AIエージェントの種類とは?分類方法と業務別の使い分けをわかりやすく解説
AI活用が進む中で、「AIエージェント」という言葉を目にする機会は増えています。しかし実際には、「種類が多くて整理できない」「チャットボットや生成AIとどう違うのか分かりにくい」と感じている方も少なくありません。
特に業務への導入を検討する段階で、種類の理解が曖昧なまま進めてしまうと、「期待したほど活用できない」「部分最適にとどまる」といった課題につながりやすくなります。重要なのは、「どのような軸で分類され、どう使い分けるべきか」を整理することです。
本記事では、AIエージェントの種類を整理し、それぞれの特徴や業務での使い分けまで解説します。自社の業務に当てはめながら、AI活用の構成を検討する際の判断材料としてご活用ください。
Index
AIエージェントの種類を理解するための前提知識

AIエージェントの種類を理解するためには、まず前提となる考え方を整理します。
AIエージェントとは何か(チャットボット・生成AIとの違い)
業務にAIを活用する際、さまざまな技術や仕組みが登場しますが、ここではAIエージェントを理解するために、チャットボットや生成AIとの違いから整理します。
チャットボットがユーザーとの対話(問い合わせ対応や案内)に特化していたのに対し、対話だけでなく業務に関わる処理まで担う点がAIエージェントの特徴です。また、文章生成や要約などを得意とする生成AIの技術を組み合わせて、業務に適用する枠組みとして活用されます。
この関係を踏まえると、チャットボットは「ユーザーとのやり取りを担う入口」、生成AIは「文章作成や要約などの処理を行う部分」、AIエージェントは「それらを組み合わせて回答送信や関連業務の処理まで進める仕組み」と整理できます。
AIエージェントと生成AIの違いについては「AIエージェントと生成AIはどう違う?初心者向けに徹底解説」も参考になります。
AIエージェントの種類が分かりにくくなる理由
AIエージェントは複数の技術や役割が組み合わさるため、概念が広くなりやすく、「種類が分かりにくい」と感じることがあります。
その理由は、分類の軸が統一されていない点にあります。主な観点は以下の通りです。
・用途ベース:何に使うか(問い合わせ対応、業務処理など)
・構造ベース:どう動くか(単体か連携か)
・機能ベース:どの技術を使うか(生成AIの有無など)
これらが混在すると全体像がつかみにくくなるため、「どの軸で分類しているか」を意識することが重要です。ここからは、この考え方に沿ってAIエージェントの種類を整理していきます。
AIエージェントの種類の分類方法と整理の考え方
AIエージェントの種類を理解するうえで重要なのは各AIエージェントを「どう使い分けるか」という視点です。次の3つの観点で整理すると、実務に当てはめて考えやすくなります。
役割別の種類(対応・処理・分析)
まずは「どの業務を担当するのか」という観点です。主に以下のように分けられます。
- 対応系:問い合わせ対応やユーザー案内
- 処理系:データ更新や手続き実行
- 分析系:データ分析や判断支援
業務のどの部分を自動化したいのかを考える際の起点になります。
構造別の種類(単体型と複数連携型)
次に、「どのように構成するか」という観点です。具体的には、以下のように分類されます。
- 単一エージェント:1つの役割を単独で担う
- 複数エージェント:役割を分担して連携する
実際の業務では複数の処理が連続するため、単体ではなく連携前提で設計するケースが増えています。
処理範囲別の種類(対応・判断・実行)
最後に、「どこまで処理を任せるか」という観点です。AIエージェントは情報提供だけにとどまる場合もあれば、判断のサポートまで行ったり、手続きやデータ更新などの実行処理まで担ったりすることもあります。任せる範囲によって業務への影響や設計の考え方が変わるため、ここを意識して設計することが重要です。
AIエージェントの種類ごとの特徴とできることの違い
ここでは、代表的なAIエージェントの種類ごとに特徴と役割を整理します。
単一機能型エージェントの特徴
単一機能型エージェントは、特定の業務や機能に特化したシンプルなタイプです。スモールスタートでAI活用を始めたい場合に適しており、導入しやすく対象範囲が明確です。
主な特徴:
- FAQ対応やデータ入力など、特定の業務に特化
- 設計がシンプルなため、短期間で導入可能
- 他の業務や処理との連携は限定的
複数の業務をまたぐ自動化には向かないため、適用範囲を見極めることが重要です。
対話・応答型エージェントの特徴
対話・応答型エージェントは、ユーザーとの接点となる役割を担うタイプです。チャットや音声を通じて問い合わせ対応や案内を行い、他のエージェントやシステムと連携して業務を進めることが多くなります。
主な役割:
- ユーザーからの問い合わせを受け付ける
- 内容を理解し、適切な回答や次のアクションにつなげる
- 必要に応じて他のエージェントやシステムへ処理を引き継ぐ
ユーザー体験の「入口」として機能する重要な存在です。
業務実行型エージェントの特徴
業務実行型エージェントは、実際の業務処理を担うタイプです。ユーザーとの対話や指示の結果に基づき、システム操作やデータ処理などを自動で実行します。
主な処理例:
- 社内システムと連携し、必要なデータを取得・更新する
- 各種手続きや処理を自動で実行する
- 条件に応じて処理内容を切り替える
業務効率化への影響が大きく、導入効果が分かりやすい一方で、権限管理やエラー時の対応設計も含めて慎重に設計する必要があります。
マルチAIエージェントの特徴
マルチAIエージェントは、複数のエージェントが役割分担しながら連携して動作する構造です。単一のエージェントでは対応しきれない業務全体をカバーするために設計されます。
主な特徴:
- 対話・処理・分析などの役割をエージェントごとに分担する
- 一連の業務プロセスをつなげて処理できる
- 業務の追加や変更に応じて柔軟に拡張できる
業務は複数の処理が連続して成り立つことが多いため、単体の最適化ではなく、業務全体を設計する視点が重要です。
より理解を深めたい方向けに、「マルチAIエージェントとは?仕組みと導入メリットを徹底解説」で詳しくマルチAIエージェントについて解説しています。
業務別に見るAIエージェントの種類の使い分け

ここまででAIエージェントの種類を整理しました。実際の業務では、単体ではなく役割に応じて組み合わせて活用することが一般的です。ここからは、業務ごとにどのように使い分けるかを具体的に見ていきます。
問い合わせ対応・カスタマーサポート業務
問い合わせ対応・カスタマーサポートでは、ユーザーとの接点から処理までを一連で設計することが重要です。この場合、複数のエージェントを役割ごとに組み合わせて活用します。
- 対話・応答型エージェント:問い合わせ受付やヒアリング、一次回答を担当
- 業務実行型エージェント:契約内容確認や情報更新などの処理を実施
- マルチAIエージェント:全体の流れを制御し、各エージェントの連携を管理
役割を分担することで、単なる自動応答にとどまらず、業務処理まで含めた対応が可能になります。
バックオフィス・社内業務
データ入力や定型処理が多いバックオフィス業務では、効率性と正確性が重視されます。この領域では、段階的にAI活用を広げるのが有効です。
- 単一機能型エージェント:データ入力やチェックなど特定業務を自動化
- 業務実行型エージェント:複数の処理をまとめて実行し、業務全体を効率化
まずは単一機能から始め、効果を確認したうえで処理範囲を広げていく進め方が現実的です。
業務横断のプロセス自動化(複数エージェント連携)
複数の部門やシステムにまたがる業務では、一部だけを自動化しても全体最適にはつながりません。そのため、業務全体をつなぐ視点が重要です。ここで中心となるのがマルチAIエージェントです。役割ごとのエージェントを組み合わせることで、一連の業務プロセスを通して処理できます。
- 対話・応答型エージェント:受付や指示入力を担当
- 業務実行型エージェント:各工程の処理を実行
- マルチAIエージェント:全体の流れを管理
連携前提で設計することで、部分最適ではなく業務全体の効率化につなげられます。
AIエージェントの種類選定で失敗しないポイント
ここまでAIエージェントの種類と使い分けを見てきましたが、実際の導入では「どの種類を選ぶか」だけでなく、「どう設計するか」によって成果が大きく変わります。ここでは、種類選定の際に押さえておきたいポイントを整理します。
業務プロセスを分解して考える
AIエージェントは手段であり、起点は業務そのものです。業務の流れに沿って整理すると、どのエージェントをどこに配置すべきかが見えてきます。具体的には、次の観点で業務を分解すると効果的です。
- ユーザーとのやり取りが発生する箇所
- 判断や分岐が必要な箇所
- 実際の処理(登録・更新など)が発生する箇所
エージェント同士の連携を前提に設計する
業務は複数の工程が連続しているため、AIエージェントも役割ごとに連携して動く前提で設計することが重要です。このように設計することで、途中で人手が介在するポイントを減らし、スムーズな業務運用につなげられます。また、各エージェントの役割やデータの流れを明確にしておくことで、業務全体の効率性や安定性を高めることができます。
チャネルとデータ連携を意識する
AIエージェントは単独では機能せず、複数チャネルやシステムとの連携が必要です。Webチャット、電話、メールなどの情報を統合し、CRMや基幹システムと連携することで、二重作業や情報分断を防げます。
種類選定では「どう使うか」を重視する
単に機能や種類を見るのではなく、業務をどう分解し、どうつなぐかを軸に設計することが重要です。分解・連携・データ統合の視点を組み合わせることで、導入効果を最大化できます。
尚、AIエージェントの導入を成功させるための考え方については「AIエージェント導入を成功させるには?業務から考える実践アプローチ」でより詳しく解説しています。
AIエージェントは「種類」ではなく「組み合わせ」で考える
AIエージェントの種類はさまざまですが、重要なのは個々の違いを理解すること以上に、どのように組み合わせて業務に適用するかという視点です。単体で完結するケースは少なく、実際の業務では複数の役割を連携させることで初めて効果を発揮します。
この考え方を具体化したものが、マルチAIエージェントです。役割ごとに分担したAIが連携することで、問い合わせ対応から業務処理までを一貫して設計でき、分断されがちな業務のつながりを補完することが可能になります。
CAT.AI マルチAIエージェントは、この構造を前提に設計されたプラットフォームです。リードエージェントが全体を統括し、複数のAIが連携することで、音声・チャットといった顧客接点から、バックエンドの業務処理までを一体的に構築できます。本記事で整理した「役割」「構造」「処理範囲」といった観点を踏まえた設計が可能です。
より具体的な構成や活用イメージを知りたい方は、サービス資料をご覧ください。CAT.AI マルチAIエージェントの全体像やできることに加え、実際の業務でどのように設計・活用していくかのイメージを整理することができます。自社での適用を検討する際の具体的な判断材料として活用いただけます。
この記事の筆者

株式会社トゥモロー・ネット
AIプラットフォーム本部
「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、複数AIエージェントが連携し、業務を自動化する「CAT.AI マルチAIエージェント」など、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。

