DX推進で進化するコールセンター|DX推進が顧客満足度と従業員満足度にもたらす効果

さまざまな業界でDX(Digital Transformation)推進の流れが強まってきていますが、コールセンターの業務改革においてもDX化は欠かせない要素となっています。
デジタル技術を活用したビジネスや業務プロセスを最適化することによって、コールセンターのさまざまな課題を解決でき、従業員満足度の向上や顧客満足度向上に繋がるのです。
本記事では、コールセンターでのDX推進の具体的な方法と、その効果について、顧客満足度と従業員満足度の観点から解説します。
Index
コールセンターにおけるDXとは?
DX(Digital Transformation)とは、デジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセスを変革し、新しい価値を創出することを指します。
コールセンターにおけるDXは、単に電話システムをデジタル化するだけではありません。AIなどのデジタルツールを導入・活用していくことで、業務プロセスや顧客体験を根本的に変革し、業務効率化や顧客満足度の向上、競争力の強化などを目指す取り組みがコールセンターのDX化といえます。
コールセンターにDX化が必要な理由
コールセンターにDX化が求められる背景には、コールセンター業界でのオペレーターの人材不足や応対品質のバラつきなどの課題があります。
消費者が必要な情報を気軽に調べて取得できる現代では、商品やサービス自体の価値だけでは競合と差別化できなくなっており、企業は迅速かつ高品質な対応が求められています。しかし、人材不足や応対品質のバラつきなどにより効率性と業務の質に悪影響を及ぼしており、顧客に対して価値の高い対応ができなくなってしまうのです。
コールセンターにおけるDX化は、オペレーターと顧客双方の満足度向上を実現するために必要な取り組みと言えるでしょう。
コールセンターDX化のプロセス
コールセンターのDXを推進する場合は、以下のステップで進めていきます。
- 現状の課題の洗い出し
- デジタル化する業務の特定
- DX化に向けたチーム編成
- 導入システムの選定
- 導入計画の策定と実行
- 定期的な効果測定の実施
それぞれ詳しく解説します。
①現状の課題の洗い出し
コールセンターのDXを推進するにあたり、まずは自社のコールセンターが抱える課題を明確にし、改善すべき点を整理する必要があります。この際、平均通話時間や応答率といった定量的なデータを分析するだけでなく、実際に対応しているオペレーターに業務に関する悩みや課題をヒアリングすることも重要です。
なお、応答率等のコールセンターにおける顧客満足度を測定する主な指標は以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひそちらも参考になさってください。
コールセンターの顧客満足度(CS)とは?指標や向上させる方法について解説 | CAT.AI(キャットエーアイ)
②デジタル化する業務の特定
すべての課題をDX化で解決するのは非常に困難です。そのため、コールセンター業務における課題を洗い出したら、その中からDX化によって解決できるものを特定します。
DX化で対応できない課題は、他の方法で対応できないかも検討する必要があり、場合によっては業務プロセス自体を見直さなければならないでしょう。
③DX化に向けたチーム編成
コールセンターのDX化を円滑に進めるためには、社内DX推進チームを編成し、役割を分担して取り組むことが大切です。
多様なスキルや経験を持つメンバーを選出したうえで、 DX推進リーダーがチームを統括し、連携してプロジェクトを進める必要があります。必要に応じて外部の専門家やベンダーを招き、協力体制を構築するのも有効です。
④導入システムの選定
課題解決に向けて、目的に合ったシステムの選定を行います。今後、事業拡大を考えている場合は拡張性があるものを選ぶ必要がありますし、新人オペレーターが入ったときでも扱いやすいよう操作性を考慮することも大切です。
また、コールセンターのDX化がどのような顧客体験をもたらすのか、というように顧客目線を忘れずにシステムを選定しましょう。
⑤導入計画の策定と実行
導入するシステムの選定が完了したら、導入の計画を立てて実行に移します。導入スケジュールはもちろん、移行方法やシステム設定、導入後の研修や運用体制など細かく設計することでDX化がスムーズに進みます。
⑥定期的な効果検証の実行
システムの導入後も、効果検証をして施策の改善や最適化を行うことが重要です。導入前と導入後でコールセンター業務にどのような変化があったのかを比較し、課題が解決できているかを確認します。
ただし、導入直後から成果が出るとは限りません。どのようなシステムを導入するにせよ、改善を繰り返し長期的な目線で運用していくことが導入効果を最大化する秘訣です。継続的に見直しや改善を図り、理想に近づけましょう。
コールセンターのDX化で期待できること

コールセンターにおける課題は、問い合わせ対応時間の長さ、オペレーターの負荷の大きさ、顧客管理の煩雑さなどがありますが、これらをDX推進により解消できる可能性があります。
ここでは、コールセンターのDX化により解消できる課題や期待できることを具体的に説明します。主なものは以下のとおりです。
- 応対品質の平準化
- 顧客満足度の向上
- 人材不足の解消
- 業務効率化や収益性向上
それぞれ見ていきましょう。
応対品質の平準化
コールセンターにおける応対品質のバラつきは、顧客満足度を低下させる大きな要因です。しかし、コールセンターをDX化し、対応できる部分をAIに任せることで、定型的な対応が標準化され、対応品質を一定に保つことができます。
顧客満足度の向上
コンタクトセンターのDX化は、顧客体験の向上に繋がるものが多いです。デジタル技術の活用により、問い合わせの待ち時間が短縮されたり、自分の好きなタイミングで問い合わせできたりと、顧客体験の向上が期待できます。
また、顧客とのコミュニケーション方法を電話に限定せず、メールやチャット、SNSなど顧客が好む多様なチャネルで対応できるようになることで、自己解決率が上がるほか、電話が苦手な顧客も気軽に利用できるようになり顧客満足度向上に繋がります。
人材不足の解消
コールセンター業界では、労働人口の減少や業務の過酷さが原因で、人材の確保と定着が難しい状況が続いています。DX化することにより、業務の効率化や自動応答の活用が進むことで、少人数でも対応可能な体制を整えられるほか、オペレーターの負担も軽減され、離職率の抑制が期待できます。
結果として、優秀な人材が働きやすくなり、継続的に活躍できる職場づくりが可能になります。
業務効率化や収益性向上
定型的な問い合わせを自動化することで、対応にかかる時間を削減でき、全体の業務効率が向上します。さらに、顧客が利用しやすいチャネルに柔軟に対応できれば、顧客は自身の都合や好みに合わせて問い合わせ手段を選べるようになり、よりスムーズな問題解決が期待できます。
このような施策を通じて、社内業務の最適化と顧客満足度の向上を同時に実現すれば、結果として収益性向上にも繋がっていくでしょう。
DX施策とCS・ESへの具体的な効果

DXは、顧客満足度(CS)と従業員満足度(ES)の向上に大きな影響を与えます。DXを推進することによって、CS・ESの向上も期待でき、結果的に企業の業績向上にも繋がるとされていますが、DXの具体的な施策はどのようなものがあるでしょうか。ここでは、代表的なDXの取り組みと、それによってもたらされるCS・ESへの効果について解説します。
- ACDやIVRを活用した電話の振り分け
- FAQシステムによる自己解決の促進
- ポップアップツールによる対応スピードの向上
- AI技術を活用した業務推進
それぞれ見ていきましょう。
ACDやIVRを活用した電話の振り分け
ACD(着信呼自動分配装置)やIVR(自動音声応答システム)などの技術を活用し、顧客からの電話の振り分けることで、CSとESどちらの向上も期待できます。
ACDはあらかじめ設定した条件や優先度などに基づいて電話を自動で振り分ける仕組みです。IVRは入電時に音声ガイダンスを流し、顧客の選択肢に応じて担当部署を案内する仕組みです。
これらのシステムを使うことで、顧客側にとっては待ち時間やたらい回しといったストレスの軽減、オペレーターにとっては対応負担の分散といったメリットがあり、CS・ES双方の向上に繋がるでしょう。
FAQシステムによる自己解決の促進
FAQシステムは、「よくある質問」と、企業側の「回答」を集約したデータベースで、顧客の自己解決力を向上するためのものです。
定型的な問い合わせであれば、コールセンターに電話せずとも自分で疑問を検索して解決できる可能性が高く、コールセンターへの問い合わせ件数の削減にも繋がるため、顧客満足度と従業員満足度の両方の向上が期待できます。
コールセンターにおいては、オペレーターが顧客の質問に回答する際や、社内マニュアルとしてFAQを導入するケースも多いです。これにより、応対品質のバラつき軽減や、教育コストや新人の立ち上がり期間の短縮にも効果が期待できます。
CTIによる対応スピードの向上
コールセンターのDX化にはCTIの導入も有効です。コールセンターで利用されているCTIは、CRMなどと連携し、入電時に顧客情報(氏名、購入履歴、過去の対応内容など)を画面に自動表示するものがあります。
オペレーターにとっては情報の聞き直し防止や対応の効率アップに繋がり、顧客にとってもスムーズな対応が実現します。
その結果、顧客のストレス軽減と満足度向上に繋がると同時に、オペレーター側でも通話時間の短縮や心理的負担の軽減が見込まれ、ESの向上にも貢献します。
AI技術を活用した業務推進
AI技術を活用することで、顧客対応における課題の可視化や、改善施策の効果測定がスピーディーに行えるようになります。以下のようなAI技術を活用することで、業務の質とスピードを向上させ、オペレーターの反復作業や精神的な負荷を軽減できます。これにより、働きやすい職場環境の構築にも繋がるでしょう。
テキストマイニング
テキストマイニングは、顧客からの問い合わせ内容やアンケート、SNSの投稿などの大量のテキストデータをAIが解析し、重要なキーワードや傾向を抽出します。これにより、顧客のニーズや不満点を把握しやすくなり、サービス改善や業務効率化に役立ちます。また、オペレーターは問題の根本的な原因を迅速に理解できるため、対応の質が向上し、顧客満足度の向上にも繋がります。
声紋認証
声紋認証は、顧客の声の特徴(声紋)を用いて本人確認を行う技術です。パスワードや本人確認の質問に答える必要がなく、発話だけでスムーズに認証できるため、顧客にとっては手間が省け、ストレスの少ない体験を提供できます。
オペレーターにとっても本人確認にかかる時間が短縮されることで、対応効率が向上し、全体の業務負荷の軽減にも繋がります。安全性と利便性を両立できるため、コールセンター業務において注目されている技術の一つです。
AIチャットボット
AIチャットボットは、顧客がテキスト入力した内容(質問)をAIがリアルタイムで解析し、最適な回答を自動で提示します。これにより、営業時間外でも24時間対応が可能となり、顧客は自分のタイミングで問い合わせができます。また、オペレーターにとっても入電数が削減されることで業務負荷が軽減します。
ボイスボット
ボイスボットは、音声による問い合わせに対してAIが自動で応答する音声対話システムです。顧客が電話で話しかけると、AIがその内容を音声認識・解析し、適切な回答や案内を音声で返します。
これにより、従来オペレーターが対応していた問い合わせ対応の多くを自動化でき、入電数の削減や対応時間の短縮が可能になります。顧客にとっては待ち時間の削減に繋がり、オペレーターにとっても対応数が多いことによる負担が軽減されます。
DXの推進は顧客満足度と従業員満足度の両立を実現する!
コールセンター業務におけるDXの推進は、単なる業務効率化にとどまらず、顧客満足度(CS)と従業員満足度(ES)の双方を高める重要な施策です。
IVRやFAQシステム、AIなどの導入により、顧客は迅速かつ快適な対応を受けられるようになり、利便性と体験価値が向上します。一方で、オペレーターは業務負荷の軽減や判断支援により働きやすい環境が整い、従業員満足度の向上にも繋がります。
こうしたDXの流れをさらに加速させる存在として注目されているのが、トゥモロー・ネットが提供するCAT.AIです。
CAT.AIは、ボイスボット(音声対話AI)とチャットボット(テキスト対話AI)を同時に使用できる最新型の「ナビゲーション型」対話AIです。ボイスボットの利点とチャットボットの利点を最大限に活かし、「聴覚」と「視覚」でわかりやすく「ナビゲーション」することで、初めて使うユーザーでもカンタンに解決に導くAIチャネルです。
独自のCX理論から、顧客は分かりやすくナビゲーションしてもらいながらAIによる問い合わせ受付を完了できます。また、オペレーターにとっても、従来のAIが一次対応や簡易的な問い合わせ対応が中心だったのに対し、CX-BotではAIによって応対フローそのものを完結できるケースが増えるため、業務全体の負担を根本から解決し、大幅に軽減できます。
簡単にご体験いただけるデモもご用意していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事の筆者

株式会社トゥモロー・ネット
AIプラットフォーム本部
「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、生成AIと連携したサービス「CAT.AI GEN-Bot」を筆頭に6つのサービスが含まれ、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。