パーソナライズAIで何ができる?業務での使われ方と検討時の判断軸

投稿日 :2026.02.05  更新日 :2026.02.04

問い合わせ対応やWeb上の案内業務など、顧客対応の領域でのAI活用が広がっています。一方で、実際の現場では「誰に対しても同じ対応」になりがちで、期待していたほどの柔軟さや体験の向上が実現できないケースもあります。これは、従来のAIが想定したパターンやルールに基づいて動くため、利用者の状況や文脈に応じた対応が難しいことが一因です。

こうした状況を受け、注目されているのが「パーソナライズAI」です。顧客や利用者の状況に応じて対応を変えることで、業務効率の改善だけでなく、より満足度の高い顧客体験(CX)を提供することが期待されています。

本記事では、パーソナライズAIの基本的な考え方を整理したうえで、実際に業務でどのように使われているのか、そして導入を検討する際に整理しておきたいポイントを解説します。パーソナライズAIがどのような業務に適しているのか、また活用するために前提として考えるべきことを整理するための視点を提供します。

CX向上の本質的な意義については「顧客満足度(CS)からカスタマーエクスペリエンス(CX)へ」の記事もご覧ください。

パーソナライズAIとは何か

パーソナライズAIとは、利用者の属性や状況、過去の行動などを踏まえながら、一律ではない対応や判断を行うためのAI活用の考え方です。
単に表現や回答内容を出し分けるのではなく、「どのような条件で、どの対応や案内を行うか」を業務として整理し、その考え方をAIに反映していく点に特徴があります。

業務現場では、顧客の契約内容や利用状況、問い合わせの背景といったなど、対応を変える必要がある情報を踏まえ、判断や案内を出し分けるケースが一般的です。重要なのは、これまで人が経験やルールに基づき行ってきた判断を、どこまで業務として整理できるかという点であり、パーソナライズAIはその整理された判断軸をAI活用に結びつけるアプローチといえます。

なぜ今、パーソナライズAIが注目されているのか

近年、AIや生成AIの活用が広がる中で、自動応答や業務効率化そのものは珍しいものではなくなってきました。 一方で、「誰にでも同じ対応」から抜け出せていないケースも多く、顧客の状況や背景に合わないまま案内が行われることで、対応が噛み合わなかったり、やり取りが長引いたりする場面も見られます。その結果、対応の質や体験の一貫性に課題を感じる企業が増えています。

こうした背景から、単にAIを導入するかどうかではなく、業務の判断や対応をどう設計し、それをAIでどのように支えるかという視点が重視されるされるようになっています。その文脈の中で、パーソナライズAIという考え方が注目されています。

なぜ従来のAIではパーソナライズが難しかったのか

パーソナライズAIが注目される一方で、従来のAI活用では十分に実現しきれていないケースも見られます。その背景には、これまでのAIが「特定の質問に答える」「決められた処理を行う」といった役割を前提に設計されてきた、という事情があります。
以下では、代表的なAIのタイプごとに、その特性とパーソナライズとの関係を整理します。

ルールベース・FAQ型AIの特性

ルールベースやFAQ型のAIは、想定した質問や条件に対して安定した対応ができる点が強みです。一方で、条件の組み合わせが増えるほど管理が複雑になり、利用者の状況に応じた細かな出し分けを行うには工夫が必要になります。

生成AIの特性

生成AIは柔軟な表現が可能で、幅広い質問に対応できる点が特徴です。ただし、業務で活用する場合には、どの情報をもとに対応を行うのか、業務ルールや前提条件をどのように持たせるかを別途設計する必要があります。

これらのAIを、利用者の背景情報や業務文脈と切り離したまま使うと、結果として似たような対応になりやすくなります。パーソナライズを実現するためには、どの情報を前提に対応を分け、どこで案内を切り替えるのかを業務として整理しておくことが重要になります。

パーソナライズAIの活用例と効果

ここからは、パーソナライズAIが実際の業務の中でどのように使われているのかを見ていきます。共通しているのは、AIを単体で使うのではなく、業務の流れの中で活用されている点です。

  • 顧客対応・問い合わせ対応
    契約内容や過去のやり取りを踏まえ、状況に応じて案内内容や次の対応を出し分ける使い方です。同じ問い合わせでも説明の深さを調整することで、対応の行き戻りを減らせます。
  • Web接客・案内業務
    閲覧履歴や操作状況をもとに、FAQを提示するのか、問い合わせを促すのかを切り替えます。ユーザーの検討段階に応じた案内が可能になります。
  • 社内業務・オペレーション支援
    担当者の役割や経験に応じて、判断に迷いやすい場面で補足情報を提示します。
    業務を進めるための支援として使われるケースです。

パーソナライズAI活用によって得られる効果

このように業務の流れの中で活用することで、パーソナライズAIは次のような効果をもたらします。

対応品質の安定・均一化

利用者ごとの属性や過去の行動、問い合わせ履歴に応じた対応を自動化できるため、個別対応でも基準のぶれを抑え、一貫した高品質なサポートが可能になります。

業務負荷・属人性の軽減

経験豊富な担当者でないと判断が難しかった個別対応をAIが補助することで、担当者ごとの属人性を減らし、引き継ぎや教育の負担も軽減されます。

データ活用・改善につながる

利用者ごとに異なる対応内容や結果を蓄積・分析することで、どの属性・状況の顧客にどの対応が効果的かを可視化でき、業務改善やサービス向上に直結します。

ルールベースAIや生成AIと比較すると、パーソナライズAIでは利用者の属性や履歴に応じた判断が可能なため、単なる効率化ではなく「質の向上」まで期待できます。

コールセンターでのAI活用については「【AIで進化するカスタマーサポート】顧客満足度と業務効率を劇的に向上」の記事もご覧ください。

導入検討時に整理すべきポイント

パーソナライズAIを業務で活用するには、導入前に整理しておくべき視点があります。
以下では、設計や運用を考える際に押さえておきたいポイントを解説します。

どこまでパーソナライズするのか

すべてを個別化しようとすると、設計や運用が複雑になり、管理も大変になります。まずは業務上影響の大きい部分や顧客体験に直結する部分に絞ると、現実的かつ効果的に導入できます。

どんなデータを使う前提か

既存の顧客情報や業務データで十分なのか、新たなデータ収集が必要かを確認します。データの正確性や更新頻度もあわせて整理しておくことで、AIの判断精度を維持しやすくなります。

現場での運用をどう想定するか

完全自動化ではなく、人が確認・介在するポイントを明確にします。実際の業務の流れに則して設計することで、運用開始後の混乱や手戻りを減らすことができます。

パーソナライズAIを機能させるための考え方

パーソナライズAIは、AI単体で完結するものではなく、業務フローやデータ、人の関与も含めて設計することで、初めて効果を発揮します。ここでは、業務全体の中でパーソナライズを成立させるための基本的な考え方を整理します。

仕組みとしての設計

利用者ごとに異なる状況や背景を考慮して対応内容を変える場面では、単なる自動化ではなく、問い合わせ履歴に基づくサポートや契約プランに応じた案内、過去の操作履歴を踏まえたWeb上のおすすめ提示など、利用者の属性や過去の行動を踏まえた対応が求められます。そのため、業務フローのどの段階でどの情報を使い、どこで人が介在して確認するかを整理することが、対応の精度と一貫性を高めるうえで重要です。

役割分担と連携

案内作成や履歴参照、要件整理などの役割を分けて処理することで、各処理に応じた情報が正確に反映され、問い合わせ内容に応じたサポートやWeb上でのパーソナライズ案内、社内オペレーション支援など、より精度の高い個別対応が可能になります。

運用・改善を前提とする

初期設計だけでは、利用者ごとの状況や複雑な業務ルールをすべて反映しきれず、対応が一律化したり抜け漏れが発生したりする場合があります。そのため、運用しながら改善を重ね、現場の実態に沿った対応を整えていくことが重要です。

パーソナライズAIの活用と効果を高めるアプローチ

これまで、パーソナライズAIの基本や業務での活用例、導入検討時の整理ポイント、効果的に機能させるための考え方を見てきました。パーソナライズAIの特徴は、単に自動化や効率化を行うだけでなく、個々の顧客や状況に応じた対応を業務フローの中で最適化できる点にあります。そのため、業務の流れやデータ、人の関与も含めて設計することで、判断のばらつきを抑えつつ、より一貫した高品質な対応が可能になります。

パーソナライズAIでは、利用者ごとの状況や履歴に応じて柔軟に対応を変える必要があります。単一のAIでは、判断や対応をすべて一括で行うため、情報の取りこぼしや業務ルールの反映漏れが起きやすく、対応が均一化しやすいという課題があります。

そこで複数のAIに役割を分担させることで、問い合わせ理解・対応案作成・履歴参照などを専門化でき、より精度の高い個別対応が可能になります。この考え方をさらに発展させ、業務全体に適用したのがAIエージェントやマルチAIエージェントの仕組みです。複数のAIが協調して動くことで、顧客対応や案内業務、社内業務支援など、業務の中でより自然にパーソナライズされた対応を提供できます。

こうした仕組みを具体的に提供しているのが、CAT.AI マルチAIエージェントです。ユーザーの意図に応じて最適な対応を行い、業務全体の中で判断や案内を出し分けることができます。

サービス紹介資料では、複数のAIが協調してパーソナライズされた対応を実現する仕組みや特長を整理しており、自社業務への適用イメージを把握できます。

この記事の筆者

TOMORROWNET

株式会社トゥモロー・ネット

AIプラットフォーム本部

「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、複数AIエージェントが連携し、業務を自動化する「CAT.AI マルチAIエージェント」など、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。

一覧へ戻る

お問い合わせ・
資料請求

ご不明な点や気になることなど、
なんでもお気軽に
お問い合わせください。

まずはお問い合わせ
簡単でも体験
簡単デモ体験
お問い合わせ