シニア世代も使いやすいAIボイスボットとは?~コールセンターのDXを成功させる設計と運用の工夫~

投稿日 :2025.07.09  更新日 :2025.07.09

コールセンターを中心に「ボイスボット」の導入が広がっており、AIによる電話対応は、人手不足の解消、業務効率化、24時間対応による機会損失の防止など、企業に多くのメリットをもたらしています。一方で、こうしたAIを活用したシステムに対して、「シニアには使いこなせないのでは?」「冷たい印象になるのでは?」という懸念も少なくありません。実際、50代以上のユーザーからの入電は全体の8割を超えており(※出典:コールセンター白書2024)、この世代に寄り添った設計が求められています。

こうした課題を解決するためには、単にAIを導入するだけでなく、ユーザー視点に立った設計と運用体制が不可欠です。特に、シニア層を含む幅広いユーザーにとって“使いやすい”体験を提供するには、自然で親しみやすい会話設計と継続的な改善サイクルが求められます。

そのアプローチを実現するのが、当社が提供するCAT.AI CX-Botです。CAT.AI CX-Botは、音声とテキストを組み合わせた対話設計により、シニアにもストレスなく使える自然な会話体験を実現します。CXデザイナーによるシナリオ構築に加え、導入後のログ分析と改善支援までワンストップで対応することで、「顧客満足度の向上」と「応対効率の最適化」の両立を支援します。

本記事では、コールセンターのDXの鍵を握る「AIボイスボット」の基礎から、シニア対応を前提としたカスタマーサポートにおけるAIシステムの設計・導入のポイントまでをわかりやすく解説します。最後には、実際に当社が実践した具体的な改善事例をまとめたホワイトペーパーもご紹介しますので、ぜひご覧ください。

▼CAT.AI CX-Botにご関心をもっていただけましたらこちらもぜひご活用ください。

ボイスボットとは?基本をおさらい

ボイスボットとは、AIによって電話での問い合わせ対応を自動化する仕組みです。従来のIVR(プッシュ型の音声ガイダンス)は自動アナウンスや、問い合わせの振り分けを行う役割に対し、ボイスボットは簡易的な応対や受付が可能です。
ボイスボットは具体的には以下のような技術で構成されます。

  • 音声認識(ASR):ユーザーの発話をテキストに変換
  • 自然言語処理(NLP):意味を理解し、適切な応答を選定
  • 音声合成(TTS):応答内容を自然な音声で読み上げる

ボイスボットがもたらす主なメリットは以下の通りです。

  • 24時間対応による顧客満足度の向上
    ユーザーは時間を問わず、自分の都合の良いタイミングで問い合わせが可能になります。深夜や休日の問い合わせにも即時対応できるため、利便性と信頼感の向上につながります。
  • オペレーター負荷軽減
    よくある問い合わせや定型業務をAIが自動対応することで、オペレーターは複雑な対応や感情のケアが必要なケースに集中できるようになります。業務量の分散により精神的・肉体的な負担が軽減され、現場の働きやすさ向上にもつながります。
  • 応対品質の可視化と改善
    すべてのやり取りがデータとして蓄積されるため、応答傾向やユーザーの困りごとを分析しやすくなります。定期的なログ分析によって、シナリオやフローの最適化が行えます。
  • 手続き業務の自動化
    CRMや業務アプリケーションと連携することで、顧客情報の呼び出しや入力、処理などをAIが代行できます。これにより、電話口で完結できる手続きが増え、顧客の待ち時間削減にも貢献します。

特に、ヘルプデスクやAI接客の文脈で、カスタマーサポート業務への適用が広がっています。

高齢ユーザーが多い今、ボイスボットの「使いやすさ」はCXの死活問題

現在、実際にコールセンターへ電話をかけてくるユーザーの82%が50代以上というデータがあります(※コールセンター白書2024より)。

つまり、ボイスボットの設計は「シニアでも分かりやすく使えること」も念頭に置く必要があります。ボイスボットによって疑問や手続きがうまく完結しなかった場合、マイナスな顧客体験=ブランドロイヤリティの低下につながってしまいますので「分かりやすく対応が完結できること」は重要なポイントとなります。

シニア層にとって、ボイスボットには以下のような難しさがあります。

  • 一文に複数の情報が含まれると理解できない
  • 発話の途中に質問されると混乱する
  • 長い文や専門用語が聞き取りにくい
  • 選択肢が自分の意図と違うと戸惑う
  • AIの発話が早くて焦ってしまう

このような課題を「高齢者だから仕方がない」と切り捨てるのではなく、誰にとっても使いやすい体験(アクセシビリティ)の提供こそがCX設計の本質です。

顧客ロイヤリティの重要性については以下でも詳しく解説しております。

なぜ顧客ロイヤリティが重要?コールセンターがファンを作るための3つの施策

成功のカギは「CX設計」と「対話の最適化」

では、どうすればシニアにもやさしいボイスボットになるのでしょうか?当社では、CX(顧客体験)デザインを軸に、以下のような設計方針を実践しています。

1. 質問は1つずつ、シンプルに
→「電話番号と住所を教えてください」ではなく「まず電話番号を教えてください」と段階的に。

2. 短い文で、明確に発話する
→ 長文や途中の質問は避け、音声に「間」を設けて理解をサポート。

3. 回答例を提示して、答えやすくする
→ 「お困りの症状を教えてください」ではなく「『電源がつかない』など、簡単な言葉でお話しください」とアナウンスする。

4. 「はい」「いいえ」で答えられる質問形式
→ 余計な説明をさせず、迷わせない。

5. 準備の時間を与える
→ 「メモの準備ができたら1を押してください」のように、ユーザーのペースに寄り添う。

こうした「小さな工夫」の積み重ねが、ユーザーフレンドリーなAI電話対応につながり、結果として企業全体のCX向上と業務効率化を両立することができます。これらの工夫は、シニアだけではなくユーザーすべてに対しても適応できます。

CX-Botの独自性:音声テキストハイブリッド対応×CXデザイン×分析支援

CAT.AI CX-Bot」は、単に一次受付や簡易対応を行うボイスボットではなく、複雑な定型対応も行うことができ、問い合わせ対応の全フローをAIだけで完結させることができます。
CX-Botは以下の3つの領域に注力し、継続的に改善される顧客体験の仕組みを提供しています。

◎ 音声×テキストの新しい顧客体験(CX)

  • シニアを含めたすべての顧客に“分かりやくカンタンな”顧客体験を設計
  • 音声とテキストのハイブリッド活用でボイスボットの対応範囲拡大へ

◎ シナリオデザイン

  • CXデザイナーが業種・業務に合わせたオリジナルシナリオを構築
  • 顧客が離脱することなく、AIで最後まで対応完了できるようにシナリオをデザイン

◎ 分析と改善支援

  • AI応答ログを解析し、ボトルネックやユーザー傾向を可視化
  • 専門アナリストによる改善提案と継続支援で、導入後も“育つAI”へ

実際の導入事例:現場の業務がどう変わったか?

東京ガス様:引っ越し・繁忙期のガス開閉栓受付

課題:3~4月の引っ越しシーズンにガス開閉栓に関する電話が急増し、人的リソースの確保が困難となり、応答品質・効率化が急務だった。

施策:CAT.AI CX-Botを導入し、音声とチャット(テキスト)を同一プラットフォーム上で併用。通話中にショートメッセージで住所・氏名などの入力を案内し、顧客が自らテキスト入力できるようシナリオ設計を工夫 。

効果:2024年3月の繁忙期にAI完遂率最大96%を達成し、通話時間の短縮と通話料の軽減も実現。オペレーターの負担を抑えつつ、顧客対応の品質と効率を維持・向上 。

▸東京ガス様 事例記事:https://cat-ai.jp/case/tokyogas/


● MS&ADインシュアランスグループ様:ロードサービス受付

課題:繁忙期や異常気象によるロードサービス(特にバッテリー上がり)の受付増加に対し、オペレーターの確保が困難で応答率低下の懸念があった 。

施策:CX-Bot により、ナンバープレート認識や現在地確認をユーザー自身が簡単に入力でき、受付負担が軽減。24時間対応が可能となり、有人オペレーターに頼らず迅速・正確な受付体制を整えることができた 。

効果:CAT.AIの「CX-Bot」を導入し、音声+チャット+画像・GPS連携で受付自動化を実現。バッテリー上がり対応の約13%を自動化し、オペレーター約10人分の業務効率化と応答率向上を達成 。

▸MS&ADインシュアランスグループ様 事例記事:https://cat-ai.jp/case/msad/


●ダイキン工業様:エアコン修理・トラブル受付

課題:6~8月の繁忙期にエアコン修理受付・トラブル対応の電話問い合わせが集中。人員配置だけでは応答率改善と待ち時間短縮が難しく、人材確保・育成にも限界があった。

施策:CAT.AIの「CX-Bot」導入により、ボイスボットからチャットボットへシームレスに誘導し、住所・氏名・故障内容などを1回の発話で音声+ボタン形式で取得。高齢者でも使いやすい設計を実装 。

効果:繁忙期に約3万件の問い合わせを自動対応し、AI対応完了率は96%、応答率は3%向上。顧客満足度も高評価(5点中4.5)となり、待ち時間削減と業務効率化に大きく貢献 。

▸ダイキン工業様 事例記事:https://cat-ai.jp/case/daikin/


このように、CAT.AI CX-Botは業界を問わず応用可能でありながら、「その業界の文脈」に適応した会話設計ができる点が強みです。

導入成功のためのチェックポイント

最後に、ボイスボット導入にあたっての重要な成功要因を整理しておきます。

チェック項目内容
目的の明確化業務削減?顧客満足度向上?KPIを明確に
対象ユーザーの把握シニア、外国人、若年層…誰が主な利用者か?
継続改善体制の確保初期導入だけでなく、運用・分析・改善が肝
会社全体でプロジェクトを推進コールセンター、情報システム、経営企画の連携

ボイスボットの導入は、単なるツールの導入ではなく、顧客体験や業務設計全体を見直すプロジェクトでもあります。目的を明確にし、対象ユーザーや運用体制を踏まえた設計を行うことで、スムーズかつ効果的な活用が可能になります。

シニアとAIの適正は?シニア向けボイスボットのコツ

ダイアグラム

AI 生成コンテンツは誤りを含む可能性があります。

この記事ではご紹介しきれなかった、実際のシナリオ構築の具体例とCX-Botの特徴をまとめたホワイトペーパーを無料でご提供しています。

▶資料の内容(一部抜粋)

  • シニアがつまずく7つの具体例とその解決策
  • 会話設計のビフォーアフター比較
  • CAT.AI CX-Bot導入企業事例

「AIボイスボットを本格導入したい」「社内での検討材料がほしい」という方におすすめです。
ぜひご活用ください。

ダウンロードはこちら:https://cat-ai.jp/required/seniorvoicebot/

この記事の筆者

TOMORROWNET

株式会社トゥモロー・ネット

AIプラットフォーム本部

「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、生成AIと連携したサービス「CAT.AI GEN-Bot」を筆頭に6つのサービスが含まれ、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。

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