ボイスボットとは?仕組み・活用事例・導入のポイントを徹底解説

投稿日 :2025.06.11  更新日 :2025.06.10

近年、業務効率化や顧客対応の高度化を目指す企業において、AIを活用した「ボイスボット」への注目が高まっています。ボイスボットは、電話応対業務を自動化し、24時間対応や業務負担の軽減を可能にする先進的なツールです。本記事では、ボイスボットの基本的な仕組みや特徴、導入メリット・デメリット、大手企業での活用事例、導入成功のポイントまでを網羅的に解説。自社への導入を検討している担当者が、適切な判断を下すための情報を提供します。

ボイスボットの基本的な仕組みと特徴

ボイスボットは、音声認識と自然言語処理(NLP)の技術を活用し、音声での問い合わせに自動応答する仕組みを持っています。従来の自動音声応答(IVR)と異なり、ユーザーの発話を理解し、より自然で柔軟な対話が可能です。ここでは、ボイスボットの構成要素や仕組み、IVRとの違いについて詳しく見ていきます。

音声認識と自然言語処理による自動応答

ボイスボットは、以下の3つの技術を組み合わせて構築されています。

  1. 音声認識(ASR:Automatic Speech Recognition)
    ユーザーの音声をテキストに変換する技術。方言や話速の違いにも対応できるよう進化しており、電話音声にも適応可能な高精度の認識が求められます。
  2. 自然言語処理(NLP:Natural Language Processing)
    変換されたテキストを解析し、問い合わせの意図や要望を把握するプロセスです。ビジネス文脈や業種に合わせたチューニングにより、的確な応答を実現します。
  3. 音声合成(TTS:Text To Speech)
    解析結果に基づき生成した応答内容を、再び音声として出力する技術です。声のトーンや速度を調整することで、ユーザーにとって自然な会話体験が可能になります。

これらの技術の連携により、単なる機械的な応答ではなく、柔軟かつ親しみやすいコミュニケーションを提供できるのが、ボイスボットの大きな強みです。

ボイスボットの構成や運用面についてもっと深く知りたい方は以下もぜひお読みください。
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【導入の参考に】ボイスボットの仕組みと作り方をレクチャー

IVRとの違いと連携の可能性

従来のIVRは「1を押してください」など、プッシュ操作に基づいた分岐型の対応が主流でした。それに対して、ボイスボットはユーザーの音声から内容を理解し、選択肢を待つことなく対応できる点で優れています。ただし、すべてをボイスボットに置き換えるのではなく、IVRと連携して使うケースも有効です。たとえば、初期のガイダンスをIVRで行い、その後の詳細対応をボイスボットに任せることで、既存システムを活かしつつ高度な対応を実現できます。

具体的なIVRとボイスボットの違いについては、以下記事もご参照ください。
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ボイスボットとは?IVRとの違いと導入メリット

ボイスボット導入のメリットとデメリット

ボイスボットは、業務効率化や顧客満足度の向上といった多くの利点を企業にもたらす一方で、導入・運用にはいくつかの課題も伴います。ここでは、導入の主なメリットとあわせて、企業担当者が押さえておくべきデメリットや対応策についても整理します。

業務効率化とコスト削減の実現

ボイスボットの最大のメリットは、電話対応業務の自動化による業務効率化です。たとえば、以下のような場面で効果を発揮します。

  • よくある質問(FAQ)や定型業務の対応を自動化
  • 各種手続きの受付や一次対応の代行
  • 対応時間外や休日の問い合わせ対応

これにより、オペレーターの負担を軽減できるだけでなく、有人対応が必要なケースに集中させることで、業務の質を高めることができます。さらに、対応人数を抑えることで、人件費の削減にもつながるため、コールセンター業務全体のコスト最適化に寄与します。

尚、トゥモロー・ネットが提供する「CAT.AI CX-Bot」は、音声×テキストを組み合わせたハイブリッド型の顧客体験を提供できる点が大きな特徴です。 シニア層などにも分かりやすく、ストレスなく利用できるUI・シナリオ設計が強みで、従来の「一次受付ツール」にとどまらず、複雑な定型処理までもAIだけで完結させることが可能です。

顧客満足度向上への寄与

ボイスボットの導入により、ユーザーは待ち時間なく対応を受けることが可能になります。また、24時間365日対応が可能であることから、時間帯を問わずユーザーの利便性を高め、満足度の向上が期待できます。

さらに、応答の内容や口調を調整することで、ブランドイメージに合わせたカスタマイズも可能です。均質な品質での対応を実現できる点も、顧客体験の一貫性維持に役立ちます。

導入時の課題とその対策

一方で、ボイスボット導入に際しては、以下のような課題が生じることもあります。

  • 音声認識の精度:騒音環境や話し方の個人差により認識精度が低下するケースがある
  • 意図の誤認識:自然言語処理の限界により、意図を正確に理解できないことがある
  • シナリオ設計の複雑さ:問い合わせのバリエーションが多い業務では、初期設計に手間がかかる

これらの課題を乗り越えるためには、導入後の継続的なチューニングやPDCAサイクルの運用が不可欠です。また、有人対応へのスムーズな切り替えを設計に組み込むことで、カバー範囲外のケースにも柔軟に対応できます。

ボイスボット導入のメリット・注意点をより深く理解したい方は、こちらの記事もご覧ください。
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「ボイスボットとは?AIに顧客対応を任せるメリットと注意点について

大手企業でのボイスボット導入事例

大手企業においても、ボイスボットの導入は急速に進んでいます。特に、膨大な問い合わせ対応や多拠点・多言語のサポート体制が求められる企業では、ボイスボットの活用が顧客対応の品質維持と業務負荷の軽減に大きく貢献しています。以下では、代表的な導入事例を通じて、具体的な活用法と得られた効果を紹介します。

コールセンターでの一次対応自動化

ある大手通信企業では、コールセンターにおける一次対応(料金確認、契約状況の確認、住所変更など)をボイスボットに代替する取り組みを行っています。導入前は、オペレーターの対応時間の約30%がこうした定型業務に費やされていましたが、導入後はその多くをボイスボットが担うことで、オペレーターは複雑な相談やトラブル対応に専念できる体制が整いました。

結果として、1件あたりの対応時間が平均20%短縮され、オペレーターの負担軽減と同時に、対応品質の向上も実現しています。

営業時間外の問い合わせ対応

BtoC商材を扱う大手メーカーでは、夜間や休日にも顧客からの問い合わせが多数寄せられていました。従来は翌営業日の対応となっていたため、機会損失や顧客満足度の低下が課題となっていました。

そこで、ボイスボットを導入して営業時間外の一次対応を自動化。製品の使用方法や修理依頼の流れなど、よくある質問に即時対応できるようにしたことで、対応時間外の問い合わせ件数の約60%をその場で解決できるようになりました。結果として、ユーザーの利便性が向上し、顧客満足度の改善に大きく寄与しています。

多言語対応によるグローバル展開支援

グローバルに事業を展開する大手製造業では、各国の問い合わせに対応する多言語体制の整備が課題となっていました。各地域に現地スタッフを配置することには限界があるため、多言語対応のボイスボットを導入。

音声認識と言語切り替え機能を組み合わせることで、英語・中国語・スペイン語など複数言語に対応し、問い合わせの一次受けを自動化しました。その結果、各地域でのサポート体制が強化されると同時に、拠点ごとの人員配置コストを大幅に削減することができました。


ボイスボットの活用事例については、以下の記事でも詳しく解説しています。
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ボイスボットで電話対応を自動化|対話型AIの活用事例を紹介します

CAT.AI CX-Botの導入効果と実際の活用事例も以下でご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
東京ガス、ダイキン工業、MS&ADインシュアランスグループなどのCAT.AI事例はこちら

ボイスボット導入フローを4ステップで解説

ボイスボットの導入には、明確な手順と社内体制の構築が欠かせません。ここでは、導入までの一般的なプロセスを4つのステップに分けて解説します。

導入フェーズ1:課題の棚卸しと業務選定

まずは、ボイスボットの導入対象となる業務を明確化します。社内で頻発する問い合わせ内容や定型業務を洗い出し、FAQ、過去の対応履歴、オペレーターの声を基にユースケースを選定します。この段階で関係部門との合意形成を図っておくことが、後工程でのスムーズな展開につながります。

導入フェーズ2:シナリオ設計とPoC(概念実証)

実運用を想定した対話シナリオの設計を行い、小規模な検証環境(PoC)で効果を確認します。意図認識の精度や応答のスピード、ユーザー離脱率などの指標(KPI)を設定し、実データを用いた評価を行うことで、導入の是非や調整ポイントを可視化します。

導入フェーズ3:音声UIの設計とシステム連携テスト

PoCで得られた知見を基に、ユーザー体験を意識した音声インターフェース(音声UI)を設計します。音声ガイダンスの自然さやトーン、発話タイミングなどの調整に加え、CRMやCTIとのデータ連携、セキュリティ要件もここで整理します。システムとの整合性を検証するテストも必須です。

導入フェーズ4:本番導入と初期チューニング

段階的に対応範囲を広げながら、本番環境での運用を開始します。導入初期は、ログ解析を通じて発話の誤認識や未対応の質問傾向を把握し、シナリオのチューニングを繰り返すフェーズです。導入後3〜6か月の間に2〜3回程度の改善サイクルを設定することで、定着と効果最大化を図れます。

導入成功のためのポイントと注意点

ボイスボットの効果を最大限に発揮するためには、単にシステムを導入するだけでなく、設計から運用まで一貫した戦略が求められます。ここでは、導入プロセスで押さえておくべき重要なポイントと、見落とされがちな注意点について解説します。

シナリオ設計とチューニングの重要性

ボイスボットの性能は、その裏にある「対話シナリオ」に大きく左右されます。想定されるユーザーの発話パターンに応じて適切なフローを設計し、自然な会話が成立するようチューニングすることが重要です。また、導入後も定期的にログを分析し、応答の精度や離脱率をチェックすることで、改善ポイントを明確化できます。例えば、「意図が正確に汲み取れていない箇所」や「対応が長引いている質問」などを特定し、柔軟にシナリオを修正することが、運用の質を高める鍵となります。

トゥモロー・ネットが提供する『CAT.AI CX-Bot』では、CXデザイナーが業種・業務に応じたシナリオをオーダーメイドで構築し提供します。 顧客が途中で離脱せず、AIのみで完結できるストーリーを設計することで、従来のチャットボットやIVRでは難しかった「完了率の向上」が実現できます。また、AI応答ログを専任アナリストが定期的に解析し、ボトルネックの可視化や改善提案を行うため、 単なるシステム提供で終わらず、「育つAI」として継続的なパフォーマンス改善を支援しています。

既存システムとの連携と運用体制の構築

ボイスボットは単体で完結するものではなく、CRM(顧客管理システム)やFAQデータベース、オペレーター管理システムとの連携によって初めて真価を発揮します。たとえば、ユーザーの発話内容に応じてCRMから情報を引き出し、個別に対応を変えるといった高度な運用が可能になります。

さらに、有人対応と自動対応のスムーズな切り替え体制も欠かせません。ボイスボットが対応困難と判断した場合に、即座にオペレーターへ転送される仕組みを構築することで、ユーザーの不満を未然に防ぎ、信頼性の高いサービスを維持できます。

導入にあたっては、IT部門だけでなく、実際に応対業務に関わる現場部門やCS部門を巻き込み、全社横断でのプロジェクト体制を整えることが、成功の近道となります。

ボイスボット導入、成功のカギは“準備と連携”にあり

ボイスボットは、業務効率化と顧客対応の質向上を同時に実現できる注目のツールです。しかし、導入の成功はシナリオ設計や既存業務との連携体制に大きく左右されます。すべてを自動化するのではなく、人とAIが役割を明確に分担し、それぞれの強みを活かす運用設計が重要です。

トゥモロー・ネットが提供するCX-Botは、テキストと音声の両方を活用することで、従来の一次対応や簡易受付にとどまらない幅広いヒアリングと対応が可能です。これにより、ボイスボット単独での対応完了率を高め、将来的には深刻なコールセンターの人手不足問題の解決に大きく貢献できます。

導入にあたっては、小さな部分から始めるスモールスタートだけでなく、先を見据えた拡張性や業務フロー全体の設計を重視しましょう。これにより、現在の課題を解決しつつ、将来的な業務拡大やAI活用の進化にも柔軟に対応できる体制が構築できます。

まずはCX-Botの詳細や導入事例をまとめた資料をご覧いただき、貴社の課題解決に向けた一歩を踏み出してください。ご質問やご相談はお気軽にお問い合わせください。

【資料ダウンロードはこちら】
https://cat-ai.jp/required/

この記事の筆者

TOMORROWNET

株式会社トゥモロー・ネット

AIプラットフォーム本部

「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、生成AIと連携したサービス「CAT.AI GEN-Bot」を筆頭に6つのサービスが含まれ、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。

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