【コールセンターが変わる】AIエージェント導入の7大メリットと最新活用事例

投稿日 :2025.06.24  更新日 :2025.06.20

AIエージェントは、自律的に判断・行動し、業務の効率化や意思決定をサポートする、企業の競争率を高めるために欠かせない存在です。

特に、人手不足や顧客対応の複雑化など、多くの課題を抱えるコールセンターにおいて、導入効果は高いといえます。

しかし、導入による具体的な効果や活用方法をご存知ない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、AIエージェントをコールセンターに導入するメリットや活用事例について解説します。

AIエージェントは自律的に判断・行動するAIシステム

AIエージェントは、人間が設定した目標に対し、人工知能(AI)を活用し、自律的に判断・行動して、目標達成を目指すプログラムです。

AIエージェントは、自ら必要なデータを収集し、実行すべきタスクを判断。そのうえで、どの方法が最適かを推論し、実行します。このプロセスを繰り返すことで、自律的に最適な行動を学習していくのが特徴です。

現在では、大規模言語モデル(LLM)や生成AIなどをベースとし、複雑なタスクをこなせる汎用性の高いAIエージェントも登場しつつあります。

AIエージェントについては以下でも詳しくご紹介しています。
AIエージェントとは?仕組みと特徴について解説します

コールセンターでAIエージェントが求められる背景

慢性的な人手不足に加え採用の難しさ、運用コストの増大など、さまざまな問題を抱えているコールセンターにおいて、近年生成AIの活用が進められていました。

従来は、文章作成や対話内容要約といった限定的な生成AI活用が主流でしたが、そのような中で、人間が指示を出さずとも顧客との対話をAIが行うAIエージェントが着目されつつあるのです。

AIエージェントの導入により、単なるAIシステムの導入からさらに進化した、自律的な問題解決が可能となり、有人対応を大幅に削減し、コールセンターが抱える慢性的な人手不足という課題の根本的な解決に繋がることが期待できます。

AIエージェントの導入によりコールセンターで期待できる7つのメリット

AIエージェントは定型的な業務が多いコールセンターと相性が良く、導入により以下のメリットが期待できます。

  • 業務全体の効率化・生産性の向上
  • 離職率の低減
  • 人件費の削減
  • ヒューマンエラーの防止
  • 応対品質の均一化
  • パーソナライズした対応による顧客体験の向上
  • 情報漏洩リスクの低減

AIエージェントの導入を成功させるためには、そのメリットが自社の抱える課題解決にどう繋がるのかを具体的に見極めることが重要です。

以下、詳しく解説します。

業務全体の効率化・生産性の向上

人の指示がなくとも自律的にタスクを実施するAIエージェントを活用すれば、業務プロセス全体の大幅な効率化が可能となります。

コールセンターにおいては、従来の電話対応時間が削減され、リソースの最適化が図れるほか、AIエージェントが24時間自動で応答することで、オペレーターの負担も軽減されるでしょう。

その結果、オペレーターはコア業務に集中できるようになるため、生産性の向上も期待できます。

離職率の低減

コールセンターの現場では、「オペレーターの離職率が高い」点に頭を悩ませている担当者が多いですが、AIエージェントの導入で解決できる場合があります。

対応業務の全てをAIエージェントに任せることは難しいです。

しかし、問い合わせの一次受付、よくある質問への回答の提示など、定型対応の自動化ができるため、対応するオペレーターの負担が軽減できるほか、人が対応する必要がある複雑な問い合わせにリソースを割けるようになります。

人手不足のコールセンターにおいては、オペレーターの負担を減らすことで離職率の低減に繋がるでしょう。

人件費の削減

導入費用は必要になりますが、データの整理・問い合わせ対応などの定型的な作業をAIエージェントに任せることで、人件費の削減につながります。

人間が本来注力すべき重要な業務に集中できるようになるため、オペレーターの人数を最小限に抑えながら、高品質なサービスを維持することが可能です。

長期的に見れば、採用・教育・研修・退職対応といった人的コストの削減に貢献するでしょう。

ヒューマンエラーの防止

オペレーターが手作業でコールセンター業務を行えば、聞き逃しや入力ミスといったヒューマンエラーを起こすリスクが少なからずあります。

しかし、AIエージェントの自律的な処理により、データに基づきながら判断・行動するため、人的なミスを減らすことが可能です。

それにより、修正や再作業の手間やそれにかかる費用も省けるほか、重大なビジネス上の損失を未然に防ぐことにも繋がります。

応対品質の均一化

コールセンターにおいては、オペレーターによって応対品質のバラつきが生じることがあります。

しかし、AIエージェントは顧客の質問の意図を的確に把握できるほか、マニュアルや外部データベースなどと連携させることで、商品やサービスに関する最新情報を即座に参照できるため、たとえオペレーターが全ての知識を習得していなくても、一定の品質を保てるようになるでしょう。

また、過去の応対履歴やFAQなどの情報を分野を超えて参照でき、最適な回答を自動生成することで、オペレーターの調べる手間を省きながら迅速かつ正確な対応が可能になります。

このように、知識の属人化を防ぎ、応対品質の均一化が可能です。

パーソナライズした対応による顧客体験の向上

コールセンターは売上を左右する重要な顧客接点となりますが、顧客ごとにニーズが異なるため、マニュアル通りにはいかないケースが多いです。

その点、AIエージェントはこれまでの購入履歴や問い合わせ内容を参照して自動でパーソナライズした提案を行います。

より顧客に寄り添ったサービスの提供ができるため、新規顧客やリピーターの獲得に効果が期待できます。

また、AIエージェントは24時間稼働させることができるため、顧客は夜間や土日のオペレーター不在時であっても問い合わせができ、利便性が高まるため、これも顧客満足度の向上に繋がります。

情報漏洩リスクの低減

個人情報や機密情報を多く扱うコールセンターでは、強固なセキュリティの確保とコンプライアンス遵守が求められます。

AIエージェントの活用により、ヒューマンエラーの最小化ができるほか、アクセス権の管理等をエージェント内で行うことにより、個人情報や機密情報の漏洩リスクを低減させることが可能です。

とはいえ、AIエージェント自体も情報漏洩リスクがゼロではないため、データ暗号化や脆弱性の管理、監視体制の構築、従業員教育などが欠かせません。

コールセンターにおけるAIエージェントの活用方法

コールセンター業務においてAIエージェントはさまざまな面で活用することができ、得られる効果は大きいとされています。

具体的には以下が挙げられます。

  • オペレーター支援
  • FAQの整備
  • 顧客対応の自動化

ここでは、コールセンターにおけるAIエージェントの主な活用方法について詳しく説明しますので、自社において活用できそうか、参考にしてみてください。

オペレーター支援

AIエージェントは、オペレーター業務のさまざまな側面を支援し、対応品質の向上と業務効率化を同時に実現します。

  • リアルタイム回答支援
    顧客との対話内容をAIがリアルタイムに解析し、オペレーターへ最適な回答候補を提示。
    オペレーターはナレッジ検索に時間をかけることなく、即座に適切な応答が可能になります。
  • 音声認識と文字起こし・要約
    通話内容をAIが音声認識し、リアルタイムで文字起こし。
    さらに内容を要約し、ポイントを整理することで、オペレーターの記録業務を軽減します。
  • 対応結果の自動記録
    要約内容をもとに、対応結果をCRMや業務システムに自動で記録。
    事後入力や転記作業の手間を削減し、対応履歴の精度向上にもつながります。
  • 品質の安定化・ミス防止
    聞き漏らしや記録漏れといったヒューマンエラーを防止し、誰が対応しても一定以上の品質を維持可能に。
    応対品質の平準化と顧客満足度の向上に貢献します。

このように、AIエージェントは現場の業務を“置き換える”のではなく、“支える”存在としても、オペレーターの負担を軽減しながら、より高品質な顧客対応を実現します。

FAQの整備

AIエージェントを活用することで、従来は多くの人手と時間を要していたFAQの作成から運用・改善までを自動化できます。

具体的には、以下のようなプロセスを自律的に実行します。

  • Q&Aの自動生成
    過去のチャット・メール・通話ログなどをAIエージェントが解析し、頻出する質問や類似の問い合わせを自動でグルーピングしてQ&A案を作成します。
  • コンテンツの最適化
    作成したQ&A案に対して、ユーザーにとって分かりやすく読みやすいように、AIが最適な文体にリライトします。
  • 継続的な改善提案
    導入後の利用ログやユーザーの検索キーワード、問い合わせ件数の変化を分析し、「更新すべきQ&A」や「新規追加が必要なトピック」を自ら提案。
    常にFAQを最新の状態に保ちます。

このように、AIエージェントは単にコンテンツを生成するだけでなく、FAQのライフサイクル全体を管理・運用することで、顧客の自己解決率を継続的に高めます。

顧客対応の自動化

AIエージェントは、従来のAIチャットボットが得意としてきた定型的な一次対応だけでなく、より複雑で多岐にわたる顧客対応を自律的に実行します。

  • 手続きの完全自動化
    顧客からの問い合わせに対し、AIエージェントがチャットや音声で自動応答。よくある質問への回答はもちろん、住所変更や再発行といった各種手続きをオペレーターの介在なしに最後まで完結させます。
  • プロアクティブな接客
    サイト訪問者の行動履歴や閲覧ページをもとに、AIエージェントが「何かお探しですか?」と能動的に話しかけ、目的を聞き出して最適なページや商品に案内します。
  • パーソナライズされたフォローアップ
    CRMや行動履歴と連携し、顧客ごとに最適なタイミングで、お礼の連絡、アンケートの送付、関連商品の提案などを自動で行います。

このように、AIエージェントは単に質問に答えるだけでなく、顧客一人ひとりの状況を理解し、一連の業務プロセスを自律的に実行することで、高度な顧客対応の自動化を実現します。

【最新技術】AIエージェントの国内外のコールセンターにおける活用事例

AIエージェントは、国内外で開発、展開が進んでいます。

ここでは、AIエージェントのコールセンターにおけるサービスの紹介や活用事例をご紹介します。

Google|Contact Center AI (CCAI)

Googleでは自社のクラウドサービス「Google Cloud」の一機能として、Contact Center AI (CCAI)を提供しており、AIを活用した顧客対応の自動化と効率化を図っています。

ソニーネットワークコミュニケーションズは、SCSKのクラウド基盤とGoogle CCAIを連携したボイスボットを活用したことにより、オペレーターの応対件数を35%削減したという事例があります。

Salesforce|Agentforce

クラウドベースの顧客関係管理 (CRM)ソリューションを提供するSalesforceは、24時間365日、信頼できるデータに基づいて問い合わせを正確かつ迅速に解決する、自律型のアプリケーション「Agentforce」を開発しました。

日本では富士通がAgentforceを社内サポートデスクに導入しており、コールセンターにおける月間の問い合わせ数の約15%をAIエージェントが対応できる体制の構築を目指しています。

ソフトバンク株式会社|Azure OpenAI Service

ソフトバンク株式会社では、コールセンター業務の効率化と顧客満足度向上を目指し、日本マイクロソフトの 「Azure OpenAI Service」を活用したLLM自律思考型システムを開発しました。

問い合わせ内容に対する案内や契約内容の照会、契約変更手続きなどの業務を中心にAIを活用し、顧客との会話内容に応じて、LLMが必要な機能やデータソースを参照する、柔軟かつ高性能な顧客対応を目指しています。

トヨタ自動車株式会社|O-Beya (大部屋)

トヨタ自動車株式会社では、熟練エンジニアの知見を継承し、新車開発のスピード向上を図るために、生成AIエージェントシステム「O-Beya (大部屋)」を導入しました。

このシステムには9つの専門分野のAIエージェントが実装されており、24時間365日エンジニアの質問に対応が可能です。

これにより、専門知識を効率的に社内に共有・活用することが可能となり、新型車の開発スピードを向上させることが期待できます。

株式会社トゥモロー・ネット|CAT.AI

コールセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発・展開している、株式会社トゥモロー・ネットは、複数のAIエージェントが連携し、タスクや問い合わせ対応を自動化するマルチAIエージェントの提供を開始します。

RAG(検索拡張生成)を活用した大規模言語モデル(LLM)と連携したタイプや、タスク実行型など、専門性を持つ複数のAIエージェントが役割に応じて、情報収集から判断、応答などの機能を分担して動作するもので、あらゆる業界のカスタマーサポートや、転入出に伴う一連の行政手続きといった登録作業や変更作業の効率化などが期待できます。

業務効率だけじゃない!AIエージェントがコールセンターに革新をもたらす!

与えられた目標を達成するために人工知能を活用し、自律的に判断・行動するAIエージェントの実装により、業務効率化や生産性の向上だけにとどまらず、応対品質の均一化や離職率の低減、コストの削減などさまざまなメリットが期待できます。

国内外においても、名のある企業がコールセンターにAIエージェントを活用しており、実際に業務効率が向上したという事例もあります。

現在は発展段階であり、本格的な実装段階には到達するには実例が少ないですが、AIエージェントは単なる自動化ツールではなく、人間の創造性や判断力を補完するとともに、新しい価値を生み出してくれるため、今後のビジネスにおいてなくてはならない存在となるでしょう。

CAT.AI マルチAIエージェントは、生成・ナビゲーション・オペレーショナルの各AIが役割分担し、リードエージェントの指揮のもとで自律的に連携・処理を行う次世代型ソリューションです。

対話による課題把握から情報収集、手続き処理までを一気通貫で自動化し、複雑な業務にも対応可能です。チャットと音声の両チャネルをカバーし、シームレスな顧客体験を実現。柔軟な対話力と高い処理能力を兼ね備え、AIによる自然な会話を通じて企業の課題解決を支援します。

企業の公式サイトやアプリ、チャットでの問い合わせ・FAQなどのフロントチャネルとしての活用に加え、社内規定やガイドライン、専門職のナレッジ統合ツールなどの従業員サポート・社内ヘルプデスクとして利用することができますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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この記事の筆者

TOMORROWNET

株式会社トゥモロー・ネット

AIプラットフォーム本部

「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、生成AIと連携したサービス「CAT.AI GEN-Bot」を筆頭に6つのサービスが含まれ、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。

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