラつきを抑え、適切な顧客対応を目指すことが可能です。

データ分析機能

蓄積された情報から分析し、表やグラフにまとめる機能です。KPI(重要業績評価指標 )やVOC(顧客の声)、顧客との会話の分析によって商品やサービス、顧客対応の質を数値化し、業務効率化や顧客満足度向上を図ります。

例えば、顧客の属性や訪れる頻度、購入金額など複数の要素を掛け合わせた顧客分析を行い、顧客理解を深めることで、顧客一人ひとりのニーズに合わせた施策に役立てることができます。

CTI連携機能

CTIとは、コンピュータと電話・FAXを統合する技術です。CTIシステムとCRMを連携させることで、着信時に顧客情報をポップアップ表示させたり、登録された番号にワンクリックで発信できたりします。

CRMは単体でも効果を発揮しますが、CTI連携機能の活用により、オペレーターは顧客情報を即座に確認しながら迅速かつ適切な対応が可能となるなど、業務効率を大幅に向上させることができます。

ワークフロー機能

ワークフロー機能は、特定の条件下において、自動的に一連の処理を実行するための機能です。

コールセンターにおけるワークフロー機能の具体例としては、 問い合わせがきたら担当者を自動で割り当て、対話を記録に残して対応状況を可視化したり、問い合わせを行なった顧客に対して自動返信を送ったりといったものがあります。これにより、業務の効率化と対応の均一化、属人化防止に繋げられると同時に、顧客に対してパーソナライズされた情報を提供でき、より良い関係を構築できるでしょう。

セキュリティ機能

CRMには顧客のさまざまな個人情報やVOC、売上や業績など機密性の高い情報が含まれているため、データの漏洩や不正アクセス、サイバー攻撃、データ改ざんなどの被害に遭うリスクもゼロではありません。

そのため、CRMツールには強固なセキュリティ機能が搭載されているケースがほとんどです。搭載されている主なセキュリティ機能は、以下のようなものです。

  • 権限制御機能
  • 不正アクセス防止機能
  • データ暗号化機能
  • 多要素認証
  • IPアドレス制限
  • ファイアウォール
  • WAF

ただし、ツールによってセキュリティレベルは異なるため、導入時は自社が求めるレベルをクリアしているかを入念に確認しましょう。

CRMをコールセンターに導入するメリット

コールセンターにCRMを導入すると、顧客への理解を深め、顧客情報に基づいた適切な対応が可能になるため、結果として以下のようなメリットが得られます。

  • LTVの向上
  • 多様化する顧客接点への対応
  • マーケティングへの活用
  • オペレーターの対応品質向上
  • オペレーターの負担軽減

それぞれ詳しく説明します。

LTVの向上

LTVは「Life Time Value(ライフタイムバリュー)」の略で、「顧客生涯価値」を意味します。

顧客が自社と取引を開始してから終了するまでの期間にどれだけの利益を企業にもたらすかを表す指標であり、LTVを高めることが企業活動やマーケティング活動において重要です。

コールセンターにCRMシステムを導入すれば、顧客情報を一元化し、そのデータをもとに顧客一人ひとりに合った適切な対応が可能となるため、顧客満足度や顧客ロイヤリティを高め、LTVを向上させることが可能になります。

多様化する顧客接点への対応

かつては実店舗での購入が主流でしたが、現在ではインターネットを活用した購買行動が一般化しました。これにより、顧客との直接的な接点となるコールセンターが売上を左右する重要な役割を担っています。

コールセンターにおける問い合わせは、単なるサポート窓口に留まらず、商品やサービスの改善に活かせる貴重な情報源でもあります。

こうした背景を踏まえると、CRMシステムを導入することで、さまざまな接点における情報を効率的に集めることができ、直接的かつ重要な接点であるコールセンターで活用することが可能となります。

マーケティングへの活用

コールセンターでの顧客とのやり取りは、顧客のニーズや課題を把握する良い機会であるため、顧客一人ひとりの購買行動を分析するCRMの活用は、マーケティング戦略においても非常に有効です。

問い合わせ内容や行動履歴を分析することで、顧客に対する個別の対応が強化されるほか、ターゲティングを最適化するなど、より高度なマーケティング施策が行えます。

また、顧客の声が集まりやすいコールセンターで得た顧客の要望などを商品開発部門に共有すれば、商品・サービスの質向上に努められるほか、新商品やサービスの開発にも役立てられるでしょう。

オペレーターの対応品質向上

顧客情報や対応履歴を一元管理するCRMシステムの導入は、オペレーターの迅速かつ適切な顧客対応に繋がります。

顧客が購入した商品や購入店舗などの情報や行動履歴を即座に取得できるため、オペレーターはその情報をもとに顧客個人のニーズに基づいた対応が可能です。

さらに、オペレーターの顧客への対応履歴もシステム上に記録されるため、再びその顧客から問い合わせがあった際、別のオペレーターが対応することになったとしても、素早く以前の対話履歴にアクセスできるため、スムーズな対応ができるでしょう。

オペレーターの負担軽減

コールセンター業務は、多岐にわたる問い合わせへの対応や情報の照合・入力作業など、日々の業務量が多く、対応スピードと正確性が求められます。こうした中、CRMシステムを導入することで、顧客情報や対応履歴が一元化され、必要な情報をすぐに確認できるようになります。

その結果、オペレーターは都度の情報確認や二重対応といった非効率な作業から解放され、業務に集中しやすくなります。対応時間の短縮や作業の平準化により、業務全体の効率が向上し、結果としてオペレーターの負担軽減に繋がるのです。

コールセンターにおけるCRMを活用した施策

顧客との直接的な接点となるコールセンターにおいては、CRMを活用した顧客対応が求められますが、単にシステムを導入しただけでは費用対効果が得られません。

ここでは、コールセンターにおけるCRMを活用した具体的な施策についてご紹介します。

主な施策は以下のようなものです。

  • パーソナライズマーケティングの実施
  • リテンション戦略の強化
  • アップセル・クロスセルの提案

それぞれ詳しく説明します。

パーソナライズマーケティングの実施

CRMシステムに蓄積された詳細な顧客データを活用することで、よりパーソナライズされたマーケティング施策が可能になります。これにより、顧客との関係性を深め、リピーターの増加や客単価の向上に繋げることができます。

コールセンターにおいては、顧客の購買履歴や閲覧履歴をもとに、最適な商品を提案したり、将来的に優良顧客となる可能性の高い層を見極めて、的確なアプローチを行うことができます。

こうした取り組みにより、顧客一人ひとりに合った商品・サービスを提供できるようになり、結果としてLTVの最大化を図ることができます。

リテンション戦略の強化

マーケティングにおける「リテンション(retention)」は、企業が顧客との関係を維持するのと同時に、顧客ロイヤリティを高め、優良顧客へと成長させるための手法です。

既存顧客へのマーケティングは、新規顧客獲得と比較して少ない投資で大きなリターンを得られるため、既存顧客を対象にしたリテンションマーケティングの強化が注目されています。

CRMシステムの導入で顧客ニーズに合わせたパーソナライズされたコミュニケーションを提供し、既存顧客の維持に注力することで、売り上げの最大化を図ります。

アップセル・クロスセルの提案

LTVを向上させるのに欠かせない手法として、アップセル・クロスセルの提案があります。

アップセルは、購入している商品・サービスよりも、上位の商材を購入するように提案する手法です。一方、クロスセルは、購入している商品と合わせて関連商品・サービスを提案する手法です。

CRMシステムを導入して顧客の購入履歴や属性、問合せ内容などを詳しく分析し、結果をコールセンター内で共有できれば、顧客が現在利用している商品やサービスより上位のものへ乗り換えを促すことができ、顧客単価向上に繋げられます。

CRMの活用はコールセンターの価値を最大化する!

多様化する顧客接点において、コールセンターは今や単なる問い合わせ窓口ではなく、企業と顧客をつなぐ戦略的なチャネルとなっています。その中核を担うのがCRMの活用です。

顧客情報や対応履歴の一元管理により、スピーディーかつ的確な対応が可能になり、オペレーターの負担軽減や対応品質の向上につながります。また、蓄積されたデータを活かして、個々のニーズに合わせた提案を行うことで、LTVの最大化や売上の拡大も期待できます。

さらに、AIとの連携が進むことで、CRMは顧客体験(CX)を向上させるための強力なツールへと進化しています。これからのコールセンター運営において、CRMの導入・活用は欠かせない戦略的投資といえるでしょう。

貴社に最適なCRMの選定と活用を通じて、顧客とのより強固な関係構築と持続的なビジネス成長を目指しましょう。

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この記事の筆者

TOMORROWNET

株式会社トゥモロー・ネット

AIプラットフォーム本部

「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、生成AIと連携したサービス「CAT.AI GEN-Bot」を筆頭に6つのサービスが含まれ、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。

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