ボイスボット活用事例|電話対応はどこまで自動化できるのか?

投稿日 :2025.03.26  更新日 :2026.03.02

「FAQやWebフォームを整備しても、電話の問い合わせは減らない」
「人手不足で応答しきれず、オペレーターの負担が増えている」

こうした課題から、電話対応の自動化手段としてボイスボットを検討する企業が増えています。

近年は、LLM(大規模言語モデル)と連携したボイスボットも登場し、さらに柔軟な対話が可能になりました。一方で、「実際にどの業務で使われているのか」「どこまで自動化できているのか」といった具体像が見えず、導入判断に迷うケースも少なくありません。

本記事では、ボイスボットの活用事例を軸に、電話対応の自動化がどのような業務で機能しているのかを整理します。あわせて、LLM連携によって広がった可能性と、依然として残る課題を踏まえながら、ボイスボット導入を検討する際に押さえるべき判断軸と、次に選択肢となる考え方を解説します。

ボイスボットはどんな業務で活用されているのか

まず押さえておきたいのは、ボイスボットは業務の特性に合わせて活用することで、効果を発揮しやすいという点です。実際に成果を上げている企業では、ボイスボットを「すべての電話対応を置き換える存在」としてではなく、業務全体の中で役割を明確に定めて導入しています。電話対応業務の中には、自動化と相性の良い領域と、そうでない領域が混在しています。その違いを整理し、適した業務から活用することで、対応品質を保ちながら業務負荷の軽減につなげることが可能になります。

ボイスボット活用が進みやすい業務の特徴

多くの導入事例を見ていくと、成果が出やすい業務には共通点があります。

  • 問い合わせ内容がある程度パターン化されている
    営業時間、手続き方法、予約可否など、よくある質問が中心の業務はボイスボットとの相性が良い領域です。
    近年はLLM連携により表現の揺れを吸収しやすくなり、さらに自然で柔軟な応答が可能になっています。
  • 会話の目的が明確で、ゴールが定義できる
    案内で完結するのか、受付まで行うのか、あるいは有人対応につなぐのか。
    ゴールを明確にすることで、ボイスボットの役割も設計しやすくなります。
  • 必要に応じて有人対応へ切り替えられる設計がある
    すべてを自動化するのではなく、「ここから先は人が対応する」という前提を置くことで、顧客体験と運用効率のバランスを取りやすくなります。

ボイスボットの選び方や仕組みなどに関しては以下の記事で詳しく解説していますので、是非ご覧ください。
【導入の参考に】ボイスボットの仕組みと作り方をレクチャー
ボイスボットとは?AIに顧客対応を任せるメリットと注意点について

LLM連携によって広がった活用の幅

近年のボイスボットは、LLMとの連携により、従来よりも柔軟な対話が可能になっています。LLM連携により、ボイスボットは以下のメリットが追加されました。

  • 想定外の言い回しにも対応しやすくなった
  • 用件理解の精度が向上した
  • シナリオ分岐を細かく作り込みすぎなくても運用できるようになった

一方で、これらはボイスボットの適用範囲を広げる要素ではあるものの、業務を完全に置き換えるものではない点も重要です。そのため、どの業務でどのように活用するのかを見極めることが、導入成功の前提となります。

こうした考え方を踏まえ、次章では、実際に企業で活用が進んでいる具体的なボイスボット活用事例を業務別に見ていきます。

コールセンターへのAI導入手順や、課題別の活用法を先に知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
コールセンターのAI導入ガイド|課題別の活用法から選び方、注意点まで

ボイスボットの主な活用事例【業務別】

ここでは、企業で特に導入が進んでいる代表的な活用パターンを紹介します。

定型問い合わせ対応を自動化し、対応完了率を高める

よくある活用例が、営業時間や手続き方法などの定型問い合わせ対応です。

  • FAQ性の高い質問をボイスボットが一次対応
  • LLMにより表現ゆれを吸収し、質問理解の精度を向上
  • 用件が完結しない場合のみ有人へ転送

このような設計により、ボイスボットが「電話に出るだけ」で終わらず、問い合わせ対応そのものを完結させる役割を担えるようになります。その効果を測る際は、応答数ではなく、ボイスボットのみで完了した割合(対応完了率)を見ることが重要です。

予約・変更・キャンセル対応を24時間化する

医療機関や店舗、保守受付などでは、予約関連業務での活用が進んでいます。

  • 予約や日程変更の要件をボイスボットが一次受付
  • LLMにより日付や言い回しの違いを柔軟に理解
  • 確定や例外対応が必要な場合のみ有人へ引き渡し

この設計により、ボイスボットは予約をすべて自動で完結させるのではなく、電話受付を安定して担う役割を果たします。効果を見る際は、処理件数だけでなく、自動で受付できた割合や営業時間外の取りこぼし削減といった視点が重要です。

一次受付を自動化し、有人対応へ適切に振り分ける

もう一つ重要なのが、一次受付・振り分けでの活用です。

  • 発生状況やエラーメッセージをボイスボットがヒアリング
  • 担当部署や緊急度に応じて振り分け
  • コールバック予約を自動受付

ボイスボットは単なる窓口対応にとどまらず、問い合わせ内容を整理したうえで次の対応につなぐ役割を担います。
効果を測る際は、応答件数ではなく、一次切り分けが完了した割合や、有人対応までのリードタイム短縮といった指標を見ることが重要です。

LLM連携が進んでも残る、ボイスボット活用の限界

近年のボイスボットは、LLM(大規模言語モデル)との連携により、文脈を踏まえた柔軟な対話が可能になり、対応できる業務範囲も広がってきました。定型的な応答にとどまらず、利用者ごとの言い回しを理解できるようになったことで、実運用での使い勝手は大きく向上しています。

一方で、実際の現場では、LLM連携が進んでもなお残る制約もあります。これはAIの性能不足というより、音声チャネルと業務構造の特性によるものです。

課題1:音声だけでは正確な情報取得が難しい

まず現場で課題になりやすいのが、音声入力そのものの制約です。LLMが高度に言語理解できるようになっても、「音声で聞き取る」という前提は変わりません。

特に次のような情報は、誤認識や確認工数が発生しやすい領域です。

  • 氏名、住所、メールアドレスなどの個人情報
  • 英数字が混在する会員番号や型番
  • 周囲の騒音や通話品質に左右される環境

LLMによって表現ゆれの吸収や文脈理解は向上しますが、音声入力が不正確になりやすい情報については、構造的な難しさが残るのが実情です。このため、音声だけで完結させようとすると、確認のやり直しが増え、かえって体験を損ねるケースも出てきます。

課題2:対話は成立しても「業務完結」しない

もう一つの重要なポイントが、「会話としては成立しているが、業務としては完了していない」状態です。

実運用では、次のような業務が壁になりやすくなります。

  • 確認項目が多く、条件分岐が複雑な手続き
  • Webフォームや書面提出など、他チャネルとの連携が前提となる業務
  • 最終判断や承認を人が行う必要があるプロセス

ボイスボットがどれだけ自然に会話できても、次の処理に人の判断や別チャネルへの切り替えが必要となり、音声対応だけでは業務が完結しない場面が生じます。


こうした特性を踏まえると、ボイスボットをどこまで担わせ、どこで別の手段につなぐかが重要になります。次章では、この課題を前提に、実運用で効果を出すための設計の考え方を整理します。

AIと人の役割分担や、AI導入時に気をつけたいことについては、こちらの「AIカスタマーサポート全体ガイド」も参考になります。

ボイスボット活用シーンから見えてきた、次に求められる仕組み

ここまで紹介してきた活用事例や課題を整理すると、ボイスボット活用において重要なポイントが見えてきます。
LLMは対話理解を大きく強化する技術であり、音声でのやり取りをより自然にするうえで欠かせない要素です。一方で、業務を最後まで完結させるためには、対話理解だけでは不十分であることも明らかになってきました。

実際の業務では、音声による受付だけでなく、テキスト情報の扱いや業務ロジックとの連携、さらには運用データをもとにした分析・改善まで含めて設計する必要があります。
そのため、単一のAIにすべてを任せるのではなく、役割の異なるAIを組み合わせ、全体として機能させる仕組みが求められています。

ボイスボット活用を進化させるCAT.AI マルチAIエージェント for Voice とは

CAT.AI マルチAIエージェント for Voice は、こうした前提を踏まえて設計された仕組みです。
ボイスボットを業務の「入口」として活用しつつ、LLMは適切な領域に限定して活かし、音声とテキストを組み合わせることで業務完結率の向上を目指します。

また、導入して終わりではなく、利用データをもとに分析・改善を継続することで、完了率を設計し、育てていく運用モデルを特徴としています。単なるツール導入ではなく、ボイスボット活用を業務として定着させるための仕組みとして位置づけられています。

CAT.AI マルチAIエージェント for Voice を活用した電話対応の自動化事例

【導入事例】東京ガス株式会社

東京ガスでは、CAT.AI マルチAIエージェント for Voiceを活用し、電話問い合わせ対応の高度化と業務完結率の向上に取り組んでいます。

<課題背景>

引っ越しや料金、契約内容の確認など、問い合わせ内容が多岐にわたる中で、音声認識だけでは聞き取りが難しい情報や、途中で人の判断を挟む必要がある業務が多く、音声対応だけでは完結しないケースが発生していました。

<施策>

そこで、ボイスボットを「入口」としつつ、音声とテキストを組み合わせた対話設計や、業務ロジックとの連携を行い、複数のAIが役割分担しながら処理を進める仕組みを構築しました。また、対話ログを活用した分析・改善を継続的に行える運用体制も整えています。

<効果>

その結果、問い合わせ対応の業務完結率が向上し、オペレーターの負荷軽減と顧客体験の改善を両立。単に自然に会話できるだけでなく、「次の処理までつながる音声対応」を実現しています。

ボイスボットを「会話させる」から「業務を完結させる」へ

ボイスボットやLLMの進化によって、電話対応における対話品質は大きく向上しています。一方で、自然に会話できるだけでは、業務は必ずしも完結しないという点は、多くの現場に共通する現実です。

CAT.AI マルチAIエージェント for Voiceでは、音声だけで完結させるのではなく、音声・テキスト・業務ロジック・分析を組み合わせて設計することで、次の処理につながる対応が実現されています。

活用はさまざまな業種に広がっており、事例集では各社の設計や工夫をより詳しく確認できます。自社の電話対応にAIをどう組み込み、どこまで任せられるのか。検討を進める際の参考として、他の事例もあわせてご覧ください。

この記事の筆者

TOMORROWNET

株式会社トゥモロー・ネット

AIプラットフォーム本部

「CAT.AI」は「ヒトとAIの豊かな未来をデザイン」をビジョンに、コンタクトセンターや企業のAI対応を円滑化するAIコミュニケーションプラットフォームを開発、展開しています。プラットフォームにはボイスボットとチャットボットをオールインワンで提供する「CAT.AI CX-Bot」、複数AIエージェントが連携し、業務を自動化する「CAT.AI マルチAIエージェント」など、独自開発のNLP(自然言語処理)技術と先進的なシナリオ、直感的でわかりやすいUIを自由にデザインし、ヒトを介しているような自然なコミュニケーションを実現します。独自のCX理論×高度なAI技術を以て開発されたCAT.AIは、金融、保険、飲食、官公庁を始め、コンタクトサービスや予約サービス、公式アプリ、バーチャルエージェントなど幅広い業種において様々なシーンで活用が可能です。

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