生成AIボイスボット比較ガイド|機能の違いと5つの選定ポイント

投稿日 :2025.11.21 

「ボイスボットに生成AIを連携したいが、応答の精度がどの程度か不安」
「従来型(シナリオ型)と生成AI連携型、どちらが自社にとって最適か分からない」
「生成AIとボイスボットを連携する、具体的なメリットや注意点を知りたい」
そんな悩みを抱える担当者様も多いのではないでしょうか。

生成AI連携型は、リアルタイムで文脈を解釈しながら応答を生成するため、対話の柔軟性が高い点が特徴です。一方、シナリオ型は、ルールが明確な業務であれば、安定して自動化を行える点が特徴です。

本記事では、両者の得意分野を明確にし、導入目的別にどのようなボイスボットを選ぶべきか、そして比較検討する際の具体的なチェックポイントを詳しく解説します。この記事を読むことで、自社の目的に合ったボイスボットを見極めるための具体的な選定基準が明確になります。

ボイスボット導入になぜ「生成AI」が注目されるのか?

企業の電話応対の自動化が進む中で、ボイスボットには単なる定型応答以上の対応力が求められはじめています。

生成AI連携ボイスボットは、従来の定型応答では難しかった複雑な会話や文脈理解に適応できる点で注目されています。顧客の質問が複数条件を含む場合や、想定外の内容であっても、自然な会話の流れを維持しつつ柔軟に応答可能です。

さらに、問い合わせの要点を整理・要約し、複雑な手順や情報を分かりやすく伝えることができます。これにより、電話越しでも顧客にとって理解しやすく、スムーズな応対が可能になり、CX(顧客体験)の向上につながります。

こうした高度な柔軟性と自然な対話能力により、生成AI連携ボイスボットは単なる自動応答ツールではなく、複雑な問い合わせにも適応できる音声自動化ソリューションとして注目が集まっています。

従来型ボイスボットと生成AI連携ボイスボットの比較

ボイスボットの選定においては、それぞれの特徴を理解し、用途に合わせて選ぶことが重要です。
従来型ボイスボットと生成AI連携ボイスボットの特徴について比較してみましょう。

※ここでの「従来型ボイスボット」とは、あらかじめ設定されたシナリオや、ルールによって応答を制御する、生成AIを使用しないボイスボット全般を指します。

▼比較表:従来型(ルールベース)と生成AI連携型の違い

比較項目従来型(ルールベース)ボイスボット生成AI連携ボイスボット
得意な対話・定型的な質疑応答
・ルールに基づく案内


・営業時間・休業日の案内
・資料請求受付
・契約・会員情報確認
・非定型的な対話
・文脈を踏まえた柔軟な応答


・複数条件・分岐を伴う質問への回答
・想定外の質問への対応
特徴あらかじめ決められた分岐(シナリオ)やルールに沿って対話シナリオに依存せず、多様な情報源を組み合わせて柔軟に応答を生成可能
メリット・シナリオやルール通りに処理されるためミスが少ない
・導入後の挙動が予測しやすい
・メンテナンスや運用のルールが明確で管理しやすい
・複雑・非定型対応に強い
・想定外の質問にも対応できる
・自然で柔軟な会話が可能
注意点・複雑な条件や想定外の質問には対応しづらい
・シナリオ作成や、データの学習
・更新作業に手間がかかる
・回答が不正確になる場合がある
(ハルシネーション)
・精度維持や回答制御の工数が必要
・対話内容や個人情報の取り扱いに注意が必要

従来型ボイスボットは定型業務に強く、応答の正確性や運用の安定性が高いのが特徴です。一方、生成AI連携型は複雑な条件や非定型の問い合わせにも柔軟に適用できますが、回答の精度管理や情報取り扱いに注意が必要です。

生成AIボイスボット導入で失敗しないための比較・選定ポイント5選

「音声(電話)」特有の難しさ(聞き間違い、沈黙のストレス、即時性)と、「生成AI」の特性(柔軟だが不安定)を両方理解した上で、以下の5つのポイントを比較検討しましょう。

ポイント1:応答速度は実用的か?

チャットと違い、電話では数秒の「沈黙」が顧客のストレスや離脱に直結します。

「音声認識」→「生成AIの回答生成」→「音声合成」という一連のプロセスが、会話として成立する速度(数秒以内)で完了するかは重要な比較ポイントです。

チェックポイント

  • デモで実際の速度を体感しましょう。
  • 「少々お待ちください」「お調べします」といった自然な「つなぎ言葉(フィラー)」をAIが自動挿入し、体感的な待ち時間を減らす工夫があるかも確認しましょう。

ポイント2:回答の正確性(ハルシネーション)をどう制御しているか?

生成AIは、時に事実に基づかない回答(ハルシネーション)を生成するリスクがあります。テキストなら後から見返せますが、音声ではその場で誤った情報が伝わり、訂正が難しく深刻な問題になる恐れもあります。

チェックポイント

  • 社内のFAQやデータベースなど、信頼できる情報源を参照して回答を生成する仕組み(RAG:検索拡張生成)が適用されているかを確認しましょう。
  • また、生成AIの回答を制御し、特定の話題(クレームや機密情報)にはシナリオ対応や有人転送に切り替える制御が可能かを確認しましょう。

ポイント3:音声認識と自然言語処理の精度は高いか?

ボイスボットの性能は、入口となる「音声認識(ASR)」の精度に大きく依存します。ASRが顧客の言葉を正しくテキスト化できなければ、生成AIは正確に意図を理解できません。

さらに、文字化された内容をNLP(自然言語処理)が正確に理解できない場合も、生成AIの応答が不正確になる恐れがあります。

チェックポイント

  • 認識ミスが起きた際の聞き返しのロジックを確認します。
    例:単に「もう一度お願いします」と繰り返すだけでなく、文脈から「〇〇のことですか?」と具体的に推測して聞き返せるか。

ポイント4:想定外の質問や条件分岐にどの程度対応できるか?

生成AI連携ボイスボットの強みは、事前に想定されていない質問や複数条件・分岐を伴う問い合わせにも柔軟に適応できる点です。ただし万能ではなく、質問の複雑さや文脈によっては誤解や不正確な回答が発生する可能性があります。

チェックポイント

  • 実際のデモやテストで、複数条件や複雑な問い合わせにどの程度正確に応答できるかを確認しましょう。
  • 応答の精度だけでなく、会話が途切れず自然に進むかも併せて確認しましょう。

ポイント5:シナリオ応答と自由応答を使い分けられるか?

住所や氏名などの個人情報確認や、契約内容の確認など、正確さが求められる定型業務まで全てを自由応答(生成AI)に任せると、誤回答や効率低下のリスクがあります。

チェックポイント

  • 内容に応じて、シナリオ応答に切り替えて処理できるかを確認しましょう。
  • 想定外の問い合わせや自由な質問は生成AIが応答し、両者の強みを活かしたハイブリッド制御が可能かを確認しましょう。
  • 生成AIで対応困難と判断した場合に、スムーズに有人オペレーターに切り替えられる導線が設計されているかを確認しましょう。

これまでご紹介したように、「音声(電話)」と「生成AI」には特有の難しさがあります。

しかし、応答速度、回答の正確性、音声認識の精度、そして柔軟な応答の使い分けといった点に注意して選定すれば、生成AI連携ボイスボット導入の効果を最大化できます。

ボイスボット×生成AIの課題を解決する「CAT.AI マルチAIエージェント for Voice」

従来のボイスボットや生成AIツールは、それぞれの課題に個別に対応しているものもあります。しかし、複数の課題を一つのプラットフォームでまとめて扱い、かつ顧客体験(CX)を向上させることは簡単ではありません。

こうした状況を踏まえ、複雑な対話やシナリオ運用にも対応できるAIプラットフォームとして提供されるのが、当社の「CAT.AI マルチAIエージェント for Voice」です。

  • ボイス&テキストのオールインワン提供
    CAT.AIの最大の特長は、ボイスボット(聴覚)とチャットボット(視覚)をオールインワンで提供できる点です。音声認識の壁をSMSやWeb画面(視覚)で補完し 、聞き間違いや覚えきれないといった音声特有のストレスを解消。直感的で分かりやすい顧客体験を実現します。
  • 「生成AI」と「シナリオ」の最適な使い分け
    ユーザーフレンドリーなCXデザインに基づき、簡単なFAQ応答(シナリオ型)から、生成AIと連携した柔軟な対話まで幅広く対応します。これにより、生成AIの柔軟性を活かしつつ、確実性が求められる業務も安定して処理できます。

以下の資料では、「CAT.AI マルチAIエージェント for Voice」の導入事例をご紹介しています。どのように課題解決に役立つのか是非ご参考ください。

音声×生成AIの特性を押さえて、自社業務に即した導入を実現する 

本記事では、従来型ボイスボットと生成AI連携ボイスボットの違い、そして導入で失敗しないための「5つの選定ポイント」を解説しました。

生成AI連携ボイスボットは、柔軟な対話や想定外の質問まで、対応の幅を広げることが可能ですが、音声特有の応答速度や聞き取りの難しさ、さらに生成AI特有の正確性(ハルシネーションリスク)や情報取り扱いの難しさが重なることで、新たな導入上の注意点が生じます。そのため、音声×生成AIの特性を踏まえ、自社でどの業務を自動化し、顧客にどのような体験を提供したいのかを明確にすることが重要です。

これらを踏まえ、自社業務への適用可能性や運用イメージを具体的に確認したい方は、「CAT.AI マルチAIエージェント for Voice」の製品資料をご覧ください。従来のボイスボットでは対応が難しかった複雑な問い合わせに対して、生成AI連携による柔軟な対話や、音声とテキストのマルチモーダル対応でどのようにCXを損なわずに処理できるのか、具体的な機能や活用イメージをまとめています。

この記事の筆者

TOMORROWNET

株式会社トゥモロー・ネット

AIプラットフォーム本部

「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、複数AIエージェントが連携し、業務を自動化する「CAT.AI マルチAIエージェント」など、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。

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