チャットボット運用時のよくある課題と解決方法

Webサイトやアプリに手軽に設置できるチャットボットは、今や多くの企業にとって顧客接点の重要なツールとなりつつあります。しかし、その一方で「導入してみたものの、問い合わせが減らない」「ユーザーが途中で離脱してしまう」といった課題に直面するケースも少なくありません。
そのような場合はチャットボットそのものではなく、運用方法に原因がある場合もあります。
本記事では、「チャットボット運用において陥りやすい6つの課題」を解説します。具体的な解決策も解説しているので、参考にしていただければ幸いです。
Index
チャットボット運用でよくある6つの課題
チャットボットの運用でよくある課題には、以下が挙げられます。
- 導入効果が見えにくい
- 運用体制が整っていない
- 回答精度が低い
- チャットボットが利用されない
- チャットボットの離脱率が高い
- メンテナンス作業に時間を割けない
それぞれ詳しくご紹介します。
導入効果が見えにくい
導入しても問い合わせ件数の減少や顧客満足度の向上といった成果が見えず、「効果が出ていないのでは」と感じることがあります。これは、導入前の目的設定が曖昧であったり、効果測定のための指標が定まっていなかったりすることが原因として考えられます。
導入前に具体的な目標値を設定し、定期的に効果測定を行う仕組みを構築していなければ、チャットボット導入が単なるコスト増に繋がりかねません。まずは導入した際の目標値や運用方法を改めて確認しましょう。
運用体制が整っていない
チャットボットは導入して終わりではなく、シナリオの改善やFAQの更新、学習データの追加作業などが不可欠です。
しかし、運用・メンテナンス・評価の方法や、情報共有の仕方などの運用体制が整っていないと、運用改善が習慣化されずチャットボットの効果が発揮できなくなる懸念があります。
回答精度が低い
ユーザーがチャットボットに質問した際に的確な答えが得られなければ、利用されなくなってしまいます。原因としては、主に以下が考えられます。
- FAQの不足
- シナリオ設計の不足
- AIの学習不足
これらが不足していると、ユーザーが求めている回答を提示できなくなってしまいます。運用する際はユーザーの質問傾向や利用状況などを分析し、FAQやシナリオ、学習させるべきデータについて定期的に見直すことが大切です。
チャットボットが利用されない
せっかく導入したチャットボットがユーザーに認知されていなかったり、利用方法がわかりにくかったりすると、利用率はなかなか向上しません。
こうした状況を改善するためには、チャットボットへの導線をわかりやすくする、利用方法に関する丁寧な説明を提供するなどの対策が必要です。まずは原因を突き止めて、効果的な施策を検討しましょう。
チャットボットの離脱率が高い
ユーザーがチャットボットとの対話を開始しても、途中で離脱してしまうケースは少なくありません。これには以下のような原因が考えられます。
- 回答までの時間が長すぎる
- 必要な情報にたどり着けない
- 会話の流れが不自然である
上記の状態を改善するには、ユーザーがストレスなく情報を取得できるような施策が必要です。応答速度を改善したり、わかりやすいナビゲーションを設計したりと、ユーザビリティを意識しましょう。
メンテナンス作業に時間を割けない
チャットボットは、常に最新の情報を提供するために、定期的なメンテナンスが必要です。しかし他の業務に追われ、チャットボットのメンテナンスに十分な時間を割けない場合があります。
チャットボットを効果的に活用するためには、運用・保守体制の確立が不可欠です。例えば、チャットボット運用担当の専任者を立てる、あるいは既存のチームに人員を増強するといった具体的な体制強化を検討しましょう。もし社内リソースの確保が難しい場合は、専門知識を持つ外部業者への運用委託も有効な選択肢となります。
チャットボット運用の課題を解決する具体的な方法

チャットボット運用での課題を解決するには、以下の方法を参考にしてみてください。
- 導入後の状態を可視化する
- 運用体制を見直す
- コールセンターとも連携する
- 運用をアウトソーシングする
- チャットボットへの導線を見直す
- チャットボットの回答精度を上げる
- 離脱ポイントを分析・改善する
導入後の状態を可視化する
まず、チャットボット導入前に設定した目標に基づき、KPIを定期的に確認しましょう。KPIとは、組織の目標達成に向けたプロセスの進捗管理に役立つ指標(数値)です。以下の数値を確認してみてください。
- 問い合わせ件数の削減率
- 問い合わせの解決率
- ユーザーの離脱率
- 顧客満足度の変化
数値が可視化されることで、運用改善の方向性が明確になります。
運用体制を見直す
チャットボットの運用をスムーズにするためには、運用体制を見直すことも重要です。担当者を明確にし、定期的な更新・改善のフローを設けましょう。
この時、担当者は一人ではなく、複数人のチームを編成することがおすすめです。作業負担軽減はもちろん、多角的な意見で運用改善案を出すことがチャットボットの運用には有効であることが理由です。また、チームにすることで知識やノウハウが一人に集中しにくくなり、企業のナレッジやスキルの属人化も防ぐことに繋がります。
コールセンターとも連携する
問い合わせ内容などによっては、チャットボットだけで全ての問い合わせに対応できない、または対応すべきではないケースもあります。ユーザーが有人での対応を望むこともあるでしょう。
そのような場合に備え、スムーズに有人対応に移行できるよう他システムと連携できるような体制を整えることが重要です。他システムとの連携の可否はツールや企業のシステム状況などによっても異なりますので、ベンダーに確認してみてください。
運用をアウトソーシングする
社内にチャットボットの運用に関する専門知識やリソースがない場合は、外部の専門業者に運用を委託するのも有効な方法です。プロのノウハウを活用することで、より効果的な運用が期待できます。
ベンダーによっては、FAQの更新、シナリオの改善提案、AIのチューニングといった運用サポートも込みでツールを提供している場合があります。社内リソースだけで運用を行うのが難しい場合は、そのようなツールやベンダーを選定することもおすすめです。
チャットボットへの導線を見直す
チャットボットの利用率が低い場合、ユーザーに認知されていないことが考えられます。「どこにあるか」「どう使うか」が直感的にわかるようWebサイトやアプリ内での導線を見直しましょう。例えば以下のような方法があります。
- 目立つ場所にチャットボットのアイコンを設置する
- バナーやテキストリンクなどでチャットボットへ誘導する
- チャットボットの使い方や例文を提示する
どれだけ優秀なチャットボットであっても、見つけてもらえなければなかなか使ってもらえません。まずは目立つ場所に設置するなどし、利用しやすい状態を作りましょう。
チャットボットの回答精度を上げる
チャットボットの回答率や正答率が低い場合、まずは回答精度を上げることが重要です。以下のような対策を行ってみるとよいでしょう。
- 学習データの見直しを行う
- シナリオを改善する
- 不足している学習データを追加する
運用データを参考にしながら、不足している部分などを分析し、精度の高い回答を出せるように調整・学習させることを継続しましょう。
離脱ポイントを分析・改善する
ユーザーがチャットボットから離脱してしまう原因を分析し、改善策を講じるのも大切です。運用データを分析し、離脱が多い箇所を洗い出しましょう。これにより、ユーザーが離脱する原因を判断しやすくなります。例えば以下のような原因が考えられます。
- 回答まで時間がかかりすぎる
- 回答に専門的な用語が使われている
上記の場合、回答までの時間を短縮したり、わかりやすい表現を用いたりといった解決策が有効です。
チャットボット運用時の課題は原因を特定して一つずつ解決していこう
チャットボット運用においては、課題が出るのは当然といえます。重要なのは、原因を明確にし、個別に対策を講じていくことです。「原因は何なのか」「どうしたら改善するのか」「そのために必要なものは何か」などを分析し、改善を繰り返すことが必要となります。
しかし、これらの課題は一つひとつ対処していく必要がありますが、すべてを人の手だけで改善していくのは負担も大きく、限界もあります。そうした中で注目されているのが、生成AIと連携したチャットボットの活用です。
例えばトゥモロー・ネットが提供する「CAT.AI GEN-Bot」は、企業が保有するデータベースと連動し、ユーザーの意図をくみ取った適切な回答を、テキストだけでなく画像やフォームを用いて提供します。高度な自然言語処理(NLP)技術により回答精度を高めることで、ユーザー満足度を向上させつつ、運用担当者の負荷軽減も期待できます。
効果的な運用体制を築きつつ、より少ない工数で質の高い対応を実現する手段として、生成AIとの連携は大きな選択肢となるでしょう。チャットボットの運用を本格的に見直したいとお考えの方は、ぜひGEN-Botの導入をご検討ください。
この記事の筆者

株式会社トゥモロー・ネット
AIプラットフォーム本部
「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、生成AIと連携したサービス「CAT.AI GEN-Bot」を筆頭に6つのサービスが含まれ、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。