AIアシスタントとは?仕組み・種類・メリットを解説

AIアシスタントとは、音声を解析して内容を理解し、それに基づいて応答を行う仕組みを備えたサービスのことです。
近年、この技術は急速に広まり、スマートフォンやアプリケーション、スマートスピーカーといった多様なデバイスに採用されるようになりました。
本記事では、AIアシスタントの仕組みや種類、メリットについて紹介していきます。AIアシスタントの導入を検討されている方の参考になれば幸いです。
Index
AIアシスタントとは?
AIアシスタントとは、音声を認識するための技術を活用して、人に話しかけるように質問や指示を出すと、それに応答するAIプログラムの一種です。
入力された音声をテキストに変換する「音声認識」や、言葉の意味を解析する「自然言語処理」、大量の音声データから言語のパターンを学ぶ「機械学習」といった機能を備えています。これらの技術の組み合わせにより、曖昧な表現や複雑な会話にも対応できる柔軟性を持っています。
例えば、「今日の気温を教えて」とスマホに話しかけると即座に情報を提示してくれるなど、その利便性の高さから広く利用されています。また、従来は人が実際に手を動かして行っていた作業が、音声の指示だけで自動化できるようになり、多くの分野で導入が進んでいます。
このように、AIアシスタントの活用範囲は拡大しており、さらなる進化が期待されています。
AIアシスタントの仕組み
AIアシスタントの仕組みは、以下の3つの技術を用いて成り立っています。
- 音声認識
- 自然言語処理
- 機械学習
それぞれ解説していきます。
音声認識
AIアシスタントには、音声をテキストに変換する高度な音声認識機能が搭載されています。具体的には、録音されたボイスメモの文字おこしや、音声入力による操作など、さまざまなシーンで便利に活用されています。
また、AIアシスタントは話し手の声のトーンを識別することもできます。例えば、ささやくような声で話しかけられると、それに合わせてささやく声で応答するように音声認識の設計がされているケースもあります。
自然言語処理
人間が日常的に使う言葉をコンピュータ上で理解し処理する技術が、自然言語処理です。
AIアシスタントが人間の会話や話し言葉を認識する際、曖昧な表現や独特の言い回しに直面することもあります。これらの曖昧さが原因で、具体的な意味を正確に捉えるのが難しくなる場合があります。
しかし、自然言語処理では、単語のつながりや文章の構造的な特徴を学習し、それに基づいて言葉の背後にある意図を推測することが可能です。
機械学習
AIアシスタントにも活用されている機械学習の技術は、音声認識や自然言語処理の精度を向上させるために重要な役割を果たしています。
機械学習では、大量の音声データを活用して言語のパターンを解析・学習し、その結果として認識精度が高まります。また、曖昧な表現や複雑な言葉の組み合わせから利用者の意図を推測する能力も、機械学習の特徴の一つです。
AIアシスタントの種類

ここでは、AIアシスタントの代表的な例を5つご紹介します。
- チャットボット
- スマートデバイス
- 対話型AI
- 車載アシスタント
- AIエージェント
チャットボット
チャットボットは、基本的にはテキストベースで活用される自動化ツールですが、人間の発話に対して反応ができるものもあります。例えば、デジタルサイネージの裏側で、チャットボットが連携されており、接客を行っているといった例があります。
AIを活用したチャットボットには、学習したデータに基づいてユーザーの質問や要求に応じる「機械学習型」のほか、音声やテキスト内容を解析し自ら回答を生成する「生成AIと連携」するタイプもあります。
また、チャットボットは過去のデータを収集・分析することで、業務の効率向上やコスト削減、顧客満足度の向上を実現することが可能です。そのため、さまざまなビジネスシーンで積極的に導入されています。
スマートデバイス
スマートデバイスとは、主にスマートフォンやタブレットを指します。これらの端末には、SiriやGoogleアシスタント、AlexaといったAI技術が搭載されており、音声操作を通じて検索やアプリの起動など様々な操作を利用することが可能です。
さらに、他の家電や電子機器と連携させることで、その活用範囲はますます広がっています。
このようなAIアシスタントは、現代の多くの人々にとって日常生活の一部となっており、今後もその利便性が認められ、さらなる普及と進化が期待されています。
対話型AI
対話型AIとは、人々が会話を楽しむことを目的とした人工知能技術を搭載したアシスタントのことを指します。
日常生活での家事サポートや仕事上のタスク補助といった実用的な用途で使用されることが一般的ですが、単に会話を楽しむためだけに設計されたものも存在しています。
例えば、スマートフォンアプリでは、AIによってキャラクターが生成され、そのキャラクターと自然な対話を楽しむことができます。子どもや高齢者の話し相手としても利用でき、コミュニケーションの新たな形を作り出すことが可能です。
また、英会話の練習を目的とする場合には、AIを活用してネイティブスピーカーに近い自然な英語の会話を体験することも可能です。
車載アシスタント
車載アシスタントとは、運転をサポートするために設計されたAI技術の一つで、安全な運転やルート案内を行う役割を担います。
目的地までの効率的で安全な道順を提案したり、車間距離の維持や道路標識の確認を手助けすることで、運転者がより快適に運転できる環境を提供することが可能です。
近年では、自動車業界において電動化や自動運転技術の研究が急速に進んでおり、それに伴い車載アシスタントを搭載した次世代型車両の開発も活発化しています。
AIエージェント
AIエージェントとは、さまざまな人工知能技術やデバイスを統合することで、従来のAIでは対応が難しかった複数の作業や高度なタスクを自律的に遂行できる進化したシステムを指します。
特定の環境やフィードバックをもとに動作し、データ解析、意思決定や問題解決のサポートといった幅広い機能を担える特徴があります。例えば、カスタマーサポートにおけるチャットボットやパーソナルアシスタントとして活用されるスマートスピーカーなどがAIエージェントの代表例と言えます。
このように、AIエージェントは、機械学習や自然言語処理といった高度な技術を活用し、ユーザーの要望に柔軟に対応する能力を備えています。
AIエージェントについては以下の記事でも詳しくご紹介しています。
AIエージェントとは?仕組みと特徴について解説します
AIアシスタントのメリット
AIアシスタントのメリットについては、以下の3つが挙げられます。
- ヒューマンエラーを防止する
- 業務効率化につながる
- 人材不足の解消につながる
それぞれのメリットについて解説していきます。
ヒューマンエラーを防止する
AIアシスタントを活用するメリットとして、ヒューマンエラーを防ぐことにつながります。人が作業を進める以上、見落としや入力ミス、手順を誤るといった人為的なミスを完全に排除することは困難です。
ヒューマンエラーが発生すると、修正や再作業が必要となり、大幅に時間を無駄にしてしまう場合があります。しかし、AIアシスタントを導入することで、指定された手順を正確に遂行できるので、人為的なミスを大幅に抑えることが可能です。
さらに、特定の業務では多くの工程をAIで自動化することができ、業務の効率化を図るだけでなく、作業全体をよりスムーズに進める手助けとなります。
業務効率化につながる
AIアシスタントの音声からテキストへ変換する技術を活用することで、会議の記録や議事録の作成といった事務作業の負担を軽減することができます。
また、テキスト化した情報を要約することができれば、作業効率をさらに向上させることが可能です。顧客対応や社内の問い合わせ、データ解析やスケジュール管理といったこともAIアシスタントに任せることで、会社全体の業務効率化に繋がります。
これにより、大量の業務を短時間で処理できるだけでなく、職場環境の改善や長時間労働の解消にもつながるでしょう。
人手不足の解消につながる
AIアシスタントは、人手不足の解消につながるメリットが挙げられます。多くの業界で深刻な人手不足が課題になっており、AIアシスタントの活用がその解決策として注目されています。
AIアシスタントを導入することで、企業はデータ入力や問い合わせ対応などの事務的な業務を効率化し、従来必要だったオペレーターや入力作業スタッフの負担を軽減することが可能になります。
その結果、従業員はより専門性の高い業務や重要なプロジェクトに集中できるようになり、少ない人数でも生産性を向上させることが期待できます。
AIアシスタントの活用例

AIアシスタントの活用例については、以下の3つが挙げられます。
- 問い合わせ対応
- マニュアルの自動作成
- 接客補助
それぞれの活用例について解説していきます。
問い合わせ対応
AIアシスタントの活用例として、顧客からの問い合わせ対応が挙げられます。
特に、チャットボットの活用により、企業は24時間体制で顧客対応が可能となり、顧客が気軽に問い合わせできる環境を提供することに加え、オペレーターの負担を軽減や、運営コストの削減も実現することができます。
また、AIを活用した自動音声応答システムを導入する企業も増加しており、電話対応の効率化を進めることが可能です。電話チャネルからの問い合わせに対しても、24時間対応が可能で、顧客満足度を高めるだけでなく、機会損失を防ぐことにもつながります。
マニュアルの自動作成
AIアシスタントを活用することで、効率的にマニュアルの自動作成ができます。現在では、マニュアル作成をサポートする専門ツールも登場しており、その便利さが注目されています。
マニュアル化したい作業や業務に関連するキーワードを入力するだけで、タイトルや手順、説明文といった内容が自動的に提案されます。生成された内容を基に、必要に応じて修正や調整を加えれば、手間をかけずにマニュアルを完成させることが可能です。
そのため、従来よりも短時間でマニュアルを作成できるだけでなく、作成時間や工程に余裕が生まれるため、より質の高い仕上がりを目指すことができます。
接客補助
飲食店や販売店など接客が必要となる業界では、接客の補助としてAIアシスタントの活用が進んでいます。例えば、家電量販店では、AI技術を搭載した人型ロボットが店頭に設置され、従業員に代わってお客様に声をかけたり、商品の特徴を説明したりしています。
また、受付業務の補助や、商業施設における店舗案内など多様な接客場面でAIアシスタントが役立っています。さらに、多言語対応が可能なAIアシスタントを活用することで、外国語対応が可能な人材を改めて確保するといった必要がなくなります。
実際に観光案内所の中には、AIアシスタントが様々な国からの観光客とスムーズなコミュニケーションを行っているところもあります。
AIアシスタントを使用する際の注意点
AIアシスタントを使用する際の注意点については、以下の3つが挙げられます。
- 会話が成立しないケースがある
- AIアシスタントが向いていないケースがある
- サイバー攻撃のリスクがある
それぞれの注意点について解説していきます。
会話が成立しないケースがある
AIアシスタントは日々進歩を遂げており、音声認識の正確さもかつてに比べて大幅に向上していますが、人間の話す言葉を完全に理解するには至っていないのも事実です。
例えば、方言を使って話したり、早口で話したりなどは音声が正しく認識されないことがあります。その結果、AIアシスタントが何度も確認を求めたり、適切に発話内容を理解できないといったことが起こりえます。
ユーザーが何度も言いなおしたり、訂正をするなどの手間が生じてしまうリスクがあり、満足度にも影響が出てしまう恐れがあります。
AIアシスタントが向いていないケースもある
AIアシスタントは音声で操作することが可能ですが、周囲の環境によっては音声の認識率に影響が出てしまい、利用が不向きなケースもあるので注意が必要です。
例えば、商業施設や飲食店といったところでは、AIアシスタントの活用が広がっている一方で、周囲の雑音を拾ってしまうため、音声認識に影響が出てしまうことがあります。そのような場合は、音声の発話ではなく、タップなどの選択やテキスト入力によって進んでいくタイプのAIアシスタントが向いているでしょう。
また、車やバスのように多くの人がいる空間や、病院や図書館のように静けさが求められる場所では、プライバシーの観点から音声指示が適さないことも考えられます。
このように、AIアシスタントを効率的に利用するためには、環境や状況に応じて適切な方法を選ぶことが大切です。
サイバー攻撃のリスクがある
AIアシスタントを活用するためには、インターネットへの接続が必須であり、サイバー攻撃のリスクが挙げられます。実際に、インターネットに接続することで、サイバー攻撃やウイルス感染といったマルウェア(悪意のあるソフトウェアの総称)の脅威を完全に排除することは難しいです。
このようなサイバーリスクは情報漏洩のリスクにも繋がり、企業の信頼にも大きな影響を及ぼします。サイバーリスクや情報漏洩リスクを防ぐためには、企業がセキュリティソフトを適切に導入し、管理を厳格に行うといった対策を行うことが大切です。
AIアシスタントを活用しよう!
今回は、AIアシスタントについて紹介しました。
音声認識や自然言語処理などの技術を使って、自然な会話を実現するAIアシスタントは、さまざまなビジネスの現場で活用されています。
AIアシスタントを活用することで、作業の効率向上やヒューマンエラーの軽減、人手不足の解消などのメリットが挙げられます。生成AIとの連携によって、企業全体の業務効率化にますます貢献できることでしょう。
トゥモロー・ネットが提供するCAT.AI GEN-Botは、生成AIと連携し企業が保有するあらゆるデータベースに基づいてテキストだけではなく、画像やフォームも使いながら適切な回答を作成・提示し、パーソナライズした対応で問題解決に導くことができるシステムです。
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この記事の筆者

株式会社トゥモロー・ネット
AIプラットフォーム本部
「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、生成AIと連携したサービス「CAT.AI GEN-Bot」を筆頭に6つのサービスが含まれ、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。