コールセンターのDXとは?推進ステップや最新AI活用による効果を解説
現在、多くのコールセンター現場では、深刻な人手不足、オペレーターごとの応対品質のバラつき、そしてSNSやチャットなど顧客ニーズの多様化・高度化といった課題が噴出しています。これらの課題はもはや、精神論や従来の運用改善だけで解決できる限界を超えています。
こうした閉塞感を打ち破り、顧客満足度(CS)と従業員満足度(ES)を劇的に向上させる手段が「DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。単なるシステムの置き換えではなく、AIを起点に業務そのものを再定義することが求められています。
本記事では、最新AI技術を活用したDX施策の核心から、失敗しない導入ステップ、現場で得られる具体的な成果までを徹底解説します。最後までお読みいただくことで、自社に適したDXの青写真を描き、次世代のセンター運営へ向けた確かな一歩を踏み出すことができるはずです。
Index
コールセンターにおけるDXとは?最新の課題と解決の方向性
コールセンターにおけるDXとは、デジタル技術を活用してオペレーションを自動化・効率化するだけでなく、顧客体験(CX)と従業員体験(EX)を変革し、センター全体の付加価値を高める取り組みを指します。
DXが求められる現場の課題
なぜ今、DXが急務とされているのか、現場が直面している課題から紐解きます。
人材不足とオペレーターの負荷
採用難に加え、離職率の高さが慢性的なリソース不足を招いています。一人ひとりの業務負荷が増大し、疲弊がさらなる離職を呼ぶ悪循環に陥っています。
応対品質のばらつきと顧客満足度への影響
個人のスキルや経験に依存した応対は、回答の誤りや態度の差を生みます。これがブランド毀損を招き、顧客満足度を著しく低下させる要因となっています。
顧客ニーズの多様化・複雑化
「電話で済ませたい」層だけでなく、「Webやチャットで即座に完結させたい」層が急増しています。複数のチャネルをまたぐ複雑な問い合わせに対し、既存の縦割りシステムでは対応しきれなくなっています。
コールセンターDXの実践ステップ
DXを成功させるためには、いきなりシステムを導入するのではなく、現状を正しく把握し、段階的に進めることが不可欠です。以下に、失敗しないための6つのステップを解説します。
①現状業務と課題の可視化
オペレーターの業務フローや問い合わせ内容(VOC)を詳細に整理し、どこに負荷がかかっているか、どこが非効率なポイントかを明確にします。
AHT(平均処理時間)や入電理由(LOG)などの定量データに加え、現場で「実は無駄だと感じている」属人的な作業を浮き彫りにします。
②自動化・AI活用の対象業務を特定
FAQで回答可能な定型的な問い合わせ、資料請求の受付、本人確認など、AIや自動化ツールによる代替効果が高い業務を抽出します。
「AIに任せられる領域」と「人間が対応すべき高度な領域」を切り分け、投資対効果(ROI)が高い部分から着手します。
③運用ルールの設計と役割分担
DX施策を現場で円滑に実行するための運用ルールやKPI管理方法を策定します。AIが対応できなかった場合のエスカレーションフローなど、人とデジタルの役割分担を明確にします。
「誰が判断し、誰が対応するか」を事前に決め、責任範囲と承認プロセスを明確にしておくことで、導入後の混乱を防ぎます。
④導入システム・ツールの選定
自社の課題解決に最適なツールを評価・選定します。単なる機能比較ではなく、現場の使いやすさやサポート体制を重視します。
既存のCRMやCTIシステムとの連携可否、将来的な業務拡大に対応できる拡張性(スケーラビリティ)を選定基準に必ず含めてください。
⑤パイロット運用と効果検証
いきなり全てに導入するのではなく、一部の業務やチームで試験的に導入し、応対品質、効率、顧客満足度の改善効果を測定します。
スモールスタートでテストし、現場のオペレーターからフィードバックを集め、課題やトラブルを事前に洗い出して修正します。
⑥本格導入と改善サイクルの確立
パイロット運用での成果をもとに全社展開を行います。導入後も定期的に運用データを分析し、改善サイクル(PDCA)を回す体制を整えます。
定量データと現場の定性的な声の両方を活用し、継続的にAIの学習データ追加や運用ルールの見直しを行うことが、効果を最大化する鍵です。
最新AI・自動化施策と現場での効果

DXは、顧客満足度(CS)と従業員満足度(ES)の向上に大きな影響を与えます。適切にテクノロジーを導入することで、これら二つの指標はトレードオフの関係ではなく、相互に高め合う「好循環」を生み出します。 ここでは、代表的な4つのAI・自動化施策と、それらが現場にもたらす具体的な効果について解説します。
応対品質の平準化
オペレーターのスキルや経験年数、あるいはその日の体調によって応対品質にバラつきが出ることは、コールセンターの長年の課題でした。 AI音声認識によるリアルタイムの回答支援や、ボイスボット(音声対話AI)を導入することで、常に一定レベルの高品質な応対を維持(平準化)できます。
- CSへの効果: 「担当者によって回答が違う」「新人で話が通じない」といった不満が解消され、顧客はいつでも安心してサービスを利用できます。
- ESへの効果: 経験の浅いオペレーターでもAIのサポートにより安心して対応できるため、心理的負担が軽減されます。また、ベテラン層も新人教育やフォローの工数が減り、自身の業務に集中しやすくなります。
FAQやチャットボットによる自己解決の促進
「よくある質問」をFAQシステムやチャットボットで充実させ、顧客が電話をかける前にWeb上で自己解決できる環境を構築します。
- CSへの効果: 24時間365日、待ち時間ゼロで疑問を解決できるため、顧客の利便性が飛躍的に向上します。特にデジタルネイティブ層にとっては、電話よりも快適な体験となります。
- ESへの効果: 「パスワードの再発行」や「営業時間の確認」といった定型的な問い合わせが入電前に処理されるため、呼量が削減されます。オペレーターは、単純作業の繰り返しによる疲弊(バーンアウト)から解放され、人による対応が必要な相談業務に注力できます。
CTIによる対応スピードの向上
電話システム(CTI)と顧客管理システム(CRM)を連携させ、着信と同時に顧客情報(過去の問い合わせ履歴や購入状況など)をオペレーターの画面に自動表示します。
- CSへの効果: 「以前もお伝えしたのですが…」といった顧客の前置きを省き、スムーズに本題に入れるため、保留時間や通話時間が短縮され、快適なコミュニケーションが実現します。
- ESへの効果: 顧客情報を検索する手間や、聞き直しによるストレスがなくなります。また、通話終了後の入力作業(ACW)も一部自動化されるため、業務効率が向上し、残業時間の削減にも寄与します。
マルチAIエージェントによる複雑業務自動化
従来のチャットボットが苦手としていた「複雑な手続き」や「曖昧な表現の理解」を、生成AIなどを活用したマルチAIエージェントが担います。単なるQ&Aだけでなく、予約変更や契約内容の照会など、基幹システムと連携して業務を完結させます。
- CSへの効果: 生成AIの高い言語理解力により、柔軟で精度の高い応答が可能です。「AIに伝わらない」というストレスを最小化し、有人対応に近いレベルでのスムーズな手続き完了を実現します。
- ESへの効果: これまで有人対応が必須だった複雑な定型業務や、Webと電話を行き来するような対応をAIが代行します。これにより、オペレーターの負荷は劇的に下がり、より付加価値の高い「おもてなし」や「クレーム対応」等のコア業務にリソースを集中させることが可能になります。
自社に最適なDX施策の検討と次の一歩
コールセンターDXは、単なるツールの導入ではなく、現場の課題を起点に段階的に業務を変革する取り組みです。現状業務の可視化から始め、AI・自動化の適用領域を冷静に見極め、効果検証を繰り返すことが成功への唯一の道です。
最新のAI・自動化施策を適切に組み合わせることで、応対品質の安定化や業務効率化を実現し、長年の課題であった「CS(顧客満足度)」と「ES(従業員満足度)」の両立が可能になります。
特に、電話、Web、アプリなど複数の接点があり、業務が複雑化しているコールセンターでは、単機能のボイスボットやチャットボットでは解決しきれない課題が多く存在します。そこで有効なのが、マルチAIエージェントによる業務全体の自動化・最適化です。
次世代AIソリューション「CAT.AI」のマルチAIエージェントは、音声と視覚(チャット)を融合した独自のナビゲーション技術とオムニチャネル対応により、一貫した顧客体験を提供します。さらに基幹システムとも連携し、予約や変更といった複雑な業務フローまでをAIが自律的に完結させることが可能です。
「自社のコールセンター業務をどこまで自動化できるのか?」「他社はどのようにCS・ESを向上させたのか?」 具体的なイメージを掴みたい方は、最新の導入事例や効果が分かる資料をご確認ください。貴社のDX推進の「次の一手」が見つかります。
CAT.AI マルチAIエージェント for Voice を導入し、AIとCXデザインを融合させて成果を出している3社のリアルな取り組みを紹介
この記事の筆者

株式会社トゥモロー・ネット
AIプラットフォーム本部
「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、複数AIエージェントが連携し、業務を自動化する「CAT.AI マルチAIエージェント」など、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。
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