AI活用でカゴ落ちを防ぐ!CVR改善のための原因別アプローチを紹介します
カゴ落ちとは、ECサイトでカート(買い物カゴ)に商品をいれたものの購入まで至らず離脱してしまうことを指します。
カゴ落ちは多くのECサイトで生じており、改善しなければCVR低下にも繋がるほど大きな問題です。しかし、一度商品をカートに入れたということはその商品に対して興味があり購入する意思がある可能性が高いため、カゴ落ちしてしまった原因を解消すれば購入に繋がると考えられます。
そこで今回は、カゴ落ちの原因や原因別のアプローチ方法、AIを活用したカゴ落ち対策ツールについてご紹介します。対策ツールの選び方にも言及していきますので、ツール選びの参考にしていただけたら幸いです。
カゴ落ち率とは
カゴ落ちの対策を取るには、まず自社サイトのカゴ落ち割合(カゴ落ち率)を把握することが大切です。
カゴ落ち率は、以下の計算方法で算出することができます。
- カートに商品を入れた人数-購入者数=購入せずに離脱した人数
- 購入せずに離脱した人数÷カートに商品を入れた人数=カゴ落ち率
カゴ落ちの現状と対策効果を把握するにあたって、この数値を把握することが重要となりますので、上記の計算式に自社の数値をあてはめ算出してみてください。
ちなみに、カゴ落ちについて調査している「Baymard Institute」によると、世界のECサイトではカゴ落ち率は70.19%にも上るということが判明しています。
参考:『49 Cart Abandonment Rate Statistics 2024』
カゴ落ちは、ECサイトが共通して抱える課題だと言えるでしょう。
カゴ落ちの理由とは
カゴ落ちの理由として、以下の7つがあげられます。
- 情報収集目的でカートに入れた
- セールになるのを待っている
- カートに入れたことを忘れた
- 決済までのプロセスが長い
- 希望の決済方法が無かった
- 送料、手数料が想定より高かった
- 不安や疑問が解消できなかった
以下、詳しくご説明していきますので、自社サイトに当てはまるものをイメージしながら読み進めていただくとよいかと思います。
情報収集目的でカートに入れた
他のサイトや商品と比較し、あとで見返すために一度カートに入れるというケースです。
比較検討したのち、購入意思があったとしても緊急性がない場合は先延ばしになってしまうこともあります。
セールになるのを待っている
現時点で購入意思があるものの、セールや割引クーポン配信などお得に買える機会を待っているケースです。頻繁にセールやキャンペーンなどが行われるサイトで起こりやすい傾向にあります。
しかし、セールを待っている間に購買意欲が無くなってしまい、そのままカートに入れたままになってしまうこともあります。
カートに入れたことを忘れた
移動中など隙間時間のウィンドウサーフィンでカートに入れたものの、他の作業を行っている内にカートに入れたことを忘れてしまうなどといったケースです。
また、購入する意思が高くなくてもお気に入りとしてカートに入れるユーザーも一定数いるため、カゴ落ち率に影響することもあります。
決済までのプロセスが長い
会員登録や支払い情報などの入力項目が多いことで、ユーザーが疲れて離脱してしまうケースです。
項目数だけではなく、フォームの入力のしにくさや、ユーザーにとって原因が不明のエラーが多い場合なども、離脱に繋がります。
希望の決済方法がなかった
代引きに対応していなかったり、ID決済ができなかったりといった、ユーザーが希望する決済手段がなかったためにカゴ落ちしてしまうケースです。
また、ユーザーの中にはクレジットカードを登録・入力することに抵抗を感じる方もいるため、希望の決済方法がない場合は、その時点で離脱してしまいます。
送料、手数料が想定より高かった
購入画面まで進んだのち、送料や他の手数料が想定より高額だったために、ユーザーが離脱してしまうケースです。ECサイトでは、ある一定の購入金額で送料が掛からなくなる場合もあります。
しかし購入画面まで進んでから送料について知った場合、再度商品ページに戻り他の商品を探す手間がかかったり、購入したい商品が限られている場合は、そのままカゴ落ちに繋がってしまうことがあります。
不安や疑問を解消しきれなかった
返品などのカスタマーサポートに関することや、サイトへの信頼度に不安を感じてしまい離脱してしまうケースです。
FAQなどのユーザーが知りたい情報が見つけにくい、セキュリティ対策に関する表記が出てこないなどといった場合に起こりやすくなります。
原因別のアプローチ方法
ここでは原因別に具体的なカゴ落ち対策をご紹介していきます。
前述したカゴ落ちに繋がる原因を、大きく以下の3つに分けてみます。
- ユーザー側の原因でカゴ落ちしている場合
- 情報入力フォームが原因でカゴ落ちしている場合
- Webサイトの作りが原因でカゴ落ちしている場合
それぞれ詳しくご説明します。
ユーザー側の事情でカゴ落ちしている場合
購入意思があるものの先延ばしになっている場合や、カートに入れたことを忘れてしまっている可能性がある場合には、カートに商品が残っていることを通知する対策が有効です。
カゴ落ちしているユーザーにメール配信を行ったり、またはクーポンを表示したりすることで再度興味を持ち、再訪問・購入へと繋がる可能性が高くなります。
ただしこれらの通知を手動で行うには、大変な労力と時間が掛かってしまいますので、自動でリマインドメールを送信してくれるツールを利用するとよいでしょう。
リマインドツールにはさまざまな設定ができるものがありますので、後ほど詳しくご紹介していきます。
入力フォームが原因でカゴ落ちしている場合
入力完了までのプロセスが長いことや決済手段が少ない場合には、情報入力フォームを簡潔にしたり、決済手段を増やすことでカゴ落ち防止に繋がります。
情報入力フォームについては、必須入力項目やエラー部分をカラーリングで分かりやすく表示したりすることで、入力に対するユーザーのハードルを下げることができます。
決済フォームに関しては、システムと連携していて変更が容易でない場合、後述する入力フォーム最適化サービスや決済代行と連携できるツールなどを利用するとよいでしょう。
決済手段は多いほどさまざまなユーザーの希望に沿うことができ、カゴ落ち防止に繋がると期待できます。
Webサイトの作りが原因の場合
送料や手数料がといった別途発生料金がネックな場合や、疑問・不安を解消できないことが原因の場合は、商品を検索する時点で送料について明記することやFAQを目につきやすいよう設置する、個人情報の入力前にセキュリティポリシーに関する記述を表示することなどが有効です。
ただし、そのためにはWebサイトのリニューアルが必要になる可能性があります。
コストや手間などの問題がある場合には、Webサイトにタグを埋め込むだけで使うことのできるWeb接客ツールがおすすめです。
AIが行動分析を行い、データを元にアプローチを行ってくれるものもありますので、より効果的にカゴ落ち対策を行うことが期待できます。
カゴ落ち対策おすすめツール
では具体的にカゴ落ち対策に有効なツールを、対策別にご紹介していきます。
サービス名 | 対策 | 費用 |
カートリカバリー | リマインド通知 | 月額39,000円 |
SaleCycle | 要問合せ | |
EFO CUBE | 入力フォーム改善 | 月額50,000円~ |
CommChat | 月額10,000円~ | |
Sprocket | Webサイト改善 | 要問合せ |
Repro | 要問合せ | |
Zendesk | 月額8,000円~ |
カートリカバリー
https://www.submit.ne.jp/cartrecovery より引用
株式会社イー・エージェンシーが提供する、カゴ落ち対策に特化したMAツールです。
カゴ落ち後、最短15分でリマインドメールの送信が可能なほか、該当商品をバナー広告に反映させるといったアプローチができ、クリック率やCVRの向上にも効果を発揮します。
カゴ落ちした商品情報や離脱ページの解析も可能で、定額で利用できるところもポイントです。
SaleCycle(セールサイクル)
https://salecycle.clovertech.jp/ より引用
株式会社スクデットが提供するカゴ落ち対策ツールです。
カゴ落ちメール配信はもちろんのこと、ユーザーの離脱時にポップアップ表示で呼び止めるほか、おすすめ商品を表示することも可能です。
また、カゴ落ちデータの分析以外にもABテスト機能も標準搭載しているため、PDCAの最適化とCVRの向上に役立つツールと言えます。
EFO CUBE(イーエフオーキューブ)
https://www.efo-cube.info/ より引用
株式会社GeeeNが提供する入力フォーム改善ツールです。
業界最多数の26機能を搭載しており、4,200フォーム以上の導入実績を誇ります。
入力補助機能で会員登録時のユーザーのストレスを軽減し、入力項目ごとのエラー率や離脱率を解析することで、ユーザーにとって使いやすいフォーム改善が期待できます。
CommChat(コムチャット)
https://huckleberry-inc.com/commchat より引用
株式会社ハックルベリーが提供するチャットボット型EFOツールです。
外部決済ページへ遷移なしでShopifyの標準決済が可能であり、2回目以降の決済では再度クレジットカードを登録する必要がなく、カゴ落ち・離脱防止をサポートします。
商品ページなどでチャットボットが立ちあがり、画像などを使った分かりやすい画面で決済を行えるため、ユーザーの誘導がスムーズに行えます。
Sprocket(スプロケット)
株式会社Sprocketが提供するWeb接客ツールです。
AIがユーザーの行動履歴や属性をリアルタイムで分析し、適性なタイミングでポップアップ表示などのアプローチを行うことができます。
シナリオ型のチャットボットを搭載しており、外部連携することで有人チャットやAIチャットにも対応でき、不安や疑問を解消しカゴ落ちや離脱防止が期待できます。
Repro(リプロ)
https://repro.io/ より引用
Repro株式会社が提供するWeb接客ツールです。
AIがユーザーの属性や行動履歴を元にメールやプッシュ通知、ポップアップを表示することで、適切なタイミングでのサポートを実現します。
リマインド通知のほか、さまざまなカゴ落ち要因をABテストで分析し、効率的に施策を行うことが可能なツールです。
Zendesk(ゼンデスク)
https://www.zendesk.co.jp/ より引用
株式会社Zendeskが提供するチャットツールであり、日本語・英語のみならず30ヵ国語以上の言語に対応しています。
半自動半有人型のチャットツールで、定型質問にはAIチャットボット、個人対応が必要な質問にはオペレーターが応対するため、よりユーザーの不安や疑問解消に繋がるサポートを行うことができます。
カゴ落ち対策ツールを選ぶ際のポイント
ここでは原因別にカゴ落ち対策ツールを選ぶ際のポイントをご紹介します。
自社の課題をイメージし、選定の参考にしていただけたら幸いです。
リマインド通知ツールを選定する場合
リマインド通知ツールを選定する場合は、メール配信の頻度やメール通知以外のアプローチがあるかを確認するとよいでしょう。
自社サイトの状況やターゲット層により配信頻度や目に止まりやすい通知方法は異なり、ツールによっても標準搭載している機能はさまざまです。
ツールにどのような機能が備わっているかによって費用感にも差が出る傾向にあるため、自社に必要と思われる機能に目安をつけ、ツールを選定することが大切です。
入力フォーム改善ツールを選定する場合
入力フォーム改善ツールを導入する場合には、入力補助機能の具体的な内容のほか、分析機能の有無も考慮するとよいでしょう。
分析機能の有無により費用も異なりますので、自社に必要な機能をできるだけ明確にする必要があります。
ただし、費用面だけでツールを選定することはせず、自社で継続的にPDCAを回すことが可能かを慎重に検討することが重要です。
Webサイト改善ツールを選定する場合
Webサイト改善ツールを選定する場合は、まずチャット機能とポップアップ機能のどちらが必要かを検討することが大切です。
ユーザーが自社サイトのどういった部分に疑問・不安を感じているのかを分析し、必要な機能を選定するようにしましょう。
また、分析機能などが豊富なツールを導入する場合、自社に知識が少ない場合には機能を持て余してしまう可能性もありますので、ベンダーのサポート体制が充実しているかもチェックするとよいでしょう。
カゴ落ちを防止しCVRを改善しよう
カゴ落ち対策といっても、原因はさまざまです。
ユーザー側の事情でカゴ落ちしている場合もあれば、サイトに何かしらの課題がありカゴ落ちに繋がっている場合もあります。冒頭のデータからも、カゴ落ちはECサイトにとって共通の課題であると言えますが、その原因を解消することができれば大幅なCVR改善に繋がる可能性があります。
まずは自社サイトの課題やカゴ落ち率などを把握し、自社に必要な機能・自社に合ったツールを導入することが大切です。
特にAIが搭載されているツールは、データを元に最適化を自動で行えることが強みであり、効果的なマーケティングにも繋がるツールです。
効果的なカゴ落ち対策を行い、CVRを改善していきましょう。
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この記事の筆者
株式会社トゥモロー・ネット
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