コールセンターのAI導入ガイド|課題別の活用法から選び方、注意点まで

投稿日 :2024.06.27  更新日 :2026.01.19
コールセンターのAI活用事例

「オペレーターの離職率が高い」
「顧客を長時間待たせてしまい、満足度が上がらない」
多くのコールセンターではこのような課題を抱えています。

その解決策として注目されているのが、AI(人工知能)の活用です。

しかし、「AIが具体的に何をしてくれるのか分からない」「どのツールを選べば良いのか判断できない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、コールセンターが抱える代表的な課題と、それを解決するAIの活用法をセットで分かりやすく解説します。さらに、導入前に知っておくべき注意点や、失敗しないシステムの選び方まで、AI活用の全体像を把握することができます。

なぜ今、コールセンターにAI導入が必須なのか?

AI導入を考える前に、まずは多くのコールセンターが直面している共通の課題を整理してみましょう。

  • 人材の課題:オペレーターの採用難、高い離職率、研修コストの増大
  • 品質の課題:スタッフによる応対品質のバラつき、ベテランのノウハウが属人化
  • 顧客満足度の課題:電話が繋がらない、長い待ち時間による顧客満足度の低下
  • コストの課題:人件費の増加、機会損失の発生

これらの複雑に絡み合った課題解決は、従来の「人を増やす」という方法だけでは困難です。AIは、これらの課題を根本的に改善する可能性を持っています。

コールセンターで活躍するAIの種類

人手不足や人材育成といった悩みの解決策となりえるAIは、コールセンターでどのように活用されているのでしょうか。

コールセンターで活用されているAIシステムは、主に以下のような種類があります。

テキスト対話AI(チャットボット)

チャットボットとは、『チャット(会話)』と『ボット(ロボット)』を組み合わせた自動応対プログラムです。

チャットボットの種類は大きく以下2種類に分類されます。

シナリオ型:事前に設定した質問と回答の組み合わせに基づき自動応答します。質問が限定的な場合に適しています。

AI型:自然言語処理を用いてユーザーの入力内容を解析し、自動で回答します。

チャットボットは、主にスマートフォンやPCのWEB上で利用されます。

音声対話AI(ボイスボット)

ボイスボットとは、音声認識と対話型AIなどの技術を活用し、会話内容を解析して自動応答するプログラムです。

仕組みとしては、通話内容をテキスト化して解析し、内容に適した回答を音声合成で読み上げます。

IVR(自動音声ガイダンス)のように操作を繰り返す必要がなく、顧客の自由発話に対してAIが応答するため、より自然でスムーズに問題を解決できるのが特徴です。

チャットボットとの大きな違いは、テキスト応答か音声応答かという点です。

自然言語生成AI(生成AI)

従来のAIとは異なり、学習データをもとに新しいコンテンツを生成できるAIです。生成AIを活用すると、通話やチャットログの要約、適切な自動応答文の生成、問い合わせ対応後の報告ドラフト作成などが可能になります。

また、従来の「シナリオ型」や「一問一答型」のチャットボットでは対応が難しかった、文脈が複雑な問い合わせに対しても、過去のナレッジを参照して柔軟な回答を生成できる点が大きな強みです。

音声認識AI

音声認識は、人間の声を分析・解析してテキストに変換する仕組みです。通話内容を即座にテキスト化することで、オペレーターの内容確認がスムーズになったり、対応記録の入力作業(後処理)にあてる時間を大幅に削減したりすることが可能です。

また、蓄積されたテキストデータを活用してFAQやマニュアルを整備することで、センター全体の応対品質向上にも繋がります。

感情解析AI

通話の声のトーンや大きさ、チャットの文面などから、顧客の感情(怒り、喜び、悲しみなど)をリアルタイムで分析するAIです。

顧客の「怒り」の感情を検知した際に管理者にアラートを出してサポートに入ったり、オペレーター自身の応対態度をフィードバックしたりすることに活用されます。これにより、クレームの深刻化を防ぐ優先度判断や、顧客満足度(CS)向上のための具体的な施策立案に役立てることができます。

声紋認証AI

声紋認証とは、声の特徴を解析し、個人を特定する生体認証システムです。

コールセンターに声紋認証システムを導入すると、生年月日などの確認工程を何度も行わずとも、AIが声だけで本人を識別してくれるので、本人確認をスムーズに行うことができます。

マルチモーダルAI

テキスト・音声・画像・画面操作など、複数の種類の情報を統合して処理できるAIです。

従来の電話対応(音声のみ)では状況把握が難しかった「機器の故障状況」や「書類の不備」などを、スマートフォンを通じて画像を送信してもらったり、画面共有を行ったりしながらAIが解析・サポートします。音声と視覚情報を組み合わせることで、より複雑な問い合わせ対応の自動化や効率化が可能になります。

コールセンターAIの導入事例6選

コールセンターでAIを導入している企業をご紹介します。

AIの種類により活用事例が異なりますので、その特徴をチェックしていきましょう。

ヤマト運輸株式会社

ヤマト運輸株式会社より引用

宅急便や荷物の配送を行うヤマト運輸株式会社は、ボイスボットを導入しAIによる集荷依頼電話応対サービスを行っています。

AIによる自動対応を可能にしたことで、お客様の待ち時間の削減とオペレーターの負担軽減に成功しました。

さらに、AIでの対応が難しい問い合わせについては、オペレーターへ即時に切り替える仕組みも備えています。こうした切り替えがスムーズに行われることで、お客様に不安を感じさせることなく、安心して問い合わせできる環境を実現しています。

アフラック生命保険株式会社

アフラックの事例

アフラック生命保険株式会社より引用

複数の保険商品を取り扱うアフラック生命保険株式会社では、声紋認証AIを導入しています。

アフラックのコールセンターでは、契約者名や住所などの本人確認のために平均2分程度の時間を要しており、煩わしさを感じるという声が多く寄せられていました。

そこで、コールセンターに声紋認証のAIを導入し、本人確認の時間を短縮したことでお客様・スタッフ双方の負担を軽減させ、事務作業にかかる時間も短縮できるようになりました。

株式会社レオパレス21

株式会社レオパレス21の事例

株式会社レオパレス21より引用

賃貸事業・開発事業を手掛ける株式会社レオパレス21は、音声認識AIをオペレーターのFAQ活用のために導入しています。

以前はオペレーターが回答を見つけるまでに時間が掛かってしまい、問い合わせが集中する時間帯には電話が繋がりにくくなるという課題がありました。

そこでAIによる音声認識システムを導入したことで、オペレーターが対応している間にAIが質問を解析、回答を提示することでスムーズにお客様の疑問に答えられるようになりました。

オペレーターの業務効率化だけではなく、顧客満足の向上にも効果を発揮しています。

株式会社JALカード

株式会社JALカードより引用

JALグループのクレジットカードを取り扱う株式会社JALカードでは、音声認識AIを導入しています。

以前は通話内容を細部まで手書きで記録、マニュアルも1,000ページを超えるため検索に時間が掛かっていました。

音声認識AIの導入により、通話内容を自動テキスト化することでスピーディーに回答を提示。業務効率化と顧客満足度の向上に繋がっています。

株式会社デジサーフ

デジキュー公式サイトより引用

バーベキュー場検索サイト「デジキュー」を運営するデジサーフでは、予約システムにボイスボットを導入しています。

ボイスボットを活用し、事前に希望の会場名や日時、名前などのヒアリングまでを自動化。スムーズなコールバックを行うことで電話の対応時間を平均40%削減に成功しました。

従来の音声ガイダンスとは異なるスムーズな対話を実現したことにより、予約率も大幅に増加しています。

東京ガス株式会社

東京ガス株式会社より引用

大手ガス会社である東京ガス株式会社では、お客様センターの業務効率化とサービス向上を目的に、AIボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI マルチAIエージェント for Voice」を導入しました。特に課題だったのは、Webサイトを利用せずに電話をかけてくるお客様が多く、ガスの開栓・閉栓受付の自動化が難しかった点です。

そこで、電話の音声で用件をヒアリングするボイスボットと、SMSでチャットボットのURLを送信してお客様自身に住所や氏名を入力してもらうハイブリッド方式を導入。これにより、音声認識だけでは難しかった漢字や固有名詞の認識精度の問題を解決し、従来は実現が困難だった電話での開栓・閉栓受付の自動化に成功しました。

その他にも「CAT.AI マルチAIエージェント for Voice」の活用方法をまとめた資料もご用意しておりますので、ぜひあわせてご活用ください。

コールセンターAIの導入手順

コールセンターにAIを導入するには、以下のようなステップで進めます。

課題を整理し導入目的を決める

まずはコールセンターの現状を把握し課題を整理します。
例えば、コールセンターでよくある悩みには、このようなものがあります。

  • スタッフによる応対品質に差がある
  • 顧客対応に時間がかかる
  • お客様の待ち時間を短くしたい

複数の課題がある場合は優先順位をつけ、AIに任せる業務範囲を明確にします。同時に、導入の意思決定者や現場管理者、関連部署との合意形成も行いましょう。

現状業務フローを可視化する

AIを効果的に導入するには、現状の業務フローを可視化することが重要です。

問い合わせの流れやよくあるFAQ、マニュアルなどのデータを整理しておくと、AIに任せる業務範囲や自動化の対象が見えやすくなります。

製品を選定する

課題が明確になったら、AI製品を選定します。

選定のポイントは以下の通りです。

  • 自社の課題に合った機能があるか
  • 導入後の運用イメージが描けるか
  • AIの種類(ボイスボット、チャットボット、音声認識AI、声紋認証AIなど)と対応範囲

最初から全業務に適用するのではなく、段階的に導入する方が運用しやすくなります。

AIにデータを学習させる

AIがコールセンターで顧客対応を行うには、事前に十分なデータ学習が必要です。過去の問い合わせ内容やFAQ、応対ログなど、対応に必要な情報を可能な限り収集し、学習に活用します。

このとき重要なのは、データの量だけでなく質も確保することです。正確で代表性のあるデータを揃えることで、AIはより精度の高い応対ができるようになります。

また、顧客の個人情報を扱う場合には、匿名化や暗号化などセキュリティ対策を徹底する必要があります。

運用開始前には一定期間の学習時間を確保し、AIが効率的かつ適切に対応できる土台を整えておくことが、導入成功の鍵となります。

運用開始&改善の継続

本格的に運用を開始させた後も、定期的に回答率や解決率、離脱率等のデータを確認し、精度が上がるよう改善を重ねます。

AIは学習データが増えるほど回答精度が高まります。そのため、運用中も定期的に応対ログやFAQを見直して改善することが重要です。

コールセンターの課題をAIでサポート

AIをコールセンターに導入すると、以下のような効果が見込めます。

人手不足の軽減

コールセンター業務は、オペレーターが戦力として稼働するまでに一定の育成期間が必要となる場合が多く、人員を増やしてもすぐに対応力を高めることが難しいという課題があります。

さらに、業務負荷や精神的なストレスから離職率が高く、人材の定着が進みにくい点も、人手不足が慢性化する大きな要因となっています。

AIを導入することで、定型的な問い合わせ対応や手続きの一部を自動化できれば、オペレーター一人あたりの業務負担を軽減できます。その結果、限られた人数でも安定した運用が可能となり、採用や育成が追いつかない状況下でも、人手不足による影響を最小限に抑えることにつながります。

応対品質の均一化

従来の対応はオペレーターの経験やスキルに依存するため、回答のばらつきが課題となっていました。特に新人オペレーターは複雑な問い合わせに対応する際に、保留して確認する時間が長くなることもあります。

AIを活用すれば、統一されたデータベースを基にすべてのオペレーターが正確に回答できるようになり、応対品質を安定させることが可能です。

さらに、AIがリアルタイムで回答候補を提示する支援機能を組み合わせれば、新人でも即座に適切な回答ができます。

顧客満足度の向上

オペレーターに繋がるまでの待ち時間や質問後の保留時間が長いと、顧客がストレスを感じ顧客満足度の低下に繋がってしまいます。

特に、待ち時間が3分を超える場合は離脱率が高まる傾向があり、待ち時間の短縮は顧客体験に直結する重要なポイントです。

AIを導入すれば、人手不足による対応遅延や回答までの時間を短縮できるため、スムーズな応対が可能となり、顧客満足度の向上が期待できます。

AI導入前に知っておきたいリスクと注意点

AIは業務効率化に大きく貢献する一方、その特性を理解せずに導入すると「期待通りに使えない」という結果になりかねません。

しかし、事前にリスクや注意点を把握し、正しく対策を講じることで、その効果を最大限に引き出すことができます。ここでは、導入成功のために押さえておきたい3つのポイントを解説します。

AIに任せる業務と人の対応を明確にする

AIは定型業務の自動化に優れていますが、複雑な問い合わせや感情に寄り添った対応はまだ得意ではありません。すべてをAIに任せてしまうと、顧客満足度の低下につながるリスクがあります。導入前に「AIに任せる業務」と「人が対応すべき業務」を戦略的に切り分け、両者が得意分野を活かして協力できる体制を整えておくことが重要です。

データの質と学習環境を整える

AIの精度は、学習に使用するデータの質と量に大きく左右されます。過去の問い合わせログやFAQ、応対記録などを整理し、学習に活用できる状態にしておくことが必要です。単にデータ量を増やすだけでなく、正確で意味のある情報を揃えることが重要です。さらに、個人情報を扱う場合には匿名化や暗号化などのセキュリティ対策も忘れてはいけません。

運用・改善の体制を整える

AIは導入しただけでは最大の効果を発揮しません。回答精度や解決率などの指標を定期的に分析し、学習データやシナリオの改善を重ねる運用体制が必要です。サポート体制が整っているベンダーを選び、改善サイクルを継続することで、AIは単なる自動化ツールにとどまらず、コールセンター業務全体の効率化と顧客体験の向上に貢献できます。

自社の課題に合ったAIを選び、顧客体験を向上させよう

本記事では、コールセンターが抱える「人材」「品質」「コスト」「顧客満足度」といった多様な課題に対し、AIがいかに有効な解決策となり得るかを解説しました。チャットボットやボイスボット、音声認識AIなど、それぞれの特徴を理解し、自社の目的や課題に合ったAIを選ぶことが、導入成功の鍵です。

しかし、最も重要なのは「導入して終わり」にしないことです。導入目的を明確にし、AIに任せる業務と人が対応すべき業務を切り分けたうえで、運用後も継続的に改善を続けることが、AIの効果を最大限に引き出すポイントです。

もし、「より高度で柔軟なAIを使い、AIによる顧客対応を一歩進めたい」「どのツールが自社に合うかわからない」といったお悩みをお持ちでしたら、弊社が提供する「CAT.AI マルチAIエージェント for Voice」をご検討ください。

本製品は、ボイスボット(音声対話AI)とチャットボット(テキスト対話AI)をシームレスに連携できる、最新の「ナビゲーション型」対話AIです。双方の利点を最大限に活かし、わかりやすくナビゲーションすることで、AIによる課題解決率を向上させます。さらに、LLMと連携することで、より、AIによる自然な対話体験を提供します。

本記事でご紹介した事例のほか、様々な業界での活用方法をまとめた資料をご用意しております。ご興味のある方は、ぜひダウンロードしてご覧ください。

この記事の筆者

TOMORROWNET

株式会社トゥモロー・ネット

AIプラットフォーム本部

「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、複数AIエージェントが連携し、業務を自動化する「CAT.AI マルチAIエージェント」など、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。

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