コールセンターのCPHとは?計算方法・目安・改善の考え方と注意点を解説

投稿日 :2025.06.10  更新日 :2026.04.10

コールセンターでは、人手不足や問い合わせ増加を背景に「限られた人員で対応品質を維持しながら、どれだけ効率よく対応できるか」が重要なテーマになっています。その中で、オペレーターの対応量を可視化する指標として活用されているのがCPH(Call Per Hour)です。

一方で、CPHという言葉は知っていても、「どのように評価すべきか」「改善にどう活かすべきか」まで整理できているケースは多くありません。数値だけを追ってしまい、かえって品質低下や現場負荷の増加につながることもあります。

本記事では、CPHの基本から判断のポイント、改善の考え方までを整理しながら、コールセンター全体の生産性をどのように捉えるべきかを解説します。KPIの見直しや現場改善を検討する際の視点整理に役立ててください。

CPHとは?コールセンターでの意味と役割

コールセンターにおけるCPHは、オペレーター1人が1時間あたりに対応したコール数を示す指標です。対応量をシンプルに把握できるため、多くの現場で活用されています。

CPH(Call Per Hour)の定義と計算方法

CPHは以下の式で算出されます。

CPH = 総対応件数 ÷ 稼働時間

例えば、1時間で6件対応した場合、CPHは「6」となります。シンプルな指標ですが、オペレーター個人だけでなく、チームやセンター全体の生産性を把握する際にも活用できます。

なぜCPHが重要なのか|生産性指標としての背景

CPHが重視される背景には、以下のような課題があります。

  • 人手不足による対応リソースの制約
  • 問い合わせ件数の増加
  • コスト効率の改善要求

こうした状況の中で、「限られた時間でどれだけ対応できているか」を可視化できる指標としてCPHは有効です。
特に、オペレーターごとの対応量や時間あたりの処理能力をシンプルに把握できるため、現場の生産性を比較・分析しやすく、改善の起点となる指標として活用しやすい点が特徴です。

また、チーム単位・センター全体でも同じ基準で測定できるため、リソース配分や運用改善の判断材料としても活用されます。

CPHは有用な指標ですが、あくまで「対応量」を示すものであり、数値が高いほど良いとは限りません。
対応時間を優先しすぎるとヒアリングや説明が不十分になり、再問い合わせや業務負荷の増加につながる可能性があります。

そのため、CPHは単体ではなく、対応品質や他の指標とあわせて捉えることが重要です。詳細は後続の章で解説します。

CPHだけでは不十分?他KPIとの関係性

CPHを正しく活用するには、他の指標と組み合わせて見ることが欠かせません。CPHは対応「量」を示す指標であるため、それだけでは業務全体の適切さまでは判断できないためです。

AHT・ACWとの関係|効率化と最適化の違い

CPHと関連が深い指標として、対応にかかる時間を示すKPIがあります。これらは、CPHの数値に直接影響を与える要素です。代表的な指標は以下の通りです。

  • AHT(平均対応時間)
  • ACW(平均後処理時間)

これらの時間を短縮すれば、1時間あたりに対応できる件数が増えるため、CPHは上がりやすくなります。しかし、単純に時間を短くすればよいわけではありません。

対応時間を削りすぎると、本来必要な確認や説明まで省略される可能性があり、結果として対応品質に影響が出るためです。
そのため重要なのは、「どこまで短縮すべきか」という最適化の視点であり、単なる効率化とは切り分けて考える必要があります。

応答品質や顧客満足とのトレードオフ

対応時間を短くするほど、一定のリスクが生じます。これは、対応に必要なプロセスが十分に確保されなくなるためです。具体的には、以下のような影響が考えられます。

  • 説明不足による再問い合わせ
  • 顧客の不満増加
  • 問題未解決のまま対応が終了する

これらは短期的にはCPHの向上につながる可能性がありますが、長期的には問い合わせの増加や顧客満足の低下を招く要因になります。そのため、CPHは単体で見るのではなく、品質とのバランスを踏まえて評価することが重要です。

KPIを単体で追うことによる現場の歪み

KPIを単体で追うと、現場の行動がその指標に最適化されやすくなります。その結果、全体ではなく一部だけが改善される「部分最適」に陥る可能性があります。例えば、以下のようなケースが考えられます。

  • CPHだけを上げるために対応時間を極端に短縮する
  • AHTだけを下げることを優先し、対応品質が犠牲になる

このような取り組みは、一時的には数値の改善につながるものの、再問い合わせの増加や顧客満足の低下を招き、結果として全体の生産性を下げてしまう可能性があります。

そのため、KPIは単体で追うのではなく、相互の関係性を踏まえて設計・評価することが重要です。

CPHの目安と判断ポイント|数値を見るときの注意点

CPHを活用する際には、「数値の高さ」だけでなく、その背景や前提条件を踏まえて判断することが重要です。
同じCPHの数値であっても、業務内容や対応状況によって意味合いが大きく変わるためです。

CPHの平均値が参考になりにくい理由

CPHには業界共通の明確な基準はありません。これは、対応にかかる時間がさまざまな要素に影響を受けるためです。具体的には、以下のような要素によってCPHは大きく変動します。

  • 問い合わせ内容の複雑さ
  • 対応チャネル(電話・メールなど)
  • 業界や業務特性

例えば、マニュアル化しやすい定型業務と、個別判断が求められる対応では、1件あたりに必要な時間が大きく異なります。そのため、他社や平均値と単純に比較しても、自社の実態に合った評価にはなりにくいのが実情です。

重要なのは、「どのような業務を前提にした数値なのか」を踏まえ、自社の業務に適した基準を設けることです。

業務内容や問い合わせ難易度による違い

CPHは業務の性質によって大きく変動します。これは、対応に必要なプロセスや時間が業務ごとに異なるためです。
具体的には、以下のような違いがあります。

  • 簡易な問い合わせ(住所変更・営業時間確認など)
    → 確認項目が少なく短時間で完結するため、CPHは高くなりやすい
  • 複雑な手続きや相談対応
    → ヒアリングや説明に時間がかかるため、CPHは低くなる傾向

これは「効率が悪い」というよりも、「対応に必要な時間が異なる」ことによるものです。そのため、数値の高低だけで評価するのではなく、「業務に対して適切な水準か」という観点で判断する必要があります。

数値だけで判断すると起きる問題

CPHのみを評価指標にすると、現場の行動が「数値を上げること」に最適化されやすくなります。これは、評価がCPHに偏ることで、「対応時間を短くすること」や「件数をこなすこと」が優先されやすくなるためです。その結果、現場では以下のような変化が起きる可能性があります。

  • 短時間で終わる問い合わせを優先する
  • 丁寧なヒアリングや説明が省略される
  • 対応スピードを意識するあまり心理的負担が増える

これらは一見すると効率化のように見えますが、対応の質が低下することで問題が解決しきらず、結果的に再問い合わせやクレームの増加につながる可能性があります。その結果として、対応件数が増加し、かえって現場全体の負荷やコストが増えるといった、本来の目的とは逆の状態を招くこともあります。

そのため、CPHは単体で評価するのではなく、「どのような対応の結果としての数値なのか」を踏まえて捉えることが重要です。

CPHを改善するための考え方と具体策

CPHを改善するには、単なる効率化ではなく「なぜ時間がかかっているのか」を分解して考えることが重要です。
対応時間は複数の要因が重なって長くなっていることが多く、表面的な対策だけでは根本的な改善につながりにくいためです。

対応時間が長くなる原因の分解

対応時間が長くなる原因は、大きくいくつかの観点に分けて整理できます。
主な要因は以下の通りです。

  • 業務プロセス:手順が複雑で確認作業が多い
  • ナレッジ:情報が探しにくい、内容が不十分
  • システム:入力負荷が高い、ツール間の連携が不十分

例えば、ナレッジが整理されていない場合は検索や確認に時間がかかり、システムが分断されている場合は入力や画面遷移の手間が増えます。

このように、どの要素がボトルネックになっているかによって打つべき施策は変わるため、まずは原因を切り分けることが改善の出発点になります。

スクリプトやFAQ改善だけでは不十分な理由

よくある改善策として、スクリプトやFAQの整備があります。これらは一定の効果がある一方で、それだけでは十分な改善につながらないケースも少なくありません。
その理由は、実際の運用との間にギャップが生まれやすいためです。具体的には、以下のような課題が発生します。

  • 実際の問い合わせ内容とズレている
  • 情報はあるが、解決まで導けない構成になっている
  • 現場で使いにくく、活用されていない

このような状態では、ナレッジが存在していても対応時間の短縮にはつながりません。
重要なのは、「情報があるか」ではなく、「現場で使われ、解決につながる形になっているか」という視点です。

オペレーター依存から脱却するための視点

対応品質や処理スピードが特定のオペレーターに依存している場合、CPHの安定的な改善は難しくなります。
なぜなら、個人のスキルや経験によって対応時間が大きくばらつくため、全体としての生産性が安定しないためです。

こうした状態を解消するには、業務を個人から切り離し、組織として最適化していく必要があります。具体的には、以下のような取り組みが考えられます。

  • 対応の標準化
  • ナレッジの共有・更新体制の整備
  • 業務フローの見直し

これらを進めることで個人差を抑え、安定した対応品質と処理効率の両立が可能になります。

CPH改善が頭打ちになる理由とその先の考え方

CPHはコールセンターの生産性を把握する上で有効な指標ですが、あくまで「対応量」を示すものです。数値の高さだけで評価すると、対応品質や業務全体のバランスを見誤る可能性があります。そのため、他の指標とあわせて捉えることが重要です。

問い合わせ削減と対応効率は別問題

CPHは「対応効率」を示す指標ですが、そもそもの問い合わせ件数が多い状態では、改善余地に限界が生じます。どれだけ1件あたりの対応時間を短縮しても、対応すべき件数そのものが多ければ、全体の負荷は下がらないためです。

問い合わせが発生する背景には、いくつかの要因があります。主なものは以下の通りです。

  • 問い合わせが発生しやすい業務設計になっている
  • 顧客が自己解決しにくい情報構造になっている

このように、「対応の効率化」と「問い合わせの発生構造」は別の問題として捉える必要があります。

生産性向上には「対応前」の設計が重要

本質的な生産性向上を実現するには、対応プロセスの中だけでなく、「対応が発生する前」の段階から見直すことが重要です。つまり、問い合わせを前提に最適化するのではなく、問い合わせ自体を減らす設計が求められます。

具体的には、以下のような視点が有効です。

  • 問い合わせが発生しにくい業務・サービス設計にする
  • 顧客が迷わず自己解決できる導線を整備する
  • 電話・チャット・Webなどチャネル全体で体験を設計する

このように、「対応を効率化する」だけでなく、「対応が発生する前から最適化する」という視点を持つことで、CPHの改善にとどまらない本質的な生産性向上が実現できます。

コールセンターにおいて、問い合わせ対応をAIで自動化するメリットや検討のポイントについては、下記記事も参考になります。
関連記事:【問い合わせ対応でAIが活躍する時代】自動化するメリットと導入のポイント

CPHを正しく活用し、コールセンター全体の生産性を高める

CPHはコールセンターの生産性を把握する上で重要な指標ですが、単体での改善には限界があります。数値だけでなく、他のKPIとの関係や業務構造を踏まえて判断することが大切です。また、対応効率の向上だけでなく、問い合わせの発生や顧客体験全体を含めて設計する視点が求められます。

こうした背景を踏まえると、コールセンターの改善は「個別の施策」ではなく、「全体設計と継続的な改善」の取り組みとして捉える必要があります。音声対応だけでなく、テキスト対応やナレッジ活用、分析を組み合わせながら、顧客がスムーズに解決できる環境を整えていくことが重要です。

こうした全体最適の考え方を実現する手段の一つが、CAT.AI マルチAIエージェントです。問い合わせ対応の自動化にとどまらず、複数のAIが連携しながら業務全体を支援することで、対応効率と顧客体験の両立を目指すことができます。

コールセンターの生産性向上やKPI設計の見直し、AI活用の考え方について整理したい方は、以下の資料もあわせてご覧ください。自社の課題整理や改善の方向性を具体的に検討するためのヒントが得られます。

この記事の筆者

TOMORROWNET

株式会社トゥモロー・ネット

AIプラットフォーム本部

「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、複数AIエージェントが連携し、業務を自動化する「CAT.AI マルチAIエージェント」など、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。

一覧へ戻る

お問い合わせ・
資料請求

ご不明な点や気になることなど、
なんでもお気軽に
お問い合わせください。

まずはお問い合わせ
簡単でも体験
簡単デモ体験
お問い合わせ