AIはどこまでWeb接客ができる?具体的な活用方法を解説

2024.12.17

従来、ECサイトを始めとしたWebサイト上での接客は、実店舗のようなリアルタイムサポートや販売促進のアプローチを実現するのは難しいとされていました。

しかし近年、AIの発展により、Webサイト上で実店舗さながらの「Web接客」が可能となり、企業に多大なメリットをもたらしています。

今回は「AIはどこまでWeb接客ができる?」をテーマに、AIを活用したWeb接客の概要や具体的な活用方法について解説します。

AIをWeb接客に活用することで得られるメリットと課題についても解説しますので、AIによるWeb接客ツールの導入を検討されている方の参考になれば幸いです。

AIを活用したWeb接客でできること

AIを活用することで、顧客の嗜好に合わせた商品の提案や疑問解決のサポートを行うことができ、まるで店舗スタッフがリアルタイムに接客しているかのような対応が可能です。

AIを搭載していないWeb接客ツールの場合、あらかじめ設定されたシナリオフローに基づいて回答する仕組みで、基本的な情報提供や問い合わせ対応は可能です。しかし、詳細なシナリオ設定が必要で、一人ひとりに合わせた柔軟な対応には限界があります。

問い合わせ内容が限られるなどの場面では効果的に活用できますが、Web接客などの多様な対応が求められる場面では、AI搭載型のツールの方が導入効果が大きいと言えます。

Web接客については以下の記事でも詳しく解説していますので、合わせてご参考ください。
Web接客とは?導入するメリットとCVR改善事例について解説します

類義語であるオンライン接客との違い

Web接客とオンライン接客の違いは明確に定義されていないことが多いですが、人によるリアルタイムで双方的なコミュニケーションを「オンライン接客」、チャットなどを通して自動で行われる接客を「Web接客」と区別している場合もあります。

今回の記事では、AIによる自動的な接客に限って解説を進めていきます。

Web接客におけるAIの具体的な活用方法

Web接客を行うツールは大きく分けて「ポップアップ型」と「チャット型」に分類されます。

どちらの種類にも、AI型とシナリオ型が存在しますが、今回はAI型のツールに焦点を当てて具体的な活用について解説します。

ポップアップ型のWeb接客

ポップアップ型は、顧客がWebサイトを閲覧している際に、適切なタイミングで効果的な情報をポップアップで表示するなど、主にCVR(コンバージョン率)向上を目的としてAIを活用します。

例えば、初めてWebサイトに訪れた顧客に対してはお得な初回クーポンを表示したり、商品を購入した顧客には嗜好に合わせたオススメ商品を表示し、アップセル・クロスセルを促すなどに効果的です。

AI型では、顧客の属性や行動履歴を基に効果的なアプローチを自動で行うことができます。また、タグ挿入などの初期設定をしておくと、AIが最適化を繰り返してくれる点もメリットです。

ただし、適切なタイミングで表示できなければ効果を発揮できなかったり、顧客にとって、逆にストレスを与える恐れがあるなどの点には注意が必要です。

チャット型のWeb接客

チャット型では、顧客の対話を自動化し、疑問解決を行うサポート役としてAIを活用します。

例えば、Webサイトのトップページや商品ページの隅に「お困りごとはありませんか?」などの文言と共にチャットボットを表示し、顧客に入力を促します。

AIは顧客が入力した文章を即座に分析し回答を提示したり、必要に応じて有人オペレーターへ引き継ぐことも可能です。

AIを活用したチャット型の場合、AIがよくある質問と回答を学習したり、フリーワードの入力にも柔軟に対応することができるというメリットがあります。

ただし、利用を促すために、チャットボットの設置場所への配慮や、顧客が「使ってみたい」と思うようなUI(ユーザーインターフェース)にするなどの工夫が重要となります。

Web接客ツールの種類についてはこちらの記事でも詳しくご紹介しています。
成果の出るWeb接客ツールの種類や選び方について|仕組みからおすすめツールまで

生成AIを活用する方法

Web接客に生成AIを活用するという方法もあります。

生成AIは従来のAIと比較し、より柔軟に対応することができます。

具体的には、従来のAIはシナリオや学習データに基づいて回答を提示しますが、生成AIはあらゆるデータから構造や文法、語彙の関係などを学習して、自ら回答を生成することが可能です。

これにより、学習した内容以外の問い合わせにも対応可能となり、従来以上に幅広い業務を自動化できるようになります。

生成AIを活用したWeb接客では、個人情報と連携ができれば、簡単なFAQの対応だけではなく、顧客一人ひとりに合わせた提案も実現できるようになります。

AIを活用したWeb接客を行うメリット

AIをWeb接客に活用することで、企業と顧客の双方にとってメリットがあります。

主なメリットは以下のようなものです。

  • サイトの離脱防止
  • 売上・反響率の向上
  • 顧客の利便性・満足度の向上

サイトの離脱防止

AIを活用したWeb接客は、サイトの離脱防止にも効果的です。

AIはリアルタイムでサイトを訪問している顧客の行動を分析することができるため、サイトを離脱しそうな兆候が見られた場合に、ポップアップメッセージやクーポンを表示することや、チャットボットによるサポートを提案することが可能です。

例えば、ユーザーが商品ページで長時間滞在している場合にAIが検知しておすすめ商品の提案や割引クーポンの表示をすることで、サイトから離脱することを防ぎ購入を促します。

売上・反響率の向上

AIは、大量のデータを迅速に処理し顧客の行動パターンや嗜好を分析することに優れているため、AIを活用したWeb接客では高度なユーザー分析によりパーソナライズされたアプローチが可能です。

例えば、商品ページの閲覧内容や購買履歴を元におすすめ商品を提案することで、商品の購入やサービスの利用の促進が期待できます。

AIを活用することで、Webサイトでは実店舗のようなクロージングが困難という課題の解消に繋がります。

顧客の利便性・満足度の向上

AIを活用したチャットボットを導入することで、24時間365日いつでも利用可能で、人と会話するようなスムーズなコミュニケーションを取ることができます。

スムーズな情報検索や意図を予測した回答、過去の問い合わせ履歴や行動データを元にした対応が可能なため、顧客は適切な情報を迅速に受け取れることができ、顧客満足度の向上に繋がります。

Web接客にAIを活用する際の課題と対策

Web接客にAIを活用することでさまざまなメリットを得られる一方で、以下のような課題も存在します。

  • ハルシネーション発生のリスク
  • 個人情報の取り扱い
  • 適切なAIの学習とメンテナンスの必要性

以下、対策と併せて詳しく解説します。

ハルシネーション発生のリスク

生成AIを活用する場合は、事実に基づかない回答や、誤解を招く回答を生成し提示してしまうことがあることに注意する必要があります。このように、AIが事実に基づかない情報や、誤解を招く情報をもっともらしく事実として生成してしまうことを「ハルシネーション」と言います。特に学習データが少ないケースや複雑な質問、表現が曖昧な質問に対しては誤った回答を提示してしまうリスクが高まります。

ハルシネーション発生の対策としては、「適切なデータがない場合には回答しない」「顧客からフィードバックを受ける」などが挙げられます。

生成AIと連携できるツールを導入する際には、適切な該当データがない場合には回答させない、というオープンデータ使用の制限がかけられるものを選定すると良いでしょう。

また、顧客からのフィードバックや評価機能がついたツールを選定することで、誤った回答を提示した場合には学習に反映させ、AIの回答精度を高めていくことができます。

個人情報の取り扱い

AIがパーソナライズした接客を行うためには、閲覧履歴などの顧客データを活用しますが、個人情報の取り扱いには厳重な注意が必要となります。特に生成AIを活用する場合は、取得した個人情報が生成AIに渡らないような制御は必須となるでしょう。

また、顧客の中には個人情報を使った分析・提案に抵抗を示す人もいるため、使用する際には明確なプライバシーポリシーの設定と表示によって、顧客の信頼を得ることが重要となるでしょう。

適切なAIの学習とメンテナンスの必要性

AIは継続的にデータの学習をしなければ、最新の顧客ニーズに応えることができなくなってしまいます。

AIを活用する場合、顧客との対応を繰り返す中で学習していく部分もありますが、人による継続的なメンテナンスは必要不可欠です。

自社での継続的なメンテナンスに自信がないという場合は、メンテナンスやチューニングサポートを行ってくれるベンダーを選ぶと良いでしょう。

ログを解析し効果的な戦略の立案からチャットボットの文言変更などの細部のサポートまで行ってくれる場合もありますので、自社にリソースや知見がない場合は、ベンダーがどういったサポートを提供してくれるのかも合わせて情報収集することをおすすめします。

AIをWeb接客に活用しよう

AIをWeb接客に活用することで、効率的にリアルタイムサポートや個人ごとのパーソナライズ対応ができるようになります。

AIの導入は企業だけのメリットではなく、利用する顧客にとっても利便性を高め、顧客体験の向上に効果的です。

Web接客にAIを導入する際には、AIの課題についても理解し、あらかじめ十分な対策をとることが重要ですので、今回の記事を参考に効果的にAIを活用していただけたら幸いです。

トゥモロー・ネットが提供するCAT.AI GEN-Botは、生成AIと連携し企業が保有するあらゆるデータベースに基づいてテキストだけではなく、画像やフォームも使いながら適切な回答を作成・提示し、パーソナライズした対応で問題解決に導くことができるシステムです。

高度なデータベースとBot機能でオープンデータ使用を制御し、生成AIの課題でもあるハルシネーションの発生を最低限に留め適切な回答を提供することに加え、独自開発のNLP(自然言語処理)エンジンを搭載し、データ検索の精度を向上します。

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この記事の筆者

TOMORROWNET

株式会社トゥモロー・ネット

AIプラットフォーム本部

「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、生成AIと連携したサービス「CAT.AI GEN-Bot」を筆頭に6つのサービスが含まれ、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。

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