AIエージェント設計とは?業務で使える仕組みの考え方と設計ポイント

投稿日 :2026.01.30 

AIエージェントの導入が進む一方で、「思ったほど業務が変わらない」「PoCはできたが現場で使われていない」といった声も少なくありません。こうした課題はAIの性能不足ではなく、業務の中でどう使うかという設計の問題で起きているケースが多いのが実情です。

AIエージェントは、単に賢いAIを導入すれば成果が出るものではありません。

  • 業務のどこをAIに任せ、どこは人が担うのか。
  • どの情報を使い、どのように連携させるのか。

こうした設計次第で、成果も定着度も大きく変わります。

本記事では、AIエージェント設計で押さえるべき全体像や、チャットボットとの設計視点の違い、業務で使われ続けるための設計ポイントを整理します。自社の設計を見直す際の視点や、ベンダー選定・要件整理を行う際の判断軸として活用できる内容です。

AIエージェント設計とは何か

AIエージェント設計とは、AIを業務の中でどう機能させるかを事前に定義することです。単なるツール導入ではなく、業務プロセスの一部としてAIを位置づける考え方が前提になります。

AIエージェントと従来のAI活用の違い

  • 業務との関係性
    従来のAI活用は、特定作業を効率化・自動化するためのツールとして使われることが一般的でした。一方、AIエージェントは業務プロセス全体の中に組み込まれ、前後の業務や判断と連動して機能します。そのため、単体で完結せず「業務の流れの一部」として設計する視点が求められます。
  • 選択と実行を前提にする点
    AIエージェントは質問に答えるだけでなく、情報を参照しながら次に取るべき行動を選択する役割を担います。どこまでをAIが対応し、どの時点で人に委ねるのかを設計で明確にしなければ、業務が途中で止まる原因になります。

従来のAI活用(チャットボット)について詳しくみる

「設計」が成果を左右する理由

  • AIの役割が曖昧だと使われない
    AIが何を担当するのかが定義されていないと、現場では「結局どこで使えばいいのか」が分からなくなります。その結果、従来の人による対応に戻ってしまい、AIエージェントが形骸化するケースが多く見られます。
  • 業務に合わない動きをしてしまう
    業務理解が浅いまま設計されたAIは、現場の実態とズレた判断や応答を行いがちです。そのズレが積み重なることで、現場からの信頼を失い、利用されなくなる原因になります。

AIエージェント設計でまず整理すべき全体像

AIエージェント設計では、個別機能の検討より先に、全体像を整理することが重要です。業務、役割、データ、人の関係を俯瞰して捉える必要があります。

業務プロセス視点での設計

どの業務プロセスをAIエージェントが担うのかを明確にすることが、設計の出発点になります。問い合わせ対応全体を任せるのか、受付や一次対応など一部工程に限定するのかによって、求められる設計や連携範囲は大きく変わります。あわせて、受付から完了までの業務の流れを分解して整理することで、AIが関与すべきポイントや、人に引き継ぐべきタイミングが具体的に見えてきます。

人とAIの役割分担の考え方

AIエージェントには、定型的な対応や情報検索、ルールに沿った処理など、再現性の高い業務を任せる設計が有効です。一方で、例外対応や複雑な判断、責任を伴う意思決定については人が担う前提を残す必要があります。どこまでをAIが対応し、どの段階で人に切り替えるのかを明確にしておくことで、現場の不安や運用時の混乱を防ぐことができます。

データ・ナレッジの位置づけ

AIエージェントが参照するデータやナレッジは、事前に整理し、どの情報を使うのかを明確にしておくことが重要です。社内規程やFAQ、マニュアルなどの役割を整理すると同時に、情報が古くならないよう更新・管理の方法も設計に含めます。運用フェーズを見据えたデータ設計が、継続的に使われるAIエージェントにつながります。

チャットボット設計との違いから考えるAIエージェント設計

AIエージェントはチャットボットと同じように見られることもありますが、設計の前提は大きく異なります。チャットボットが「質問に答えること」を主目的とするのに対し、AIエージェントは「業務を前に進めること」を目的に設計されます。この違いを理解せずに導入すると、期待した業務改善につながらないケースも少なくありません。

チャットボット設計の前提

チャットボットは、ユーザーの質問に対してその場で回答し、やり取りが完結することを前提に設計されます。そのため、評価軸はQ&Aの精度や網羅性に置かれやすく、会話の前後関係や問い合わせ後の業務処理までを含めた設計には踏み込みにくい傾向があります。

AIエージェント設計で追加で考えるべき視点

AIエージェントは、問い合わせ対応にとどまらず、その後の処理や次のアクションまで含めて業務フロー全体を前提に設計します。過去のやり取りや現在の業務状況といった「状態」を踏まえながら、適切な対応や処理につなげることが求められ、システム連携や役割分担も設計の重要な要素になります。

業務で使われるAIエージェントを設計するためのポイント

実際に業務で使われ続けるAIエージェントを設計するためには、技術よりも先に押さえるべき観点があります。ここでは、設計時に必ず意識しておきたいポイントを整理します。

目的・KPIから逆算した設計

AIエージェントを導入する目的を、業務効率化なのか、対応品質の向上なのかといった形で明確にします。そのうえで、成果をどの指標で測るのかを事前に定めておくことで、設計の方向性がぶれにくくなり、導入後の評価や改善にもつなげやすくなります。

例外・エスカレーションを前提にした設計

すべてのケースをAIで完結させようとするのではなく、AIが対応できない場面をあらかじめ想定しておくことが重要です。どの条件で人に引き継ぐのかを設計に含めることで、業務が途中で止まったり、現場で判断に迷ったりする事態を防げます。

運用・改善を前提にした設計

AIエージェントは導入して終わりではなく、使われ方を見ながら改善していくことが前提になります。ログや利用状況を把握できる設計にしておくことで、業務変化に合わせた調整や継続的な改善が行いやすくなります。

AIエージェント設計でよくある失敗パターン

AIエージェントは、設計段階での判断を誤ると、導入後に十分な成果が出なかったり、現場で使われなくなったりします。ここでは、実務でよく見られる失敗パターンを整理します。

技術起点で設計してしまうケース

ツールや技術の選定を先に進めてしまうと、本来解決したい業務課題とのズレが生じやすくなります。現場の業務フローや運用実態を十分に反映できないまま設計が進み、結果として「使いづらい」「業務に合わない」と感じられてしまうケースです。

業務が曖昧なまま設計するケース

対象となる業務や判断基準が整理されていない状態では、AIエージェントも正しく機能しません。どの情報を使い、どの条件で次の処理に進むのかが曖昧なままだと、想定外の動きが発生しやすく、信頼低下につながります。

運用フェーズを考慮していないケース

導入時点で設計が止まり、運用や改善まで見据えていないケースも少なくありません。業務やルールの変化に対応できる余地がないと、次第に形骸化し、結果的に使われなくなってしまいます。

AIエージェント設計を成功させるための考え方と次の一歩

AIエージェント活用の成否は、導入する技術そのものではなく、「業務全体をどう分解し、どこまでをAIに任せるか」という設計でほぼ決まると言っても過言ではありません。
一方で、本記事で整理してきたように、業務プロセス、人とAIの役割分担、例外対応や運用改善までを前提に設計しようとすると、単一のAIだけで完結させる発想には限界が出てきます。

そこで重要になるのが、業務単位で役割の異なるAIを組み合わせて設計するマルチAIエージェントという考え方です。複数の業務工程や判断ポイントを前提に、それぞれに適したAIを連携させることで、業務の流れを止めずにAI活用を定着させることが可能になります。

こうしたマルチAIエージェントの設計思想を具体的な形として実装しているのが、CAT.AI マルチAIエージェントです。音声業務に特化した「CAT.AI マルチAIエージェント for Voice」や、チャット・業務処理を担う「CAT.AI マルチAIエージェント for Chat」など、業務特性に応じた活用ができます。

より具体的な設計や運用のイメージを掴みたい方は、商材紹介資料やホワイトペーパー、導入事例集をご覧ください。実際の業務への落とし込み方や、設計から運用までの考え方を整理する際の参考として活用いただけます。

この記事の筆者

TOMORROWNET

株式会社トゥモロー・ネット

AIプラットフォーム本部

「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、複数AIエージェントが連携し、業務を自動化する「CAT.AI マルチAIエージェント」など、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。

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