コールセンターの生産性で重要なCPHとは?指数の計算の仕方と改善方法を解説

投稿日 :2025.06.10  更新日 :2025.06.10

コールセンターの現場では、生産性や業務効率を可視化するためにさまざまな指標が活用されています。その中でも、オペレーター個人やセンター全体のパフォーマンスを評価する上で欠かせないのが「CPH(Call Per Hour)」です。

本記事では、CPHの基本的な考え方や算出方法、確認する際の注意点、そして具体的な改善方法について詳しく解説します。

CPHに関する基礎知識を身につけ、効果的に活用することでコールセンターの生産性向上に役立ちますので、自社のコールセンターにおける課題を解決するためにも、ぜひ最後までご覧ください。

コールセンターのCPHとは

コールセンターの品質をはかる数値の一つとして、「CPH」があります。

CPHとは、「Call Per Hour」の略で、1人のオペレーターが1時間あたりに対応したコール数を示す指標です。単なる対応件数ではなく、電話応対・処理作業など一連の業務を含めて1コールとカウントします。

オペレーター個人の能力に限らず、コールセンター全体の評価にも繋がる指標であり、生産性の向上を図るうえでもCHPを重視する企業が多いです。

CPHの内訳は以下の3つです。

  • 顧客からの入電受付
  • 電話による対応
  • 応対後の事務処理

これらをまとめて1コールとしてカウントし、センター全体の運営状況を定量的に把握する材料となります。

CPHの算出方法

コールセンターのCPHは、以下の計算式で算出します。

【CPH=1日の対応件数÷稼働時間】

例えば、5人のオペレータが2時間で200件対応した場合、

CPH=(200÷5)÷2=20件

となり、1時間あたり1人20件こなしていることがわかります。

このように、コールセンター全体のCPHを算出し、その平均値を把握すれば、生産性を判断するための指標として活用できます。コールセンターの現状を把握するためにも、まずはセンター全体のCPHを算出してみましょう。

なお、CPHはコールセンターの繁忙期など、問い合わせ件数にも反映されます。

CPHの目安

「CPHは高い方が生産性が高い」と思われがちですが、必ずしもそうではありません。

CPHの適正値はコールセンターの業務内容や対応の複雑さによって異なるため、数値が高いから良いというわけではないのです。

CPHが低すぎれば、問い合わせ対応のスピードが遅く、オペレーターが適切に稼働していない確率が高いといえますが、一方で、高すぎると丁寧な対応ができず、対応品質が低下する懸念があります。

そのため、業種や会社によって適切なCPHを設定し、目標値に近づけることが重要です。

CPHを適切に管理するメリット

コールセンターでCPHを改善することで、以下のメリットが得られます。

  • 業務効率の向上
  • 人員リソースの最適化
  • 顧客満足度の向上

1時間あたりの対応コール数が増えると、人員や設備などのリソースを最適に利用できていると言えます。そのため、業務効率が上がるほか、問い合わせをする顧客の待ち時間が減ることで、顧客満足度向上に繋がります。

コールセンターのCPHを確認する際の注意点

コールセンターの生産性の向上を目指す場合、CPHが低ければ必ずCPHを分析し、何が数値低下の原因になっているかを把握しましょう。

CPHが低い場合、以下の原因が考えられます。

  • オペレーターの配置が最適化されていない
  • 各コールの応対に時間がかかっている
  • 後処理業務を支えるシステムが操作しづらい

このように、CPHが低ければ業務プロセスに非効率な部分がある可能性が高く、適切な改善策を講じる必要があります。ここでは、コールセンターのCPHを確認する際の注意点を解説します。

数値だけでなく質も考慮する

CPHの数値だけでオペレーター個人やコールセンター全体の生産性を評価すると、オペレーターに対して過度な目標設定をしてしまう恐れがあります。

その場合、対応件数を増やそうとするあまり、顧客対応の質の低下を招く恐れがあるのです。

数値だけ見て「対応件数が少ない」と判断しても根本的な解決にはならないため、顧客の疑問を十分解決しないまま通話を終えてしまわないよう、対応品質に注意しながら、なぜCPHが低くなったのか、原因を突き止めることが重要です。

適切な品質が担保されたうえでスピーディな対応ができるようになれば、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。

オペレーターへの負担を考慮する

CPHの向上に注視しすぎると、目標達成のためにオペレーターの負担が増加し、多大なストレスを与える恐れがあります。適切なCPHの目標値を設定するとともに、オペレーターにも配慮した対策をとることが重要です。

オペレーターの離職率の増加を防ぐこともコールセンターの生産性向上を目指すうえで大切な要素となります。

他の指標も参考にする

CPHにだけ着目しても、業務全体の課題は把握できません。「ATT」や「ACW」、「AHT」など、他のKPIも併せて分析することで、より本質的な改善策が見えてきます。これらの重要なKPIについては次項で詳しく解説します。

コールセンターの生産性をはかる他の指標

前述した通り、コールセンターの生産性向上を目指すのであれば、CPH以外のKPIも確認し、オペレーター一人ひとりがどのような課題を抱えているかを洗い出し、改善に繋げる必要があります。

KPIは「重要業績評価指標」という意味があり、設定した目標を達成するために必要な指標です。

ここからは、コールセンターにおいてCPH以外に押さえておきたいKPIを紹介します。

ATT(平均通話時間)

ATTは「Average Talk Time」の略で、1回の応対に要した平均通話時間を示す指標です。

コールセンターの業務フローの中で最も時間がかかるとされるのが顧客との通話時間であり、コールセンターのコストを削減する際にも考慮すべき指標となります。

ATTは顧客からの要望の難易度や理解力によっても左右されますが、オペレーターの対応に問題がある場合は、指導や研修の必要性があります。

ATTの算出方法は以下の通りです。

【ATT=総通話時間÷総対応件数】

ACW(平均後処理時間)

ACMは「After Call Work」の略で、通話終了後の後処理にかけた作業時間を表す指標です。ACMには、対話内容や顧客情報をパソコンに入力する時間や、ほかの部署やスタッフへ対話内容を転送する作業時間なども含まれます。

たとえ顧客との対話時間を短く済ませることができたとしても、後処理に時間がかかってしまうとその分コストがかかるため、改善が必要になります。ただし、作業時間を短くするだけでなく、処理が正確にできているかを確認することも大切です。

ACWの算出方法は以下の通りです。

【ACW=後処理時間の合計÷対応件数】

AHT(平均対応時間)

AHTは「Average Handling Time」の略で、前述したATTとACWの2項目を合わせた時間であり、1回の応対に要した平均処理時間を示す指標です。ATTやACW単体での結果よりも総合的な指標となるため、企業が業務フローの改善をする際の目標に設定するケースが多いです。

AHTを改善する場合は、ATTとACWどちらがより問題であるか分析し、課題を洗い出す必要があります。

AHTの算出方法は以下の通りです。

【AHT=ATT(平均通話時間)+ACW(平均後処理時間)】

オペレーターの稼働率

稼働率は、オペレーターが勤務時間のうちに、どれだけ顧客応対に時間を費やしているかを表す指標です。稼働率はオペレーターを増員すべきか判断する材料になります。

稼働率の算出方法は以下の通りです。

【稼働率=(通話時間+後処理時間+その他時間)÷(勤務時間-離席時間)×100】

なお、稼働率は一般的に、80〜85%が目安とされており、大きく下回る場合には注意が必要です。

コールセンターのCPHを改善する方法

CPHは、コールセンターの現状の課題を把握するとともに、生産性を向上させるために重要な指標です。ここからは、コールセンターのCPHを改善させるための具体的な施策を3つご紹介します。主な施策は以下のようなものです。

  • トークスクリプトの整備
  • FAQの整備
  • トレーニングや研修の強化

それぞれ見ていきましょう。

トークスクリプトの整備

オペレーターの対応スピードを向上させるためには、トークスクリプトの見直しが重要です。

トークスクリプトは、顧客とのやり取りを会話文で示した台本のようなもので、トークスクリプトを活用することでオペレーターが戸惑うことなくスムーズに顧客対応をすることが可能です。

トークスクリプトを整備するには、顧客からのヒアリング内容を精査し、無駄な質問や説明がなかったかを確認します。その後、短時間で疑問を解決できるように業務フローを設計し直す必要があります。

FAQの整備

FAQ(よくある質問集)を使いやすく整備したり、内容を充実させたりすることで顧客の自己解決を促し、コールセンターでの対応件数の削減に繋がります。

また、オペレーターが対応時に参照するFAQを充実させることで、よくある質問であればオペレーターが迅速に回答を提供できるため、対応時間を短縮できるようになり、CPH向上が期待できるでしょう。

なお、FAQは定期的に分析し、最適化を図ることが重要です。

トレーニングや研修の強化

オペレーターの知識やスキルが上がればスムーズな問題解決が実現するため、オペレーターへの継続的なトレーニングや研修を行うのが有効です。

その際、新人だけに研修を実施するのではなく、コールセンター全体で行うことにより、オペレーターの能力底上げが期待できます。

顧客からの意見を始め、同僚オペレーターや上司、スーパーバイザーなどからのフィードバックをそれぞれ分析し、より良い対応ができるよう社内で意見交換することも大切です。

CPH向上に役立つ自動化ツール

コールセンターの現場では、さまざまな自動化ツールを導入することで、通話時間の短縮や後処理の効率化、スムーズな顧客対応が実現でき、結果としてCPHの向上に大きく貢献します。ここでは、実際にCPH改善に役立つ主な自動化ツールをピックアップしてご紹介します。

IVR(自動音声応答システム)|オペレーターの自動振り分け

IVR(自動音声応答システム)は、顧客からの電話に対して自動音声で案内を行い、プッシュホン操作や音声入力を元に対応内容を振り分けるシステムを指します。

顧客の問い合わせ内容に応じて適切なオペレーターに自動的に振り分けられるため、オペレーターの手間を削減できるほか、待機時間を削減できることで顧客満足度向上にも繋がります。また、転送ミスを防ぎ、対応効率も向上するため、生産性向上も期待できるでしょう。

CRMシステム|顧客情報の一元管理

CRMシステムは、顧客の住所や電話番号、年齢などといった基本情報や、購入履歴や対応履歴を一元管理するためのシステムで、従来オペレーターが手動で管理していた顧客情報を、一部自動化しつつ効率的に参照・管理することができます。

コールセンターは顧客との直接コミュニケーションがとれる重要な場所であるため、スピーディーかつ適切な顧客対応をすることがCPH向上に大きく貢献します。

CRMシステムを活用することにより、オペレーターが必要な顧客情報を即座に確認できるようになるため、スムーズで高品質な対応が可能となり、対応時間短縮や顧客満足度の向上に繋がります。

CPH改善だけでは限界も?AIチャットボットで顧客の自己解決を促進

これまでにご紹介したトークスクリプトやFAQの整備、オペレーターの研修などは、CPHを改善するための有効な手段です。しかし、オペレーターが対応できる件数には物理的な限界があり、これらの施策だけでは解決しきれない課題もあります。また、顧客の中には「電話するほどではないが、すぐに解決したい」「自分のペースで調べたい」と考える人も少なくありません。

そこで、オペレーター側の改善と並行して検討したいのが、顧客自身の自己解決を促す仕組みの導入です。その代表的な手段がAIチャットボットです。

AIチャットボットは、顧客がテキスト入力した質問をAIがリアルタイムで解析し、最適な回答を自動で提示するシステムです。よくある質問や定型的な問い合わせへの対応を自動化することで、オペレーターが直接対応すべき件数自体を削減できます。これにより、オペレーターはより複雑で専門的な問い合わせに集中でき、コールセンター全体のサービス品質向上に繋がります。

また、顧客にとっては、営業時間外でも24時間いつでも気軽に質問できるため、利便性が大幅に向上し、顧客満足度の向上も期待できます。

関連記事:AIチャットボットとは?基本的な仕組みと活用がおすすめのシーン

KPIを分析してコールセンターの生産性を向上させよう

CPHは、1人のオペレーターが1時間あたりに対応したコール数を指し、オペレーター個人の能力に限らず、コールセンター全体の評価にも繋がる指標です。

CPHは単体でなく、他のKPIと併せて分析することにより、自社の課題がより明確になり、課題解決に繋げやすくなるため、それぞれの数値を算出したうえで、必ず内容を分析し、原因と改善点を求めましょう。

コールセンターではさまざまな自動化ツールを活用することにより、CPH向上に役立つため、自社の課題解決に合うツールの導入を検討してみてください。

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この記事の筆者

TOMORROWNET

株式会社トゥモロー・ネット

AIプラットフォーム本部

「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、生成AIと連携したサービス「CAT.AI GEN-Bot」を筆頭に6つのサービスが含まれ、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。

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