AI秘書とは?スケジュール調整から議事録作成まで、主な機能とビジネス活用事例

日々のスケジュール調整やメール対応、会議の議事録作成に追われ、本来注力すべき業務に時間を割けていないと感じることはないでしょうか。
「優秀な秘書がいれば業務が捗るのに…」と考えたことのあるビジネスパーソンは少なくないはずです。
本記事では、ビジネスパーソンの日常業務を効率化するAI秘書の基本的な機能を解説します。さらに、AI秘書では対応が難しい複雑な業務も支援できる「マルチAIエージェント」の概要や活用例を紹介し、AI導入の現実的な効果や限界を理解するヒントを提供します。
Index
そもそもAI秘書とは?AIアシスタントとの違い
「AI秘書って、SiriやGoogleアシスタントと何が違うの?」
「秘書と呼ぶほどの価値はあるの?」
そんな疑問を持つ方も多いでしょう。
結論から言うと、AI秘書は一般的なAIアシスタントよりも業務支援に特化していますが、その範囲は限定的です。
単発タスクを実行する「AIアシスタント」
AIアシスタントは、スマートフォンに搭載されている音声アシスタント(例:Siri、Google Assistant)に代表されるように、ユーザーの明確な指示に従って単発のタスクを処理するAIです。
例:「明日の9時に会議を設定して」
- 単発の命令に基づく処理を得意とする
- 文脈を理解して判断することはほとんどない
限定的に業務を支援する「AI秘書」
一方、AI秘書は、日常業務の一部を効率化するために開発されたAIです。スケジュール管理や議事録作成、メール文面の補助など、業務のサポートが可能ですが、あくまで特定の範囲に限定されます。
- 複雑な業務プロセス全体を自律的に判断・実行することはできない
- 指定された業務の支援や文脈に沿った提案は可能
このように、AI秘書は従来型のAIが目指した「限定的な理想像」と言えます。複数のタスクやシステムを横断して処理することはできませんが、日常業務の効率化に役立つ重要なツールです。
AI秘書の主な機能5選~特定の業務支援の効率化~
AI秘書は、日常的な定型業務の支援に強みを持っています。
ここでは、ビジネスパーソンの仕事を補助する代表的な機能を5つ紹介します。
①スケジュール調整・管理の支援
GoogleカレンダーやOutlookなどのシステムと連携し、複数人の予定を照らし合わせて、候補日時を提示するサポートを行います。会議の準備時間や所要時間に応じたバッファ設定など、実務に沿った調整を支援します。
②メール・チャットの文章作成支援
受信メールや過去のやり取りを理解し、文脈に合った返信文の案を提示します。誤字脱字のチェックや表現の調整も行うため、文章作成をサポートし、コミュニケーションの質向上に役立ちます。
③会議の文字起こし・議事録作成補助
Web会議や対面での会話を文字起こしし、話者分離や要点の抽出を補助します。これにより、議事録作成の負担を軽減し、後で内容を確認する際の利便性が向上します。
④資料作成・情報収集の補助
簡単な指示やキーワードをもとに、資料やレポートの下書き作成を支援します。必要に応じて、Web上の情報を整理・要約するサポートも行いますが、完全自動化ではなくあくまで補助が中心です。
⑤タスク整理・リマインド支援
会議で決まったタスクを整理し、担当者や期限を明示してリマインドする補助を行います。進捗管理や対応漏れ防止のための支援に留まり、プロセス全体の自動化は含みません。
AI秘書導入の先にある「業務プロセスの壁」
これらの機能は非常に強力ですが、実際のビジネスシーンでは、単一のAI秘書では対応しきれない、より複雑な業務プロセスが存在します。
例えば、次のような一連の業務を考えてみましょう。
「A社の田中様とのオンライン会議を来週水曜の午後に設定し、過去の議事録を要約して参加者全員に事前共有。さらに、社内の会議室も1時間予約しておく」。
この指示には、「スケジュール調整」「ファイル検索と要約」「会議室予約」という複数の異なるタスクが含まれています。単一機能のAI秘書では、このような複数のシステムを横断する順序立てた処理は困難です。これが、従来のAIツールが直面する「プロセスの壁」です。
複雑業務を補助するマルチAIエージェントの仕組み
この「プロセスの壁」を乗り越えるアプローチとして注目されているのが「マルチAIエージェント」です。
マルチAIエージェントは連携型のAIアーキテクチャであり、単体のAIエージェントによる対話支援から、AIエージェント同士が協調して業務を進行するフェーズへの進化と位置づけられます。
「CAT.AI マルチAIエージェント」では、司令塔となるリードエージェントと、専門性を持つ複数のAIエージェントが人間の判断を補助しながら業務を分担します。
- 指示を理解・分解
ユーザーからの複雑な業務指示を司令塔AIが解析し、タスクに細分化します。 - 専門AIへ振り分け
「スケジュール調整」「議事録要約」などを各専門AIが分担します。 - 同時並行で実行
カレンダー照会やファイル要約、会議室予約などを、ユーザーの指示に従って並行して補助的に処理します。 - 統合して成果物を出力
各専門AIエージェントの出力を司令塔AIエージェントが整理・統合し、招待メールに要約を添付します。ただし、送信自体はユーザーの判断に委ねられます。
このように、マルチAIエージェントは、AI秘書が得意とした『タスク単位の自動化』に加え、『業務プロセス全体の自動化』も支援できるのです
【業務別】AI秘書とマルチAIエージェントの活用・使い分け事例
AI秘書は部門や役職を問わず、日常業務の効率化を支援します。マルチAIエージェントは、さらに業務プロセス全体の支援も可能で、単一タスクの自動化を超えた複雑な業務の補助も実現します。ここでは、部門ごとの具体的な活用例を見ていきましょう。
営業部門:商談の質と量の向上
AI秘書の場合
- 商談内容の自動文字起こし
- CRMへの要約入力支援
議事録作成や報告業務の負担を軽減し、営業担当者は提案準備や顧客対応に集中できます。
マルチAIエージェントの場合
- 商談後のフォローメール作成
- 関係者へのタスク割り当て
一度の指示で複数タスクを横断的に処理でき、営業チーム全体の効率と質を向上させます。
経営層・管理職:迅速な意思決定をサポート
AI秘書の場合
- 膨大な報告書やメールの要約
- 重要情報の短時間インプット支援
情報収集や整理にかかる時間を削減し、意思決定に集中できる環境を整えます。
マルチAIエージェントの場合
- 複数部門のデータを横断的に収集・分析
- 経営判断に必要なレポートのたたき台作成
部門をまたいだ情報を統合して迅速な戦略立案を補助します。
バックオフィス:定型業務の自動化とコスト削減
AI秘書の場合
- 社内定型問い合わせ対応
- 面接日程調整
- 契約書ドラフト作成
定型業務を効率化し、担当者はより付加価値の高い業務に注力できます。
マルチAIエージェントの場合
- 採用候補者との日程調整から面接官のスケジュール確保、会議室予約、事前資料送付まで一連のプロセスを補助
部門をまたぐ複雑な作業も、ユーザーの指示に沿って効率的に進められます。
AI秘書導入で押さえておきたい3つのポイント

AI秘書は、限られた範囲のタスク自動化に強みがあります。導入時には、どの業務をAI秘書に任せるかを明確にし、マルチAIエージェントのような広範なプロセス自動化との違いも意識することが重要です。
①解決したい課題を明確に
スケジュール調整や議事録作成など、AI秘書に任せたい具体的な業務を優先順位とともに整理しましょう。目的が明確であれば、必要な機能を持つツールを選びやすくなります。複数部門にまたがる業務や複雑なプロセスは、マルチAIエージェントが適している場合があります。
②セキュリティ面の確認
AI秘書は機密情報や顧客データを扱います。暗号化やアクセス管理などの体制が整っているかを確認しましょう。マルチAIエージェントでも同様ですが、利用する範囲が広くなる分、統合的なセキュリティ対策がより重要です。
③既存システムとの連携性
カレンダーやチャットツールとの連携がスムーズかをチェックします。日常業務に自然に組み込めるかが導入後の定着度に直結します。また、マルチAIエージェントでは、複数システムを横断した自動化が可能ですが、初期導入や運用の手順はより複雑になる傾向があります。
複雑な業務も、複数のAIでまるごと自動化。単一機能を超える「マルチAIエージェント」
AI秘書は、スケジュール調整や議事録作成などの日常業務を自動化し、ビジネスパーソンの生産性を劇的に向上させる強力なツールです。導入にあたっては、自社の課題に合ったツールを選ぶこと、そしてセキュリティの確認が重要となります。
一方で、複数の部門やシステムをまたがる複雑な業務の自動化には、単一のAI秘書だけでは対応が難しい場合があります。こうした場面では、複数のAIが役割を分担して連携する「マルチAIエージェント」が有効です。AIによる自動化は、「タスク」から「業務プロセス全体」へと進化しており、組織全体の生産性を飛躍的に向上させる可能性を秘めているのです。
- 業務ごとに役割を持つAIエージェントを連携させ、複雑な業務を自動処理
- ノーコードで誰でもカンタンに高度なAIオーケストレーションを実現
- クラウド・オンプレ・アプライアンスサーバーなど、環境に応じて柔軟な提供方法を選択可能
CAT.AI マルチAIエージェントはこれらの特徴を兼ね備え、高度な業務の自動化を実現し、組織全体のDX化推進を支援します。詳細や導入イメージをぜひ資料でご確認ください。
この記事の筆者

株式会社トゥモロー・ネット
AIプラットフォーム本部
「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、複数AIエージェントが連携し、業務を自動化する「CAT.AI マルチAIエージェント」など、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。