AIコールセンターの課題点一覧|AIをコールセンターに導入する際のポイントやメリットも解説

2025.03.05

コールセンターは、企業と顧客をつなぐ重要な窓口として役割を果たしています。近年では、業務の効率を高めると同時に顧客満足度を向上させるために、AI技術の導入がますます注目を集めていますが、課題点があるのも事実です。

本記事では、コールセンターにAIを導入する際の課題点について紹介します。他にも「コールセンターが抱える課題」や「AIコールセンターシステムを導入するメリットと導入のポイント」について解説していきます。AIコールセンターシステムの導入を検討されている方の参考になれば幸いです。

AIコールコールセンターとは

AI(人工知能)を活用して顧客の問い合わせやコミュニケーションを自動化・効率化しているコールセンターです。実際に、コールセンターにAIを活用している企業が国内でも徐々に増えつつあります。

本記事では、AIを導入し、一部の対応を自動化しているコールセンターのことと定義してご説明いたします。

従来のコールセンターが抱える課題

従来のコールセンターが抱える主な課題は以下の3つです。

  • 人手不足
  • 業務効率の低下
  • 応対品質のばらつき

それぞれの課題について解説します。

人手不足

コールセンターが抱える課題として、人手不足が挙げられます。

コールセンターの仕事は、丁寧な対応が求められるだけでなく、多くの問い合わせ件数に対応しなければならないため、オペレーターにとって負担が大きく、ストレスを感じやすい傾向にあります。そのため、オペレーターの定着率や採用が中々思うようにいかず、常に人材不足に悩まされています。こういった課題は、採用や教育のコスト増加にも繋がっています。

企業内のリソースだけで運営を維持するのが難しくなると、人材不足を補うためにアウトソーシングなどを検討する必要性が高まります。

業務効率の低下

コールセンターでは、業務効率の低下といった課題も挙げられます。

業務効率が低下する要因としては、顧客からの問い合わせ内容が多岐に渡るため正確に内容を把握し適切なオペレーターへ振り分けることや、応対内容の記入など後処理業務に時間を要することが考えられます。

情報の検索や確認作業、応対内容の要約などに手間がかかることで業務効率を低下させるだけでなく、顧客対応の遅延など顧客満足度の低下に繋がる恐れもあります。

応対品質のばらつき

コールセンターが抱える課題として、応対品質のばらつきも挙げられます。

顧客からの問い合わせ内容は多岐にわたっており、オペレーターが習得すべき知識やスキルも様々です。オペレーターごとに知識やスキルに差があると、応対品質にばらつきが生じます。

コールセンターが顧客満足を得られる対応ができなければ、企業のブランドイメージが損なわれるだけでなく、最終的には売上減少という深刻な影響をもたらすリスクも考えられます。

AIをコールセンターに導入するメリット

AIをコールセンターに導入するメリットについては、以下の4つが挙げられます。

  • オペレーターの負担軽減
  • 顧客満足度の向上
  • データの利活用
  • 属人化の防止

オペレーターの負担軽減

AIをコールセンターに導入すると、オペレーターの負担が軽くなります。例えば、定型的なよくある質問にAIが対応をすることで、有人オペレーターは複雑な問い合わせに集中することができます。

また、コールセンターを運営する企業側にとっても、本来は人が対応していた問い合わせ対応をAIが行うことで、採用や人手不足の課題解消に繋がります。

顧客満足度の向上

AIをコールセンターに導入するメリットとして、顧客満足度の向上が挙げられます。

AIが24時間365日対応できることで、顧客は時間を気にせず好きなタイミングで利用できます。夜間や早朝など、コールセンターが稼働していないことが多い時間帯に利用したい人は多いため、顧客満足度向上が期待できるでしょう。

また、AIを活用すると関連する過去の応対履歴の表示や問い合わせ内容に即した回答をオペレーターの画面に提示することができます。これにより、オペレーターの個々のスキルや経験の違いによる応対品質のばらつきを軽減することが可能です。特に、経験や能力に応じて応対の質が左右されやすい業務においては、AIが最適な回答を提示してくれることでスムーズな顧客対応に繋がります。

また、顧客の声のトーンや抑揚などの音声データを基に感情を分析するAIシステムも登場しており、顧客の感情に寄り添った迅速な対応が可能になり、結果として顧客満足度の向上が期待できます。

データの利活用

AIを導入することで得られる利点の一つとして、データの活用を通じた業務効率の向上が挙げられます。

具体的には、顧客情報や購入履歴などの蓄積されたデータを分析することで、顧客の行動パターンや最適なプロモーション手法を見出すことが可能になります。

従来はオペレーターの経験や勘に頼って行われていた分析作業を、AIが担うことで、より正確で迅速なデータ分析が実現できます。また、このようなAIの分析能力は、新規顧客の獲得戦略や既存顧客へのアプローチを強化する上でも役立つと言えます。

属人化の防止

コールセンターにAIを導入することで、属人化の防止に効果があります。

コールセンターの課題として、オペレーターごとに対応の質や処理できる範囲にばらつきが生じることが挙げられます。

AIを活用し、オペレーターが回答する際に適切な回答を自動的に提示することで、品質にばらつきなく一定の回答を顧客へ提供することが可能です。また、頻繁に聞かれる内容をナレッジとしてためておくことで、効率的にオペレーター間の情報共有ができるようになります。

その結果として、AI導入によりコールセンターの業務が特定の人材に頼りすぎるリスクが軽減され、コールセンター全体の業務効率の向上に繋がります。

AIコールセンターの課題点一覧

AIコールセンターの主な課題は、以下の4つです。

  • AIの精度に効果が左右される
  • AIの導入・運用コスト(運用・人的リソース)がかかる
  • セキュリティのリスクがある
  • AIだけですべての業務はカバーできない

それぞれの課題について解説していきます。

AIの精度に効果が左右される

AIは導入しただけで効果を発揮するわけではありません。例えば、AIチャットボットやボイスボットで使われる自然言語処理や音声認識技術による分析機能や認識機能の精度が低いと、思ったような回答が返って来ず顧客に不満を与えてしまう恐れもあります。

また、AIを効果的に活用するためには、運用前にデータを登録し学習を進め、運用開始後も実運用を通して多くのデータを蓄積し、定期的に新たな知識のアップデートやメンテナンスを行うことが必要です。

AIの導入・運用コスト(運用・人的リソース)がかかる

AIを導入・運用するにあたっては、コストが課題になることがあります。費用感はツールによって異なりますが、どのツールであっても初期費用だけではなく月々の費用(月額制・従量課金制など)がかかります。

また、運用にあたってはAIをブラッシュアップするためのメンテナンス作業が必要になるため、人的リソースも必要となります。AIの運用が軌道に乗るまでは頻繁な検証と改善が欠かせないため、効果が目に見えない内は費用・人的リソースといったコストを負担に感じてしまうかもしれません。

ただし、長い目で見れば業務効率化やコスト削減に繋がる可能性があります。運用が軌道に乗ってから効果検証をしなければ、正確な導入効果は測れないことを理解しておきましょう。

セキュリティのリスクがある

AIはサイバー攻撃のリスクにも晒されます。特にコールセンターは顧客の個人情報を扱うため、セキュリティ対策が欠かせません。

セキュリティリスクを軽減するためには、信頼性の高いベンダーを選ぶ、セキュリティ機能が充実したツールを導入する、社員へのセキュリティ教育を徹底することが必要です。

AIだけですべての業務はカバーできない

AIは高い学習能力を持ちますが、柔軟な対応が必要な場面では限界があります。AIが習得していない事柄やイレギュラーな対応には人による対応が必要です。

そのため、AIと人が連携して対応できる体制を整えることが重要です。有人対応に切り替えられる仕組みを整え、顧客対応の質を維持しましょう。

コールセンターにAIを導入するときのポイント

コールセンターにAIを導入する際のポイントについては、以下の3つが挙げられます。

  • 課題を明確にする
  • 導入後のフローを整理する
  • ツールを比較検討する

それぞれのポイントについて解説していきます。

課題を明確にする

AIをコールセンターに導入するときのポイントとして、まずは自社の課題を明確にすることが重要です。具体的には、オペレーターのスキルのばらつきや業務効率の低下、顧客満足度の改善、応答時間が長いなど解決すべき問題を洗い出しておくことが大切になります。

課題を明確にすることにより、AI導入によるゴールが決めやすくなり、自社の目的に合ったツールを選定する際の判断材料となります。

導入後のフローを整理する

AIを導入する際には、業務フローを事前に整理することが重要です。AIが業務プロセスの中でどのような役割を果たし、オペレーターとの協力体制をどう構築するのかを明確にする必要があります。

また、顧客から寄せられる問い合わせがどのようにAIによって処理されるのか、その流れを具体化しておくことが重要です。

さらに、AIが提示した情報やサポート内容をオペレーターにどのように共有し、顧客対応の質を維持・向上させる方法についても十分に検討しておくことが求められます。このように、導入後のフローの整理を行うことで、AI導入後の業務がスムーズに進むでしょう。

ツールを比較検討する

現在、市場にはさまざまなAIツールがありますので、出来るだけ多くのツールを調べ、実際にデモ体験を行うなどして比較検討することが重要です。

自社がAI導入を通じて達成したい目的に合致する最適なツールを見極めるには、各ツールの特徴やパフォーマンス、導入実績などを細かく比較・分析することが必要です。

また、以下のような評価基準を活用すると、より客観的な視点で製品を選ぶことにつながります。

  • 機能性
  • 拡張性
  • 操作性
  • サポート体制

さらに、ツール情報だけではなく、実際に使用した企業の導入事例やユーザーレビューを調査することで、使用感や効果を具体的に把握することにつながります。これらの情報を総合的に判断し、ニーズに合ったツールを慎重に選定することが重要です。

AIを導入して業務効率化や品質の向上を実現しよう!

今回は、AIをコールセンターに導入することで得られるメリットから課題点、導入時のポイントまで紹介しました。AIをコールセンターに導入する際には、課題点も事前に把握しておくことで、トラブルを未然に防ぐことにつながります。今回の記事を参考にして、AIのコールセンターを導入して業務効率化や品質の向上を実現してみてください。

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この記事の筆者

TOMORROWNET

株式会社トゥモロー・ネット

AIプラットフォーム本部

「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、生成AIと連携したサービス「CAT.AI GEN-Bot」を筆頭に6つのサービスが含まれ、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。

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