企業のLINEアカウントにAIチャットボットを導入するメリットと注意点

従来、企業と顧客のコミュニケーション手段は「電話」がほとんどでした。現代においてもまだ電話対応の需要は高い傾向にありますが、顧客とのコミュニケーション手段として電話以外の手段を活用する企業も年々増加しています。中でも「メッセージアプリ」を使ったコミュニケーションは、その手軽さと利便性の良さから多くの企業が活用しています。
さらに、メッセージアプリとAIを組み合わせ、ユーザー対応を自動化している企業も増えてきています。今回は、メッセージアプリの中でも特に利用者数の多い「LINE」に焦点をあて、企業のLINEアカウントにAIチャットボットを導入するメリットと注意点について解説します。
Index
日本におけるLINEの月間利用者数は9,700万人
メッセージアプリとして圧倒的ユーザー数を誇る「LINE」は、2024年9月末時点における月間利用者数は9,700万人に上っています。男女比でみると女性の利用率が若干高く、年齢は10~60代までさまざまな年代の方が利用していることが分かりました。
参照:LINE キャンバス「LINEのユーザーはどんな人?」
つまり、現代の日本において「LINE」は国民の半数以上が利用しているプラットフォームなため、企業にとっては顧客との接点として積極的に活用できるチャネルといえます。
【何ができる?】企業のLINEアカウント×AIチャットボット
企業のLINEアカウントにAIチャットボットを組み合わせることで、どのように顧客対応を自動化することができるのでしょうか。主な活用方法は以下のようなものです。
- Webサイトへの誘導
- 資料請求や予約受付対応
- 問い合わせ対応
それぞれ詳しく解説します。
Webサイトへの誘導
ユーザーの意図に合わせ、必要に応じてWebサイトに誘導することもできます。商品の詳細やサービス情報など、対話の中で自然にWebサイトリンクを提示し、ユーザーが追加で求めている内容にアクセスできるようサポートします。
資料請求や予約受付の対応
資料請求や予約受付の対応をLINE上で自動化することができます。AIチャットボットがユーザーの入力した内容に応じて必要な情報をヒアリングし、対話形式でスムーズに手続きを進めます。
問い合わせ対応
AIチャットボットがユーザーの入力した内容に応じて、よくある質問への回答や、商品・サービスに関する基本的な情報提供を245時間365日いつでも自動で行います。もし対応が難しい内容の場合には、有人チャットなどの他の対応先を提示するなどのフロー設計も可能です。
LINE上で問い合わせや、資料請求などの希望を受けた際に、自社サイトの入力フォームに遷移させるケースもあります。しかし、LINEから離れることで心理的負担が増加したり、入力フォームの手間を感じたりすることで離脱率が向上する懸念もあります。
企業のLINEアカウントにAIチャットボットを組み合わせるのであれば、なるべくLINE上で完結できる仕組み作りをおすすめします。
企業のLINEアカウントにAIチャットボットを導入するメリット

企業のLINEアカウントとAIチャットボットを組み合わせることで得られるメリットは、主に以下のようなものです。
- コンバージョン率の向上につながる
- 業務効率化につながる
- 顧客満足度の向上につながる
- マーケティングに活用できる
それぞれ詳しく解説します。
コンバージョン率の向上につながる
LINE上で手続きを完結できることで、コンバージョン率の向上が期待できます。理由として、チャット形式で対話をしているように手軽に利用できることで、ユーザーの心理的負担が軽減するほか、従来の入力フォームよりも入力ハードルが下がる効果が見込めることが挙げられます。
業務効率化につながる
AIチャットボットが顧客対応を自動で行うことで、有人オペレーターなど顧客対応を行う担当者の対応件数が削減されます。これにより、他の業務に割く時間が確保できるなど、業務効率化につながります。
顧客満足度の向上につながる
AIチャットボットは24時間365日対応可能なため、ユーザーは好きな時間に問い合わせることができます。また、LINEという普段からなじみ深いツールを利用することで心理的負担も少なく、「いつでも気軽に使える」という点で顧客満足度の向上が期待できます。
マーケティングに活用できる
AIチャットボットのユーザー対応の履歴から得られたデータを、マーケティングに活用することも可能です。ユーザーにとって利用ハードルが低いLINEを活用することで、日々さまざまなユーザーの利用データが蓄積されます。
ユーザーの属性や問い合わせ内容を分析することで、ターゲット層の把握やユーザーの要望、改善点の発見にもつながるでしょう。
企業のLINEアカウントにAIチャットボットを導入する際の注意点
多くのメリットがある一方で、導入するにあたっては知っておくべき注意点もあります。主な注意点は以下のようなものです。
- LINEのUI/UXに合わせた設計をする
- ユーザー層との相性がある
- 配信頻度や内容を考慮する
- セキュリティ対策を確認する
- LINEの仕様変更があることに留意しておく
それぞれ見ていきましょう。
LINEのUI/UXに合わせた設計をする
LINEはカジュアルで気軽なコミュニケーションができるツールという強みがあるため、硬すぎる言葉使いや長文は不向きな傾向にあります。「チャット」ということを意識し、ユーザーがスムーズにコミュニケーションができるような設計を意識しましょう。
ユーザー層との相性がある
自社のユーザー層がLINEに慣れているかはしっかり考慮する必要があります。LINEは幅広い年齢層で利用されていますが、特に高齢層がターゲットの企業ではチャットでのコミュニケーションに慣れているかをあらかじめよく検討することをおすすめします。
配信頻度や内容を考慮する
LINEはお得情報やクーポンを配信するなどの使い方も可能ですが、通知が多いことや、ユーザーにとって価値のない情報、興味のない宣伝ばかりといった配信内容は、「ブロック」される大きな要因となります。問い合わせ対応自動化としてのAIチャットボットの導入効果を最大限に発揮するためにも、企業アカウントがブロックされないよう、適切な配信頻度と、ユーザーにとって有益で関心のある内容を届けるよう注意しましょう。
セキュリティ対策を確認する
LINEアカウントを通じて顧客とコミュニケーションをとる以上、セキュリティ対策は非常に重要です。特にAIチャットボットを連携させ、個人情報などを扱う可能性がある場合は、情報漏洩のリスクに細心の注意を払う必要があります。利用するチャットボットツールがどのようなセキュリティ対策(通信の暗号化、アクセス権限管理、データの保管方法など)を講じているか、LINEの定めるセキュリティガイドラインに準拠しているかなどを事前に確認しましょう。
LINEの仕様変更があることに留意しておく
LINEは定期的に仕様変更を行う場合がありますので、外部のチャットボットツールと連携させる場合には注意が必要です。変更内容によっては、予期しない影響を受けることも考えられますので、過去の仕様変更時の状況などをあらかじめベンダーに確認することをおすすめします。
また、これ以外にもAIチャットボットの注意点についても知っておくようにしましょう。詳しくは、以下の記事に詳しく記載しておりますのでこちらも併せてご確認ください。
AIによる自動応答とは?導入に適したケースやツール選定のポイントを解説
企業のLINEアカウントにAIチャットボットを導入する手順

企業のLINEアカウントにAIチャットボットを導入する手順は、以下のような流れで行います。
- LINE公式アカウントの開設
- AIチャットボットツールの選定
- チャットフローの設計と構築
- LINEと連携
- 運用と改善
それぞれ見ていきましょう。
1.LINE公式アカウントの開設
企業アカウントをまだお持ちでない場合は、まずはLINE公式アカウントを開設しましょう。LINE for Businessの管理画面から企業用アカウントを作成し、基本情報の登録やプロフィール画像の設定などを行ってください。
また、アカウント開設後は「認証済アカウント」の申請を行うことをおすすめします。認証済アカウントになることで、アカウントバッジが付与されユーザーからの信頼性が向上するほか、LINEアプリ内の検索結果に表示される、特定の機能(例:友だち追加広告の一部)が利用できる、請求書決済が可能になるなどのメリットがあります。
2.AIチャットボットツールの選定
LINEと連携できるAIチャットボットツールは複数存在します。機能や価格、操作性などはツールによって大きく異なるため、必要な機能の有無やAIの精度をしっかり確認しましょう。
特に重要なのは、「LINE Messaging APIに対応しているか」「AIによる自然言語処理の精度は高いか」「担当者が使いやすいか」などが挙げられます。自社のニーズに合ったツールをじっくり選定することをおすすめします。
3.チャットフローの設計と構築
AIチャットボットがどのような流れでユーザーと対話をするのかといった「チャットフロー」を設計・構築します。AIチャットボットは非AIチャットボットと比較して、比較的柔軟に対応できる特徴がありますが、それでもある程度の設計や構築、調整は必要となります。
チャットフローの設計では、ユーザーの離脱を防ぐため、対話の自然さや導線をわかりやすくすることを意識しましょう。
4.LINEと連携
AIチャットボットの準備が整ったら、LINE Developerを通じてLINE公式アカウントと連携させます。Messageing APIを利用してメッセージをボット側で受け取れるよう設定します。社内テストで問題がなければ運用を開始します。
5.運用と改善
問い合わせ対応を目的としたLINEチャットボットでは、ユーザーの入力ログや離脱箇所の分析が運用改善の鍵となります。例えば、「どの質問で会話が止まっているのか」「適切な回答が返せているか」を定期的にチェックし、シナリオや応答内容を見直すことが重要です。LINEはカジュアルな接点だからこそ、スムーズかつ正確な対応が求められ、信頼性の向上や満足度改善に繋がります。
企業のLINEアカウントにAIチャットボットを導入して、顧客対応を自動化しよう
LINEは日本国内で多くのユーザーに利用されており、企業が顧客対応に活用するツールとして非常に有効です。LINEとAIチャットボットを組み合わせることで、資料請求や予約受付、問い合わせ対応などを自動化し、顧客とのやりとりをよりスムーズに行うことができます。
これにより業務効率の向上や顧客満足度の向上が期待されますが、導入にあたってはLINE特有のUI/UXやユーザー層との相性、配信とのバランスなどに配慮することが重要です。導入後もユーザーログの分析を通じて、継続的な改善を行うことで導入効果が高まるでしょう。
トゥモロー・ネットが提供する「CAT.AI CX-Bot」は、ボイスボット(音声対話AI)とチャットボット(テキスト対話AI)を同時に使用できる最新型の「ナビゲーション型」対話AIで、ボイスボット単体、チャットボット単体としても高い性能を発揮します。
もちろん、LINEと連携させることも可能です。LINEのチャット画面上で、テキストだけでなく画像やボタンなども活用し、視覚的に分かりやすくユーザーを「ナビゲーション」することで、初めて使うユーザーでも迷うことなく目的の情報にたどり着いたり、手続きを完了したりできます。さらに、ユーザーがストレスなく自己解決できるよう、独自のCX(顧客体験)理論に基づき、CXに特化したシナリオデザインも提供しています。
企業のLINEアカウントで、より高度な自動応答やスムーズな顧客体験を実現したいとお考えなら、ぜひCAT.AI CX-Botをご検討ください。
簡単にデモ体験も実施いただけますので、是非お問い合わせください。
この記事の筆者

株式会社トゥモロー・ネット
AIプラットフォーム本部
「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、生成AIと連携したサービス「CAT.AI GEN-Bot」を筆頭に6つのサービスが含まれ、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。